ART

《東京都庭園美術館》
美術館に生まれ変わった、歴史的建造物

2021.7.30
《東京都庭園美術館》<br>美術館に生まれ変わった、歴史的建造物
アール・デコ様式の建築。館内には、アール・デコを代表するフランス人装飾作家たちのガラスレリーフなども展示

休日は知識や見識を広め、感性が磨かれる美術館巡りへ出掛けませんか? 都内にはさまざまなジャンルのアートが楽しめる美術館が数多く点在しています。また作品のみならず建築や庭園の美を楽しむのも美術館巡りの醍醐味です。気軽に足を運べる東京都内にある美術館の魅力を伝える本企画。今回は、歴史的建造物も見ごたえがある「東京都庭園美術館」を紹介します。

殿下居間。壁紙とカーテンは2014年のリニューアル時に復原された

旧皇族・朝香宮邸として1933年に竣工したアール・デコ様式の建物を、1983年に美術館として公開。当時のたたずまいを残している貴重な建築物だ。2015年には本館、茶室、正門などが国の重要文化財に指定された。2014年のリニューアルに伴い、殿下居間の壁紙の復原、外壁の塗り替え、アンリ・ラパンの『香水塔』の修復が大々的に行われた。ホワイトキューブのギャラリーを備えた新館も誕生。本館と新館を効果的に組み合わせ、現代美術や映像、音楽やパフォーミング・アーツなど、表現の幅を広げている。

南側の庭に面したテラスを控え、旧朝香宮邸の中でも最もアール・デコの枠に集められているのが、 この大客室と次に続く大食堂。イオニア式柱頭を持つ柱には、シコモール材が使われ、天井には シャンデリアを囲む漆喰仕上げの円や石膏によるジグザグ模様が施されている

スタッフが教える!当館の魅力

音声ガイド機能もついた美術館公式アプリ

「重要文化財旧朝香宮邸の魅力を細部にわたって紹介するガイドアプリ。iOS、Android共に対応で音声ガイドもついており、6ヶ国語対応です。ダウンロードは無料で、館内で端末とヘッドフォンの無料貸し出しも行っています」

当館の名作・名品

アンリ・ラパン作 屋内噴水《香水塔》

「アンリ・ラパンが1932年にデザインしたもの。「香水塔」には水が流れるような仕組みが施されており、朝香宮邸時代には上部の照明部分に香水をたらし、照明の熱で香りを漂わせたそうです。」


正面玄関ガラスレリーフ扉はフランスのガラス工芸家、ルネ・ラリックの作品。朝香宮邸のために新たにデザインされた。翼を広げる女性像は、型押ガラス製法で作られている。一点物かつこの大きさは、ラリック作品の中でも貴重な作品。また床全面のモザイクは細かい天然石で制作され、デザインは宮内省内匠寮技手の大賀 隆氏が手掛けた

壁面にウォールナット材を使用し、装飾を抑えた重厚な大広間。天井には格子縁の中に40個の半円球の照明が配置され、正面のアーチに挟まれた鏡と大理石のマントルピースはシンメトリーの落ち着いたデザインに華やかさを添える
南に庭園を望み、大きく円を描く張り出し窓が開放的で独特な空間を形作る大食堂。隣の大客室とはエッチング・ガラスの引き戸で仕切ることができる。もとは来客時の会食用に使用された部屋というのもあり、ルネ・ラリックの照明器具『パイナップルとザクロ』やガラス扉などに果物がモチーフとして使われ、ラジエーターカバーには魚貝がデザインされている

東京都庭園美術館
住所
港区白金台5-21-9
Tel|050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館
10:00〜18:00(入館は30分前まで)
休館日|月曜(祝日の場合は開館、翌日休館)
料金展覧会により異なる
交通JR山手線目黒駅東口/東急目黒線目黒駅正面口から徒歩7分、都営三田線・東京メトロ南北線白金台駅1番出口から徒歩6分
駐車場普通乗用車1回 1,500円
https://www.teien-art-museum.ne.jp/

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photo=Tokyo Teien art Museum
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