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お雛さま、飾っていますか?【前編】
雛祭りに学びたい「江戸木目込人形」

2022.3.1 PR
お雛さま、飾っていますか?【前編】<br><small>雛祭りに学びたい「江戸木目込人形」</small>

3月3日は桃の節句。桃の節句といえば雛祭り。そして雛祭りに欠かせないのが雛人形だ。時代とともに人形の姿や飾り方は変わっても、雛人形に込める想いは変わらない。今回は、江戸時代から雛人形を通して受け継がれる「江戸木目込人形」を紐解く。

江戸木目込人形とは?
江戸時代中期、京都・上賀茂神社で祭事用の柳筥(やないばこ)の材料である柳の残片を彫り、神官がつくった人形にはじまる。木につけた溝に布を木目込む(はめ込む)ことから木目込人形と呼ばれ、江戸に伝わった。国指定伝統的工芸品。

江戸時代以来の伝統を
いまに伝える雛人形

3月3日は上巳(じょうし)の節句。桃の節句ともいい、女児の健やかな成長と幸せを願う雛祭りの日でもある。そして雛祭りといえば雛人形。桃の花や白酒、菱餅などを供えて祝うが、雛人形を飾るようになったのは江戸時代に入ってからのこと。当初は紙でつくった簡素な人形だったが、次第に布で正装した人形がもてはやされるようになった。

そうして雛祭りが行事として定着するのと合わせ、人形づくりの技術も発達。各地でさまざまな人形がつくられるようになった。江戸木目込人形もそのひとつ。木地に彫った溝にのりを付け、衣装の裂地を木目込んで(はめ込んで)つくるもので、江戸時代末期に京都から江戸に伝えられた。国が指定する伝統的工芸品で、都内やさいたま市内などで、雛人形をはじめとする節句人形や歌舞伎人形などがつくられている。今回訪ねたのは、1920(大正)年創業の松崎人形。一体ずつ手作業で生まれる人形の姿に、江戸木目込人形の魅力、そして日本人が雛人形を通して受け継いできた、子どもを大切に思う気持ちを垣間見る。

高倉 親王出(だし)飾り
享保年間(1716~1736年)頃に江戸で流行した享保雛をイメージしてつくったもの。すっとしたフォルムとシンプルながら気品ある装飾に、時代を超越する魅力がある。全国節句人形コンクール総理大臣特別賞受賞作品。
価格|38万4450円(受注生産)
サイズ|W450×D800×H410㎜(台)、W200×D150×H190㎜(男雛)、W220×D190×H175㎜(女雛)
付属品|三枚折り裏箔屏風、玉台、黒艶燭台、行器、紅梅白梅

現代の暮らしに寄り添う
独創的なものづくり

1920(大正9)年創業、東京・足立区にある松崎人形は、ともに伝統的工芸品である江戸木目込人形と江戸節句人形(衣裳着人形)の両方を手掛ける珍しい工房。また、人形は分業でつくられることが多く、胴体と頭(かしら)は通常、別々の工房でつくられるが、松崎人形はその両方を手掛けており、稀少な工房といえる。ブランド名の「幸一光(こういっこう)」は、3代目である松崎光正さんの雅号。美術大学で彫刻を専攻していた松崎さんは、在学中に2代目である父・幸雄さんが急逝したことをきっかけに、人形づくりの道を歩みはじめた。

「最初は摸刻からはじめて、自分がつくった頭の人形を世に出すまでに10年かかりました。頭の原型をつくる人形師は、私を含めて日本に数人しかいません。オリジナルの頭だからこそつくれる個性豊かな人形が松崎人形の強みだと思っています」

毎回、新作に取り組む際はテーマを決め、〝同じものは絶対につくらない〟という想いをもって人形と向き合う松崎さん。伝統を大切にしつつも、現代人の感性に寄り添う独創性で、節句人形から、現代の暮らしに合わせたインテリアアートまで、さまざまな人形を生み出す。そうして目指すのは、長く愛してもらえる人形をつくること。

「特に節句人形は、子どもの健やかな成長と幸せを願う普遍的な想いを込めて贈る、一生に一度のもの。贈る人も、贈られる人も、愛着のもてるものを選んでほしいですし、私たちがつくる人形がそうであってほしいと思います」

魂を込めるための技と道具

松崎人形が手掛ける江戸木目込人形は、一体ずつ、こうして手作業でつくられる。

1 原型づくり
粘土で原型(前後半分または上下半分のふたつ)をつくる。衣装の合わせ目、ひだなどの細かなところまで彫り込む。
2 かま詰め
「かま」(原型からとった型)に桐塑(とうそ/桐の粉としょうふのりを混ぜたもの)を詰める。
3 ぬき
ふたつの「かま」を合わせて強く押さえ、型抜きした桐塑を取り出し、よく乾燥させる。
4 木地こしらえ
乾燥によって生じた凹凸やひび割れを桐塑で埋めたり、やすりで整えたりして、きれいな状態にする。
5 胡粉塗り
胡粉(ごふん/貝殻を砕いてつくる白色の顔料)を塗り、木地の変形を防いで頑丈にし、表面をなめらかにする。
6 筋彫り
布を木目込む(はめ込む)ための筋(溝)を、一定の深さ・幅になるように彫刻刀で彫る。

7 木目込み
筋からはみ出さないようにのりを入れ、型紙に合わせて切った布を木目込みベラや目打ちなどを使って木目込み、のり付けする。曲線部分もたるみやしわが出ないよう、胴体にぴったりと沿わせて木目込む。
8 面相描き
面相(めんそう)筆という極細の筆と墨、紅(べに/赤い顔料)を使って、目や唇など人形の顔を描く。

9 頭つけ
髪を整えた頭(かしら)、扇などの持ち物、冠などの装飾品を、木目込みをした胴体に取り付ける。

10 完成
髪をドライヤーやブラシで整え、全体の確認をして完成。写真はミニサイズの雛人形「とのとひめ」の女雛。

この春飾りたい、雛人形6選!

令花(れいか)
お揃いの衣装を着た立雛は、ふっくらとしたフォルムとかわいらしい顔が特徴。桐文箱入りで、文箱に袱紗を敷いて飾る、文箱を立て掛けて飾るなど、6種類の飾り方を楽しめる。
価格|7万400円(人形のみ)、9万5260円(桐文箱入り)
ゆら
木目込人形は、筆で目を描くもの(書き目)が主流だが、こちらはガラスの目を入れたもの(入り目)。昔ながらの木目込人形らしい、ころっとした丸みを帯びたフォルムが特徴。
価格|9万1300円(人形のみ)、15万3230円(親王飾り)
小雪
入り目の木目込人形で、はっきりとした現代的な顔立ち。出飾りに付く、江戸からかみを使った屏風は3つの柄から選べる。また、官女セットを追加して五人出飾りにもできる。
価格|11万円(人形のみ)、20万4930円(親王出飾り)
とのとひめ
手のひらにのる小ささながら、精巧につくられたミニサイズの木目込人形。専用桐箱入りの親王飾りは、屏風など基本的な道具付きで、飾り台にもなる桐箱にすべて収納できる。
価格|6万9300円(親王飾り)※専用桐箱入り
碧(みどり)
立雛の「令花」と同じ頭を用いている。書き目の柔らかな表情と、丸みを帯びたフォルムとが相まって、古風ながら洗練された雰囲気をまとっている。
価格|9万6030円(人形のみ)、15万2130円(親王飾り)
醍醐
大人びた表情とすっきりとしたフォルムで、シンプルながらきらびやかな佇まい。衣装は京都・西陣織。出飾りに付く燭台と貝桶には本金で蒔絵を施してある。 価格|17万8200円(人形のみ)、27万4560円(親王出飾り)


「雛人形は心をつなぐ存在です」
 
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応募締切|2022年3月11日(金)18:00 ※受付終了しました

text: Miyu Narita photo: Kenji Okazaki
2022年3月号「第2の地元のつくり方」

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