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伝統の美しさをインテリアに。
「匠市(たくみのいち)」で自分らしい工芸品と出合う

2022.3.15 PR
伝統の美しさをインテリアに。<br> 「匠市(たくみのいち)」で自分らしい工芸品と出合う

日本の各地域で育まれてきた伝統的工芸品を、暮らしに取り入れてみませんか? 難しく考えずに「素敵」、「欲しい」と素直に感じるものを手に取ればいいのです。
今回、魅力的な伝統的工芸品を多く取り扱うオンラインショッピングモール「工芸百貨 匠市(たくみのいち)」で見つけた「高岡漆器」を、自宅のインテリアにどう取り入れたらよいか、インテリアスタイリストの中林友紀さんにアドバイスをいただきます。
これを参考に、ぜひお気に入りの逸品を探してみてください。

先入観をもたずに伝統的工芸品と向き合う

鳥の椿が華やかな「小箱 錆絵花鳥 椿」(高岡漆器/富山県)は「匠市」で見つけた逸品。
そのほか時計回りに「四季の香炉 さくら」(南部鉄器/岩手県)、「銀製手鏡 唐草(大)」(東京銀器/東京都)、「ウッド付房ピアス ブルー」(京くみひも/京都府)は、東京都港区にあるギャラリーショップ「伝統工芸 青山スクエア」販売商品

伝統的工芸品と聞くと、「古くさい」とか「いまのライフスタイルには則さない」などと感じる方は、決して少なくないだろう。しかしこの認識には誤解があると断言しよう。原材料や技術・技法を継承しながら、「時代のニーズに応じた製品づくりがされている」ことも、現代の伝統的工芸品の大きな特徴であるからだ。

今回、スタイリングを担当したインテリアスタイリストの中林友紀さんは、「『伝統的工芸品である』という先入観をもたずに、製品と向き合うんです。そうすると暮らしに取り入れやすくなりますよ」と話す。木の枝にとまるカワセミが螺鈿細工で描かれた高岡漆器の小箱も、産地や技法云々ではなく、中林さんには純粋に「美しい」として映った。
小箱が有す、エメラルドグリーンのグラデーションや深い蒼、濃淡のある赤、立体感のある枝の茶といった多種多様な色彩。「製品で使われている色の数だけ、スタイリングの幅は広がります」という中林さんの言葉通り、鮮やかなピンクやゴールドなどを散りばめたオリエンタルな空間にもマッチする。一般的に考えると和をイメージしがちであるが、「漆器」や「伝統的工芸品」の枠組みを外すことで、インテリアスタイルの幅はグンと広がっていく。そしてお気に入りの伝統的工芸品を見つけたら、ぜひその製品にまつわる背景にも注目してほしい。職人が丹精込めて仕上げた伝統的工芸品は、知れば知るほど奥深く、より愛着も湧いてくるはずだ。

椿とカワセミとが螺鈿細工で表現されている。カワセミがとまる木は錆絵の技法によるもの

伝統的工芸品とは?
経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことを指し、日本各地で236品目(2021年1月現在)存在している。認定を受けるにあたっての必須要項は「主として日常生活で使われる」、「100年以上の歴史を有する」、「製造過程の主要部分が手づくり」、「伝統的技術または技法によって製造される」、「伝統的に使用されてきた原材料を用いる」、「一定の地域で産地を形成している」など。「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、これらすべてを満たすべしと規定されている。

400年余りの伝統を紡ぐ高岡漆器の技と美

高岡市の大佛寺にある「高岡大仏」。高岡のシンボル的存在だ

高岡漆器の小箱がつくられるのは、富山県高岡市。ここは加賀藩2代目藩主、前田利長が慶長14(1609)年に築いた高岡城の城下町として発展し、市内には金屋町や山町筋といった江戸時代の風情漂う街並みが、いまもなお残っている。

利長は高岡城を築城するにあたり、各地から腕利きの職人を集め、武具や箪笥、膳などの生活用品をつくらせた。高岡漆器のはじまりも同じ頃。指物を生業とする大場庄左衛門が、自ら製作した家具に漆を塗ったことが起源とされている。その後、塗り重ねた漆を彫ってレリーフ状の文様をつくる堆朱(ついしゅ)や堆黒(ついこく)などの技法が中国から伝えられ、さらに貝類を彫刻して漆地や木地などにはめこむ螺鈿(らでん)、砥粉と漆を混ぜた錆漆を使って描く錆絵(さびえ)、漆地に色漆で文様を描いたり、彫った文様に色漆を詰め込む存星(ぞんせい)など、多彩な加飾技法が生み出されていく。名工たちはこれらの技法を駆使し、高岡漆器の礎を築いていった。

柴田漆器店で取り扱う製品の数々。右上は「小箱 錆絵花鳥 椿」、左上は彫刻塗の鯛盆、左下は帯留め。右下のアワビ貝を使用して螺鈿がほどこされる

現在、高岡漆器は3つの技法を主としている。ひとつ目は江戸中期に活躍した名工、辻丹甫(つじ・たんぽ)の技法を元祖とする「彫刻塗」だ。草花、鳥獣、青海波、牡丹、孔雀などを彫り出し、漆を塗り重ねることで立体感や艶が生まれ、使い込むほどに味わいが増していく。二つ目は江戸末期に初代石井勇助が唐物を中心とした漆器の研究を重ね、編み出した「勇助塗」である。朱塗りのうえに錆絵や箔絵を描き、要所に青貝や玉石を施すといった総合技法によってつくられるもので、唐風の趣をもつ雅趣に富んだ作品。三つ目は「小箱 錆絵花鳥 椿」でも用いられた「青貝塗」。鮑(あわび)、夜光貝、蝶貝、孔雀貝など、貝類の内側を薄く削ったものを刀や針で三角形や菱形の細片にし、これらを組み合わせて山水や花鳥を表現する技法だ。螺鈿細工は貝類の虹色の光沢をそのまま生かす作品が一般的だが、高岡漆器では貝の細片の裏面に着色または金銀箔を貼って色調を付ける、色底螺鈿が主流となっている。

柴田治之さんが代表を務める柴田漆器店は、塗師であった初代柴田治三郎さんが彫刻塗工房として1925年創業したのがはじまり

「高岡漆器は箱物や茶道具、卓上小物、盆といった、生活の道具をつくることが多いんです。“作品”というよりも“製品”。螺鈿細工は高価だと思われる方が多いのですが、高岡では螺鈿を施した製品も比較的お求め安い価格から揃えているので、日常に取り入れていただきやすいと思います」と伝統工芸高岡漆器協同組合の理事長であり、柴田漆器店の代表を務める柴田治之さんは話す。柴田漆器店では近年の新たな取り組みとして、かんざしや帯留めなどの製作にも取り組んでいるという。それぞれの時代で求められる漆器を、柔軟な発想でつくりだす。これこそまさに、伝統的工芸品を次世代へ紡ぐ産地の理想的な在り方だ。

高岡漆器の職人、螺鈿師と塗師を訪ねて

螺鈿師の武蔵川義則さん。大型の壁面作品に取り組んでいるところ
武蔵川工房にある青貝塗の製作工程の流れを示したもの

高岡漆器では他の漆器産地と同じく、分業制で製作を行なっている。たとえば青貝塗の場合は、木地工程(指物木地)→塗り工程→青貝工程→塗り工程→完成の流れが基本。木地師、塗師、螺鈿師、彫刻師、蒔絵師という各工程のプロフェッショナルが責任をもって各々の工程を担当し、ひとつの製品をつくり上げていく。

「小箱 錆絵花鳥 椿」の図案。この図案の裏面に絵漆で置目描きをし、螺鈿を施したい面に写す。そして置目にしたがって貝を貼り、針を用いて繊細な表情をつけていく

螺鈿師の武蔵川義則さんは、伝統工芸士であり「現代の名工」にも選ばれた卓越した技術のもち主。「小箱 錆絵花鳥 椿」の螺鈿細工も、武蔵川さんの工房である武蔵川工房で手がけられたものだ。「螺鈿で描くモチーフは、とにかくよく観察をすることが大切です。花びらのしなり方、鳥が羽ばたくまでの動作など、しっかり目に焼きつける。すると思うままに生き生きと、草花や動物を表現できるんですよ」と武蔵川さん。

刀や針で細片にする前の貝の内側。武蔵川工房では0.1mmの厚みの貝を主に使用しているという 色底螺鈿で表現された花。繊細かつ緻密、息を飲む美しさだ

柴田さんは「花鳥風月を描かせたら、武蔵川さんの右に出る者はおりません。色底螺鈿の美しい色合いや細工は、素晴らしいのひと言に尽きます。武蔵川さんはいつもお願いした以上の仕上がりにしてくださるんですよ」と語っている。

塗師の斉藤慎二さん。塗りの工程は主に下地、研ぎ、塗り、仕上げに分かれ、写真は研ぎの工程を行なっているところ。研ぎ墨で平滑な面に整えているという

伝統工芸士である斉藤慎二さんも、柴田漆器店の製品に携わる塗師だ。「高岡でもっとも塗りの技術が優れた職人さんです」と、柴田さんは全幅の信頼を寄せている。「漆の仕事は完成した様を自分の頭に描けるんです。イメージ通りのものにいかに近づけるか。それを常に意識しています」と斉藤さんは語る。引き締まった漆器の仕上がりに通じる、控えめかつ端正な美しさは、斉藤さんの技術力あってのことといえるだろう。

青貝工程を終え、再度、塗師の斉藤さんのもとへ届いたもの。螺鈿細工が隠れないよう、慎重に上塗りなどを行い、完成まで仕上げていく

今回紹介した高岡漆器はこちら

木の枝にカワセミが佇むさまを螺鈿と錆絵で描いている。枝の部分には錆絵の技法を使い、木のような質感を表現している。

高岡漆器「小箱 錆絵花鳥 椿」
サイズ|W12.5×D12.5×H5cm
素材|木製、漆、カシュー、アワビ貝
付属品(箱)等|木箱
価格|4万4000円 ※送料別途
https://takumi-no-ichi.jp/products/283

「工芸百貨 匠市(たくみのいち)」で
多種多様な伝統的工芸品と出合う

「小箱 錆絵花鳥 椿」はアクセサリーをはじめ、診察券やポイントカード、袋入りのお菓子など、日常の細々したものを入れるのに最適だ

あらゆる伝統的工芸品に共通するが、「大切なものだから」としまいこんではもったいない。伝統的工芸品は、芸術品ではなく生活用品。暮らしに彩りを添え、使ってこそ生きるのである。そしてそれは、伝統的工芸品の未来へとつながっていく。

伝統的工芸品産業振興協会が運営するオンラインショッピングモール「工芸百貨 匠市(たくみのいち)」では、各産地のさまざまな商品を取り揃えている。つくり手が出品している製品は、職人から直接発送されるため、産地の空気までをも感じられるはずだ。ここで紹介するのは、ほんのごく一部。「工芸百貨 匠市」で、とっておきの逸品に出合ってほしい。

編集部がセレクトした伝統的工芸品

括(くく)りの模様が子鹿の斑点に似ているところから、「鹿の子」と呼ばれる染めの技術。括り粒の精緻さと表現力、高度な染め分け技法をかけあわせて生まれる立体的な美しさは、京都の伝統的工芸品「京鹿の子絞」ならではの特長である。
ルームシューズは、柔らかな鹿革を京鹿の子絞で藍色に染めたもの。足当たりもよく、さまざまな空間に馴染むモダンなデザインだ。京鹿の子絞製品の製造販売などを行う京都絞美京が手がけている。

京鹿の子絞「鹿革 ルームシューズ 柳絞り・M」
サイズ|M(24.5 cm)、L(~27.0 cm)
素材|鹿革
付属品(箱)等|なし
価格|1万6500円 ※送料別途
https://takumi-no-ichi.jp/products/483

伊勢形紙とは着物などの生地を染める際に用いる図柄や文様の型紙のことで、三重県の伝統的工芸品である。彫刻刀で図柄や文様を彫り抜いてつくられるが、非常に高度な技術が必要とされるという。
文庫箱は、大正13年創業のオコシ型紙商店の商品。熟練の職人が彫った伊勢形紙を、箱の蓋に装丁した特別な品。アクセサリーや筆記具を収納するほか、飾り蓋を壁面に掛けてアートとして取り入れるのもおすすめだ。

伊勢形紙「伊勢型紙の文庫箱 【椿-camellia-】緋色-red-」
サイズ|145×195×43mm(外寸)、120×170×30mm(身箱の内寸)、260g
素材|伊勢形紙、モミ、 スエード布(中敷き)
付属品(箱)等|化粧箱 (黒紙の貼り箱)
価格|7700円 ※送料別途
https://takumi-no-ichi.jp/products/1094

三重県の伝統的工芸品である伊賀焼。7世紀後半から8世紀頃、農業用に焼かれた種壷が発祥とされる。安土桃山時代に茶の湯の陶器として伊賀焼の名が全国に広まり、江戸時代中期以降に入ると、耐火性の高い伊賀陶土の特質を生かした日用食器類がつくられ、現在へ通じる伊賀焼産地としての基盤となっていった。
5色セットの板皿は、伊賀焼の窯元「ひがせ陶房」が制作したもの。ビードロというガラス質や焦げの付き具合など、伊賀焼特有の魅力が感じられる。

伊賀焼「板皿(5色セット)」
サイズ|W13×D9×H0.3cm
素材|陶器
付属品(箱)等|紙箱
価格|2750円 ※送料別途
https://takumi-no-ichi.jp/products/467

 

≫匠市公式サイトはこちら

 

photo:Misa Nakagaki, Nik van der Giesen(高岡撮影) text:Nao Omori styling:Yuki Nakabayashi

※サイズは採寸によります。
※手作りのため、商品によって柄の出方や色味に個体差があります。また、売り切れになる場合もありますのであらかじめご了承ください。

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