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長崎県波佐見町「HIROPPA/ひろっぱ」
波佐見焼に触れて、遊んで。文化を育む憩いの広場

2021.9.10
長崎県波佐見町「HIROPPA/ひろっぱ」<br><small>波佐見焼に触れて、遊んで。文化を育む憩いの広場</small>
Photo by Kenta Hasegawa

波佐見焼とは、400年以上の歴史をもつ長崎県波佐見町で生産されている陶磁器。繊細な染付から、普段使いできるモダンでかわいらしいものまで、幅広く人気を博している。波佐見焼メーカー、マルヒロもそのひとつ。10月1日(金)にオープンする公園「HIROPPA/ひろっぱ」は、子どもでも波佐見焼に触れられる場所をつくりたいという社長、馬場匡平さんの思いからはじまった一大プロジェクトだ。公園内にはマルヒロにゆかりのあるアーティストがデザインする遊具や、直営店、ゆっくり寛げるカフェも入り、波佐見町の魅力発信、そして多彩な文化を取り込む場所としての広場を目指している。

有限会社マルヒロ
昭和32年、露天商に始まったマルヒロは、長崎県の工芸品「波佐見焼(はさみやき)」の食器やインテリア雑貨を企画している、工場を持たない陶磁器メーカー。波佐見焼は生産工程ごとに会社が分かれる 「分業制」で作られていて、その中でマルヒロは、デザインした商品を各工程の職人さんへお願いする “プロデューサー”のような役割と、出来上がった商品を流通させる“商社”の役割をしてる。土から始まり、一つの商品になるまでたくさんの人達が関わる波佐見焼は、400年以上に渡り受け継がれてきた。https://www.hasamiyaki.jp/

HIROPPAは、敷地面積1200坪の公園全体には芝生が広がり、アーティストがデザインする遊具や、直営店、キオスク、OPEN-END(カフェ)を併設。車椅子で一周できるバリアフリーの通路も園内に敷設。

Photo by Kenta Hasegawa

公園は、DDAA/DDAA LABの元木大輔氏がデザイン。公園の真ん中に立つと、高低を描く稜線や幾何学的なラインが見え、遠くからでも公園のランドスケープを認識できるような大きな線を風景の中に引くデザインがされている。

DDAA/DDAA LAB
元木大輔(もとき・だいすけ)
DDAA/DDAA LAB代表。CEKAI所属。Mistletoe Community。シェアスペースhappa運営。武蔵野美術大学非常勤講師。東京藝術大学非常勤講師。1981年埼玉県生まれ。2004年武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業後、スキーマ建築計画勤務。2010年、建築、都市、ランドスケープ、インテリア、プロダクト、ブランディング、コンセプトメイクあるいはそれらの多分野にまたがるプロジェクトを建築的な思考を軸に活動する建築・デザイン事務所DDAA設立。2019年、コレクティブ・インパクト・コミュニテイーを標榜し、スタートアップの支援を行うMistletoeと共に、実験的なデザインとリサーチのための組織DDAA LABを設立。2020年初の著書となる「工夫の連続:ストレンジDIYマニュアル」が晶文社より出版。2021年第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展参加。https://dskmtg.com/

Photo by Kenta Hasegawa

オープン後も公園の敷地面積を広げながら、アーティストの遊具や作品を増やしていくなど、長期計画で公園を開発予定。町の子どもたちが楽しいと言ってくれるような公園をづくりを続けていく。

有限会社西海園芸
長崎県波佐見町にて、庭師による「造園」、花師による「花屋」、デザイナーによる「設計・デザイン」の3つを軸に活動している。世界三大ガーデンフェスティバルのひとつ「シンガポール・ガーデン・フェスティバル」の10回目となる2016年、最高賞の金賞を受賞した庭師、山口陽介が率いる造園部門が今回、HIROPPAの造園を担当している。https://saikaiengei.co.jp/

アートを身近に感じることができる遊具

Photo by Kenta Hasegawa
Photo by Kenta Hasegawa

遊町の子どもたちにアートを身近に感じてほしいという願いから、2018年にマルヒロと波佐見焼でコラボしたオランダ/アムステルダムのアーティスト・Boris Tellegen氏に具の設計を依頼。全長10mの巨大オブジェをよく見てみると「HIROPPA」の文字がデザインされている。

HIROPPAオープン日には、HASAMI×Boris TellegenをHIROPPA限定で販売開始予定。また、マルヒロとBoris氏の波佐見町をメディアにしたプロジェクトは今後も続く予定だ。

Boris Tellegen
オランダ・アムステルダムのアーティスト。1980年〜2000年代初め、ヨーロッパグラフィティの代表格として知られるDELTAは、建築やロボット工学などから影響を受けた3Dレタリングスタイルで注目を集めた。近年では現代アーティストとしての見られ方も強く、オブジェや彫刻、絵画やコラージュといった、伝統的な芸術媒体を材料に本名のBoris Tellegenの名で活動している。https://deltainc.nl/

マルヒロの全アイテムが並ぶ直営店

Photo by Kenta Hasegawa
Photo by Kenta Hasegawa

HASAMI・BARBARをはじめ、アーティストコラボ商品、直営店限定商品など、マルヒロの全ラインナップを直営店にて揃えている。

直営店に併設されているキオスクでは、佐世保のCAFE.5(ドットファイブ)・波佐見の点心屋台くまやのオリジナル弁当や佐世保名物「ロンサンド」を日替わりで販売予定。そのほかにも、クラフトビールや駄菓子も用意。

コーヒーショップ|OPEN-END
店内と外の境目を無くしたエントランスや、公園内全体が客席となり好きな場所で楽しめるなど、自由さを感じさせる空気が漂っている。

Instagram|@open_end_jp

HIROPPAのほかにも、
新しいプロジェクトが進行中!

Photo by Kenta Hasegawa

多目的機能空間|OUCHI
日本の伝統的な在来工法で作られた建物をできるだけそのまま活かしつつ、大胆に印象を変えることで、築86年の日本家屋に新たな「機能」と「価値」を生み出した。

Photo by Kenta Hasegawa

POPUPや展示会など、イベントを行うレンタルスペースとして活用するほかに、2階にアーティスト・イン・レジデンスの機能を備えることで、アーティストによる滞在型作品制作もできる場所として使用している。OUCHIもHIROPPA同様、元木氏がデザインを担当。

コックピット・オフィス|KOUBA
オフィス・コックピット(作業場)をKOUBAとして新設。機能的で理にかなった動的なデザインで、エルゴノミクス(人間工学)に基づき設計されている。物事に対して柔軟に変化するホールになっており、イベント会場としても活用できる仕様になっている。

野本設計の野本哲平氏がデザイン。端正なスレート張りの倉庫は日本の風景を飾る伝統建築にもなりうる、「ものを生産する町のアイコン」としてここ波佐見町に在り続ける。9月19日(日)から、KOUBAにてシークレットガレージセールを開催予定。

野本哲平(のもと・てっぺい)
1980年3月生まれ。デザイナー。小学2年生のとき家族旅行中にファンタの瓶のキャップを背負ったエディット・ヤドカリに遭遇し衝撃を受ける。デザイン、建築、美術、木工を学ぶ。建築的な視点を軸に、ラジカセから木工、衣服から都市まで、生活への興味は縫い目無しに幅広い。2011年、現代民具のレーベル、民具木平をスタートした。https://teppeinomoto.com/

Photo by Kenta Hasegawa

大人と子どもの遊び場「HIROPPA」。これまで経験したことのない「異文化」を通じて、たくさんの新しい発見をみてはいかがだろうか。

HIROPPA/ひろっぱ
住所|長崎県東彼杵郡波佐見町湯無田郷682
Tel|0955-42-2777
営業時間|10:00~18:00
定休日|不定休
https://hiroppa.hasamiyaki.jp

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