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ライフスタイルホテルの真打ちが日本に上陸!
『Ace Hotel Kyoto』【前編】

2020.11.9
ライフスタイルホテルの真打ちが日本に上陸!<br>『Ace Hotel Kyoto』【前編】

2020年6月、シアトル発エースホテルが京都に上陸。ホテルのロビーは宿泊客以外も24時間利用可能。フリーな空間に新たなカルチャー誕生の予感!

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“フレンドリー”で
自由なホテル

かつての京都中央電話局と新しい建築が巧みに融合

ライフスタイルホテルの先駆けといわれる「エースホテル」が、アジア初進出で京都へ。大正時代の名建築・旧京都中央電話局を活用した「新風館」のリニューアルオープンの核となるホテルは、京都の街中に新しい風を吹き込み、驚くほどフレンドリー&フランクで自由な空気に満ちていた。

新と旧、東と西が
混交する拠点が誕生

富山県高岡の伝統工芸の技術を活かした、能作による銅製の円形チェックインカウンター。囲むようにホテルオリジナルのグッズやアメニティが並ぶショップスペースがあり自由に回遊できる

1926(大正15)年築の旧京都中央電話局は、東京中央郵便局(現KITTE)でも知られる吉田鉄郎の設計で、その重厚なれんが造りが京都のランドマークのひとつとして愛されてきた。その建物を改修した商業施設「新風館」は、2020年6月から新たな歴史を刻みはじめている。建築デザイン監修に隈研吾氏を迎えてリニューアル、エースホテル京都を中核施設として、映画館を含む多彩なショップが入る新拠点へと生まれ変わったのだ。

エースホテルは1999年に米国西海岸のシアトルに誕生。きっかけは創業者のアレックス・カルダーウッドが、音楽仲間が滞在できるようにと古いビルを改修してホテルをつくったこと。これまで米国と英国で展開してきた9つのホテルは地元民と旅人との交流の場となり、街ごとに新しいカルチャーを生み出してきた。そして、アジア初進出の地として京都を選んだエースホテル。スニーカーを履いたスタッフが軽やかに、大切な友人に接するように心地よい距離感で迎えてくれるのは、京都にあっても同じ。ここでは一体どんな文化が生まれていくのだろう。

ロビーの壁には鹿児島県の障がい者福祉施設・しょうぶ学園によるファブリックアート。手刺繍を施した色・柄豊かな布をつなぎ合わせた作品はこのホテルのためにつくられた

キーワード

エースホテル京都の類まれな魅力を読み解くには、館内のあちこちで感じる4つのエッセンスが手掛かりになりそうだ。

「COMMUNITY」

新しいコミュニティが自然と醸成されていくのが、エースホテルの真骨頂。ロビーやDJブースのあるラウンジなど、開放感あるあちこちのスペースは、ホテルのゲストと地元民とのコミュニケーションが生まれる場に。

ロビーに隣接する「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」で購入したドリンク・スナック類は、店内だけでなく、ロビーのソファや長テーブルでもゆったり楽しめる。

DJブースが併設されたメキシカンレストラン&バー「PIOPIKO」のラウンジ。カジュアルな価格のフードと酒で「音楽を楽しみながら気軽に一杯」と、自然と人が集まる空間に。

「ART&MUSIC」

エースホテルに満ちあふれるものといえば、音楽とアート。ロビーやカフェ・レストラン、そして客室で出合う心躍るメロディと美しい造形が、人と人との距離を近づけ、ここでの時間をより心地よいものにしてくれる。

TEACのターンテーブルを一部客室に、Tivoliのラジオを全室に設置。レコードは懐かしい邦楽や洋楽を含め数種類用意され、誰もが気軽に音楽を楽しめる。ギターを備えた部屋も。

ロビーの一角にあるギャラリーでは、エースホテル京都セレクトのアート作品を展示。撮影時は滋賀県のやまなみ工房所属・田村拓也氏による、鮮やかな色彩に目を奪われる絵が。

「WORLD WIDE」

多民族が共生する米国を拠点とするエースホテルだけに、館内のカフェやレストランもワールドワイド。館内にはフェアトレードをいち早く手掛けたコーヒーショップやイタリアンレストラン、メキシカンバーも揃う。

ポートランド発でサードウェーブコーヒーの代表格「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」も日本初上陸。窓には韓国のポジャギスタイルを元にしたアダム・ポーグ氏の作品。

ウェス・アヴィラ氏によるLAスタイルのメキシカンを供す「PIOPIKO」。バーカウンターにはドクロ形のテキーラのボトルが並び、京都にいながらメキシコの風が。

刺激的なサルサの「カリフラワーのタコス」とメスカルベースのカクテル「テラピン」。大葉や梅など和食材もアクセントに。

「JAPANESE」

日本を感じさせるものがさりげなく溶け込んでいるのも、エースホテル京都の魅力。京町家の格子を思わせるルーバーに街の通りへとつながる庭、日本の職人・アーティストによる手仕事が随所にちりばめられている。

旧京都中央電話局の建物を生かした保存棟の客室「ヒストリックツイン」。柔らかい光を届ける和紙の照明に、染色家・柚木沙弥郎氏によるシルクスクリーンの作品が映える。

新風館の共用スペースにある中庭。伝統的な京町家の庭を、現代の京都にふさわしいしつらえに進化させたランドスケープがれんが造りの保存棟と新築棟をゆるやかにつなぐ。

インスピレーションがわく
誰にでも開かれた空間

京都駅から地下鉄でふた駅の烏丸御池。駅直結というアクセスもうれしいエースホテル京都は、ビジネス街の中心地にある。だが一歩足を踏み入れると、周囲の喧騒は聞こえず、むしろ心地よい旋律がいつも流れていることに気づく。ロックからラテン、時にボサノヴァ風までさまざまなジャンルの総じて耳馴染みがよく、リラックスできる音楽だ。全客室にはラジオ、一部客室にはギターやターンテーブルが置かれ、いつでも音楽に触れることができる。レターパッドには五線譜まで忍ばせてある。「創業のルーツからして、エースホテルと音楽は切り離せない関係にあります」と教えてくれたのは、マーケティングを担当している田畑壮一朗さん。「音楽イベントも手掛けていた創業者が仲間のためにつくった最初のホテルでは、アーティストが置き土産のように壁に絵を描いたりも。そんな自由な空気がいまも、各地のエースホテルに漂っています」。

ホテルに集ったアーティストやクリエイター、そして地元住民の間で自然多発的に交流が生まれ、それが街に新しい力を与えていったというエースホテル。そんなわけで、当然のようにエースホテル京都のロビーも、24時間誰もが入り、寛げるオープンなスペースに。ランニング帰りにソファで休む宿泊客の横で、7時から開くコーヒーショップを目掛けやってきた近所の人が朝の一杯を楽しんでいる。日中には新風館の買い物帰りにひと休みしたり、長テーブルにパソコンを広げて仕事にいそしむ人も。コロナ禍で開業が予定より遅れ、観光客の受け入れもまだ多くはないが「かえって地元の人がたくさん来てくれていることはうれしいですね」。街に新しいコミュニティをつくるのが得意なエースホテルにとって、歴史的に完成された街・京都への出店は新たなチャレンジだ。

「コロナが終息してきたらDJブースがあるラウンジもイベントによっては出入り自由になります。ギャラリーでのアートレセプションのかたわらで、金継ぎ体験などのワークショップをしたり。同時多発的に何かが起きているという状況が理想。『あそこにいけば何かおもしろいものと出合え、インスピレーションがわく』、そんな風に思ってもらえる場所になれたら」。京都の街中で新風を吹かせはじめたエースホテル。ここから多様なカルチャーがわき出す日はきっと、もうすぐだ。

 

エースホテル京都
住所|京都市中京区車屋町245-2 新風館内
Tel|075-229-9000
客室数|213室
料金|1泊1室3万円〜(税・サ別)
カード|AMEX、Diners、JCB、MASTER、VISA
IN|15:00
OUT|12:00
アクセス|車/JR京都駅から車で約13分(駐車場なし)電車/京都市営地下鉄烏丸御池駅南改札直結
施設|レストラン、バー、コーヒーショップ、ジム、イベントスペース、会議場、宴会場、ギャラリー、犬と宿泊可能の部屋あり、Wi-Fi
www.acehotel.com/kyoto

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text: Kaori Nagano, Yuki Ito(Arika Inc.) photo: Kohei Yamamoto plan: A2WORKS
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