ART

日本民藝館
「暮らしの中の美しさと柳 宗悦の世界観に触れる」

2021.8.8
日本民藝館<br>「暮らしの中の美しさと柳 宗悦の世界観に触れる」
堂々たる門構えの「日本民藝館」は、柳宗悦自らが設計し、東京都の指定有形文化財(建造物)に登録されている

休日は知識や見識を広め、感性が磨かれる美術館巡りへ出掛けませんか? 都内にはさまざまなジャンルのアートが楽しめる美術館が数多く点在しています。また作品のみならず建築や庭園の美を楽しむのも美術館巡りの醍醐味です。気軽に足を運べる東京都内にある美術館の魅力を伝える本企画。今回は、暮らしの中の美しさや柳 宗悦の世界観に触れることができる「日本民藝館」を紹介します。

館内には至るところに椅子が置かれ、くつろぎの時間を過ごせる。作品が展示されている棚は柳 宗悦によるデザイン

駒場の住宅街に突如として現れる、堂々とした佇まいの日本家屋。“用の美”を唱えた民芸運動の創始者である柳 宗悦が、民芸品の美しさを紹介するために、彼の提唱する考えに賛同した仲間とともに、1936年に創設したのが「日本民藝館」だ。現在はデザイナーの深澤直人が館長を務めている。

引き戸を開けた目の前には、一段上がるごとにギシギシと音が響くシンメトリーの階段。磨き上げられた廊下、中庭に何気なく置かれた壺など、まるで建物自体が美術品のよう。

計7室の本館陳列室はそれぞれジャンルごとに分かれており、日本をはじめ、韓国や欧米などの陶磁器、絵画、染織、木漆工品などを陳列。

渡り廊下でつながる新館では、企画展を行う。約3カ月ごとに陳列替えされ、朝鮮工芸、沖縄の染織、イギリス古陶など、柳が収集した約1万7000点ものコレクションの中から出展される。また、柳の元自邸である西館は、月4日間のみ限定公開しており、数々の名著を生み出した書斎の本棚には、今も柳の愛蔵本が並んでいる。

館内には、屋内、屋外を問わず至るところに椅子が置かれ、誰でも自由に座ることができる。椅子にゆっくり腰掛けて、柳 宗悦が過ごした空間の中で、柳 宗悦が愛したものたちを存分に楽しもう。

スタッフが教える!当館の魅力

美しい工芸品をこの手に!
ミュージアム・ショップ

「ミュージアム・ショップで販売する商品は、毎年開催される日本民藝館展での入選作を中心に選んでいます。手仕事の魅力を感じることができる品々ですので、ぜひご覧ください」

見逃し厳禁!これぞ当館の「東洋の美」

漆絵箔置柏文秀衡椀 桃山〜江戸時代 17世紀

「『染付秋草文面取壺(瓢形瓶部分)』は、日本で絶大な人気を得た朝鮮時代の陶磁です。1914年、後に「朝鮮陶磁の神様」といわれた浅川伯教よりこの壺を贈られた柳宗悦が陶磁器の美に目覚め、朝鮮陶磁が広く知られるようになりました。『築島物語絵巻』は素朴な筆致で描かれたいわゆる「御伽草子絵巻」のひとつで、平清盛の経ヶ島築島の説話を描いたもの。『漆絵箔置柏文秀衡椀』は、椀の内側は朱、外側は黒漆で、口縁部の雲型には金箔による四菱をあしらった豪華な椀。見ごたえがあります」

築島物語絵巻 2巻のうち部分図 紙本着色 室町時代 16世紀
染付秋草文面取壺 (瓢形瓶部分) 朝鮮時代 18世紀前半

施設紹介

本館廊下
本館道路向いに建つ西館(旧柳宗悦邸)は、栃木県から移築した石屋根の長屋門と、それに付設した母屋からなる。日本民藝館開館1年前の1935年に完成、母屋の設計は旧館と同じく柳宗悦。72歳で没するまで、柳宗悦が生活の拠点とした建物だ

日本民藝館
住所|
目黒区駒場4-3-33
Tel|03-3467-4527(ハローダイヤル)
開館10:00〜17:00(最終入館は閉館30分前まで)
休館日|月曜(祝日の場合は翌日)、展示替期間、年末年始
料金一般1200円
交通|京王井の頭線駒場東大前駅西口から徒歩7分
駐車場|あり(3台)
https://mingeikan.or.jp

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photo=Yuichi Noguchi
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