御所南で150年近く茶商を営む柳桜園茶舗。茶を思い、風味を大切にする商いは茶人にも認められ、各流派や本山にも茶を納めています。味へのこだわりからいまも抹茶は店の奥で挽き上げており、それを店主自らが量り売りする様子は、ここでしか見られない景色のひとつになっています。今回は、柳桜園茶舗が誇る技術や茶の数々を前後編記事でご紹介。
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「柳桜園茶舗」を代表する茶
店頭には抹茶から普段使いの番茶までさまざまな種類の商品が並び、用途や予算に応じた銘柄を選ぶことで、茶とのいい関係が築ける。
抹茶
柳桜園茶舗が最も力を注ぐのが抹茶。三千家の家元から銘を賜る最高級品のほか、気軽に日常使いができる銘柄も揃えている。
※価格は40gあたり
特別挽上 濃茶「錦上の昔」
濃茶の中の最高級品。口中でふくよかな旨みが広がり、苦みはほとんどといっていいほど感じられない。香りもよく、申し分のない風味が楽しめる。3780円濃茶「祝の白」
菓子によく合い茶会でも用いられる。穏やかな風味とともに濃茶の美味しさを強く感じられる。特別挽上品3132円、ほか2700円もある特別挽上 薄茶「雅の白」
軽やかな苦みが広がる心地よい余韻が印象的。薄茶としての旨みをしっかり感じられ、深い味わいが茶の愛好家からも評判。2592円濃茶「初昔」
濃茶の入門用ならこちら。稽古用にも適し、茶本来のほのかな苦みがある。濃茶としてもちろん濃いめのお薄としての使い方もあり。2160円薄茶「峰の白」
薄茶の中で最も売れている銘柄。旨み、苦み、甘みのバランスがよく何杯飲んでも飲み飽きることがない。日常使いにおすすめ。1836円薄茶「松の白」
「峰の白」に比べると味全体のバランスはやや軽く、さらに飲みやすい。抹茶を日常的に味わうなら、「峰の白」か「松の白」のどちらかを選びたい。1512円思いのほか気楽!日々の生活でも抹茶を愉しみたい
①抹茶茶碗がない場合はカフェオレボウルなど深めのカップで代用もあり。茶筅は購入を
②抹茶は1杯1.5g程度が目安。何度も点てるうちに自分にとってのベストの量がわかる
③湯は1杯70㎖程度を目安に。沸騰した湯を70〜80℃ほどに下げてから茶碗に注ぐ
④茶筅を前後に動かしながら点てる。表面の泡を細かくするかどうかはお好みでOK玉露
日光を遮る栽培法で育てられた甘みのある茶葉。淹れるときは湯の温度を50〜60℃に下げ、じっくり時間をかけて味を引き出す。※価格は100gあたり
最高玉露「青雲」
玉露のポテンシャルを高いレベルで味わえる。まるで出汁のような濃厚な旨みをダイレクトに感じられる。5400円高級玉露「鳳凰」
玉露らしい青々とした色と味が特徴。ぬるめの温度帯で何度も淹れた後、熱い湯でサッと淹れても美味しい。3240円特上「熱湯玉露」
日光を遮る日数が玉露の半分ほどしかないかぶせ茶を熱湯で淹れて玉露風味を楽しむお茶。後口もスッキリ。1296円煎茶
玉露とは対照的なスッキリ系。キレのある味わいは甘いお菓子とも好相性。70〜80度の熱めの湯で淹れると茶葉本来の風味を味わえる。※価格は100gあたり
最高煎茶「彩光」
宇治茶の最高ランクの品質をうたう銘柄。キレのよい煎茶のよさを保ちつつ濃厚な旨みもある。3240円高級煎茶「朝日」
柳桜園一番人気の煎茶。苦み、渋み、旨みのバランスが整い特に旨みの成分がしっかり。深みのある一杯になる。2160円「駒影」
淹れ方次第で高級感も日常感も引き出せる。熱湯でさっと淹れてもパンチの効いた風味に。味の広がりを実感する茶葉。1080円番茶
普段使いの茶の総称。主に茶の製造過程で残る葉や茎でつくられる。カフェインが穏やかなものもある。
かりがねほうじ茶「香悦」
看板銘茶。茎をメインに浅煎りし、低温でじっくり火入れをすることで特有の上品な香りに。茶人にも愛されている。864円/90g上柳「ほうじ茶」
茎はほとんど入れず、葉がメインのほうじ茶。あっさりしていて、日常のがぶ飲みならこの茶がおすすめ。648円/200gかりがね「玄米茶」
煎った国産玄米とかぶせ茶をブレンド。緑茶の風味がしっかり感じられ、煎った玄米の香ばしい香りが長く続く。648円/100g京風味「刈番茶」
京都で日常的に飲まれている茶といえばこちら。京都のものは特有のスモーキーな香りがある。648円/300g土曜日限定販売のお茶も!
手煎り「焙煎焙じ茶」
看板銘柄の「香悦」のワンランク上を土曜日限定で販売。手煎りならではの上品な味が楽しめる。予約可。1728円/120g(缶入)柳桜園茶舗
住所|京都市中京区二条通御幸町西入ル丁子屋町690
Tel|075-231-3693
営業時間|9:00〜18:00
定休日|日曜
text: Mayumi Furuichi photo: Mariko Taya
Discover Japan 2022年11月号「京都を味わう旅へ」