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《国立科学博物館》
国内唯一国立の総合科学博物館【前編】

2022.10.20
《国立科学博物館》<br><small>国内唯一国立の総合科学博物館【前編】</small>

国立科学博物館は、約2万5000点の標本を展示する日本最大級の博物館だ。恐竜の化石から動物の剥製、日本列島の歴史、最先端テクノロジーまで、遊び心も取り入れたワクワクさせる展示で、自然史と科学技術史を探究できる。

今回は、広大な展示室を有し、ダイナミックな剥製や迫力ある実物資料などが展示されている「地球館」の魅力を紹介。

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生物から知る地球の歴史
1階「地球史ナビゲーター」では、約700万年前に生まれた人類の頭骨と脳の進化の過程を展示。こちらのフロアでは、地球上に芽生えた細胞が生物の多様化をもたらした経緯なども紹介している

大迫力の骨格標本から知る恐竜のナゾ
地下1階の展示室では、さまざまな実物化石や復元骨格を通じ、恐竜の謎に迫っていく。30分に一度、照明が暗くなり、壁に映る恐竜の影の変化を見るのも楽しい。「始祖鳥とヒト」を比べるユニークな展示も人気

地球環境の変動、生物・人類の進化
地下2階では「誕生と絶滅の不思議」をテーマとし、哺乳類の起源から人類の進化の過程などを紹介。写真は1300年ほど前から太平洋の真ん中まで航海をしていたポリネシア人のカヌーを再現したもの

地球に生まれた生命の歴史を探る

地球館のテーマは「地球生命史と人類」。地下3階から地上3階、展示面積約7900㎡に及ぶ広大な展示室で、多様な生き物が深くかかわり合い、生命の誕生と絶滅を繰り返してきた地球の進化の道のりや、人類の知恵の歴史を展示している。

地球館は基本的に順路がなく、好きなフロアから自由に鑑賞できる構成だが、ぜひ1階のシンボルゾーン「地球史ナビゲーター」からめぐってほしい。ここは地球館の展示室全体をつなぐ場。宇宙、生命、人間の壮大な物語を大きな3つのスクリーンで映し、近未来的な空間をつくり出している。中央には恐竜の標本としては日本ではじめて全身骨格展示されたアロサウルスが鎮座。まるで138億年続く宇宙と46億年前に誕生した地球の歴史を、静かに見守っているようである。展示室の奥へ進むと、巨大なマッコウクジラ半身模型付全身骨格標本の姿が。これは半身模型と実物骨格を組み合わせた世界初の標本で、肛門、へそ、眼、耳を再現するなど、リアルなマッコウクジラを学べる工夫が施されている。

2階では科学技術の過去、現在、未来を紹介。多数の体験型展示を通じ、江戸時代以降の科学技術の発展を体感できる内容だ。「大地を駆ける生命」と題した3階に上がると、哺乳類と鳥類を合わせて276点の剥製がズラリ。かつて上野動物園のアイドルであったパンダ、フェイフェイとトントンにも出合うことができる。

一気に地下3階まで降りると、日本の科学の礎を築いてきた偉人や、宇宙や生命を構成する物質とそれらを支配する法則が紹介される。地下2階では鉱物や化石から読み解く地球環境の変動や、生き物の進化をたどる展示となっている。地下1階はティラノサウルスやトリケラトプスなどの骨格標本が展示された人気のフロア。大きな恐竜たちがところ狭しと並び、迫力満点だ。

大人もワクワク心躍り、好奇心を刺激させられる地球館。学びの扉は誰しもに開かれていると気づかされる。

地球に暮らしている動物や鳥を知る
生きていたときと同じ姿をいまにとどめる動物たちが並ぶ3階の展示室。剥製のクオリティは高く、表情は豊かで毛並みや血管まで再現されている。トラ、クーズー、ニホンオオカミなど、動物園の人気者から珍しい動物、絶滅危惧種まで、多種多様な動物に出合える

日本の科学技術いまむかし
「科学と技術の歩み」をテーマにした展示室がある2階。写真は有人潜水調査船「しんかい6500」の1/2模型

この世界は何からできている?
地下3階は「自然のしくみを探る」。右写真の実物が埋め込まれた周期表や宇宙コーナーがある。自然科学系ノーベル賞を受賞した日本人科学者についての展示も必見。偉業を成し遂げた各博士の生き方を表す名言は心に響く

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text: Nao Ohmori photo: Shinsuke Matsukawa
Discover Japan 2022年9月号「ワクワクさせるミュージアム!/完全保存版ミュージアムガイド55」

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