TRADITION

歴史を動かした20人の天皇
|20人の天皇で読み解く日本史

2021.2.6
歴史を動かした20人の天皇<br><small>|20人の天皇で読み解く日本史</small>

126代目の天皇が誕生した2019年。今も昔も日本の歴史は天皇がつくってきたといっても過言ではありません。天皇に焦点を当ると、これまでとは違う日本の姿が見えてくるはず。

天皇の存在は日本の歴史そのもの?

平成から令和へ、新天皇の即位に伴う「改元」や「生前退位」が国民の関心ごととなっている。生前に天皇の位を譲ることを「譲位」というが、これは平安から江戸時代においては珍しいことではなかった。歴代天皇と上皇陛下(明仁)の譲位の意味合いは異なるが、中世では天皇を譲って上皇になるほうが理想的とされており、これまでに59代の天皇が譲位を行っている。

日本の天皇家は、世界の王室や皇室の中でも突出して長い歴史をもっており、神話の時代から数えると2700年、実在が確かな仁徳天皇からでも実に1700年以上に及ぶ系譜がある。古代から現代に至る日本史において、皇統が途切れることなく続いている天皇の存在は、非常に大きな意味をもつ。時代によって天皇の役割や在り方、天皇像は変わるが、それはつまり、天皇を追うことによって時代の流れやターニングポイントが把握できるということでもある。

古代には国を治める王として君臨し、平安時代には臣下の藤原氏や天皇を退位した上皇が力をもつようになる。鎌倉時代、南北朝時代に天皇の皇統争いが激化すると、その争いに武士が介入。朝廷の力が衰退していく。戦国時代には、経済的に困窮した朝廷に対し、大名から献金を受ける。その見返りに大名に位を与えるなど、お互いの利害関係が一致し、良好な関係を築く。江戸時代になると朝廷は統制を受け、政治にかかわることはおろか御所から外へ出ることもままならない状況に追いやられた。その後、明治維新によって天皇が国のトップに返り咲くも、実質的な統治は政府が主導。第二次世界大戦終戦後は、神格を否定した国民の象徴として定められ、政治から完全に分離される。

このように、各時代の天皇像を追うだけでも日本通史をざっと把握することができる。天皇が実質的に権力を握る時代は長くはないが、形式的や主観的に君主の地位にあり、それが連綿と続いていることに日本の特徴が表れている。

天皇の存在は、日本の歴史そのもの。ここでは、126代に及ぶ歴代天皇と南北朝時代の北朝天皇5人の中から、歴史を動かした20人の天皇をピックアップ。その事蹟や歴史的背景から、日本史を読み解いていこう。

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20人の天皇で読み解く日本史・第26代「継体天皇」

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supervision: Hirofumi Yamamoto text: Akiko Yamamoto, Mimi Murota illustration: Minoru Tanibata
Discover Japan2019年6月号「天皇と元号から日本再入門」

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