神社めぐりがさらに楽しくなる
6つの日本の建築様式
《参拝が楽しくなる基礎知識》
日本全国には8万を超える神社があるといわれ、その中でも神社の大きな見どころのひとつである「6つの主な建築様式」を知っておくのがおすすめだ。宗教史研究家の渋谷申博さん監修のもと、知れば神社めぐりがさらに楽しくなる、日本の建築様式についてご紹介。
① 神明造
伊勢神宮正殿が原形の、最も古い建築様式のひとつ。本を伏せたような切妻造(きりづまづくり)の屋根、屋根の端に飛び出た板・千木(ちぎ)、棟の上の丸太・鰹木(かつおぎ)が特徴。
② 大社造
出雲大社の本殿を原形とする、神明造と並んで古い様式。神明造と似ているが、入り口は妻(屋根が三角形に見える側)にある。神明造は倉が起源だが、こちらは古代の住居が起源。
③ 住吉造
住吉大社の本殿が原形の建築様式。大社造に似ているが、壁が白、柱が朱に塗られているのが特徴。内部が2部屋に分かれ、前を外陣、後ろを内陣という。現在は前側に拝殿が付属。
④ 流造
上賀茂神社・下鴨神社の本殿が原形。切妻造で、神明造のように棟と平行な面に入り口がある「平入り」の社殿の庇が、前に延びたかたちをしている。この様式の社殿が全国に最も多い。
⑤ 春日造
春日大社の本殿を原形とする建築様式。大社造と同様、切妻造・妻入りの社殿の入口上部に庇が付いたかたちで、比較的小型の社殿が多い。社殿の下に土台があるのも特徴だ。
⑥ 八幡造
宇佐神宮本殿を原形とする建築様式。八幡神を祀る神社で用いられるため、この名で呼ばれる。切妻造・平入りの社殿を前後にふたつつないだかたちで、どちらも本殿とされる。
鳥居の種類、実は60以上!?
鳥居は神社のシンボルであり、聖域の境界を示すものであるが、その起源は明らかではない。意外にもその種類は多く、60種以上にもなるが、大別すると簡素な「神明系」の鳥居と装飾性の強い「明神系」の鳥居に分けられる
【明神鳥居】
明神系鳥居の基本形。朱色に塗られたり、笠木が反っていたりと、鳥居の中でも装飾性が強い。日本全国で最も多い鳥居様式とされ、神仏習合の色合いが強い神社で多く見られる
【神明鳥居】
シンプルな鳥居である、神明系鳥居の基本形。神明とは伊勢神宮正殿のことで、伊勢神宮や朝廷と関係が深い神社に多い。円柱形の柱にまっすぐな笠木(一番上の横木)をのせたかたちが特徴
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イラスト=アキ イシバシ 図面制作=A2WORKS
Discover Japan 2023年8月号「夏の聖地めぐり。」