《うめきた公園》
大阪に自然と人をつなぐランドスケープが誕生
大阪・旧梅田貨物駅跡地に誕生する、都市公園「(仮称)うめきた公園」は、2027年春に全体開園を目指し、現在工事が進められている。大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の約45,000㎡の面積を誇り、サステナブルなまちづくりに配慮した最先端の技術を積極的に導入している。公園は南北の2つに大きく分かれ、それぞれ特色ある空間づくりがされている。公園をより一層楽しめるように、カフェやレストラン、建築家・安藤忠雄氏監修のミュージアムなどの施設も充実している。2024年夏頃には先行開園が予定されている。
「うめきた公園」誕生の背景
うめきた2期地区には、もともと関西の一大物流拠点である「梅田貨物駅」があった。1987年に旧国鉄分割民営化で国鉄からJRに変わったときに貨物駅の移転が決まり、その跡地は将来的にまちづくりに利用すると計画された。現在は、吹田貨物ターミナル駅と百済貨物ターミナル駅にその機能が引き継がれている。
このエリアには「東海道本線支線」が通っており、貨物列車のほか、和歌山・白浜などに向かう特急「くろしお」と関西国際空港に向かう特急「はるか」が走行していたが、大阪駅には停車していなかった。しかし、新駅開業で直接乗り入れが可能となり、これまで大阪駅から関西空港駅まで64分かかっていたところ、大阪駅で特急はるかを利用することで、平均48分と16分ほど短縮できることになるそうだ。空港へのアクセスだけではなく、和歌山方面へ向かう特急「くろしお」も利用可能。観光地として人気のある「熊野古道」へ行きやすくなり、おおさか東線の乗り入れも可能になるため、大阪東部からのアクセスも便利になる。
新駅名は「大阪駅」となり、既存の大阪駅に新しいホームが追加されるイメージだ。
サステナブルなまちづくりを発信
うめきた公園を含むうめきた2期地区開発プロジェクトは、多様性を受け入れる社会構築のために「みどり」と融合した生命力あふれる都市空間や、イノベーション活動の起点となる施設、市民や企業など、さまざまな人々が新しい活動にチャレンジできる場や仕組みをつくり、活力に満ちた創造的なライフモデルをうめきたから関西、そして国内外へと発信していく。
また、次世代に向けたサステナブルなまちづくりとして世界に発信していくために、CO2排出量削減や国内初の導入となる大規模帯水層蓄熱システム、バイオガス発電など、環境に配慮した最先端の技術を積極的に導入。それとともに災害時には周辺の避難者や帰宅困難者を受け入れる場であり、広域避難場所としても機能していく。
日本らしさ、大阪らしさ、
うめきたらしさ、を感じるデザイン
うめきた公園全体のランドスケープは、アメリカのGGNがデザインリードを担当し、設計は日建設計などが担当。『未来へのひらめきと原動力となる「みどり」』をデザインコンセプトに、うめきたの持つ歴史や風土、土地の構造からランドスケープの最適解を導き出し、大阪がかつて多くの河川が流れる水都として繁栄してきた歴史や風土を踏まえ、本来のうめきたの大地や大阪の季節感を感じさせる景色などをつくり出すそうだ。
グスタフソン・ガスリー・ニコル(GGN)
1999年に、女性ランドスケープアーキテクトのジェニファー・ガスリー、シャノン・ニコール、キャサリン・グスタフソンの3名がシアトルで設立したランドスケープデザイン事務所。シアトルとワシントンD.C.のスタジオを拠点に、世界の各都市でプロジェクトを手掛ける。2017年には米国ランドスケープ協会のナショナル・ランドスケープ・アーキテクチャー・ファーム・アワード受賞。代表作に、アメリカ・シカゴのミレニアムパーク内にある「ルリー・ガーデン」、ワシントンD.C.の「国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館」のランドスケープなど。
南エリア
芝生広場と水景の「リフレクション広場」
園内は、最大高さ3mのランドフォームを南北公園をまたいでうねるように配置し、3つの主要空間「リフレクション広場」「うめきたの森」「ステッププラザ」の奥行きや立体感のある空間・景観を生み出し、来園者の体験価値を高める工夫がされている。
南エリアの「リフレクション広場」は、上質な天然芝を使用した芝生広場と、水遊びができる水景施設、四季の草花が楽しめる庭園が設けられている。SANAAが設計する、大屋根イベントスペースを使って1万人規模のイベント開催が可能。イベントスペースの隣にはキッチンカーが並んでいて、そこで食べ物やスイーツを買えるそうだ。
また、運動や健康に関する展示やイベント・プログラムが体験できる”スポーツキューブ”も設置。屋外テラスと一体となった施設で、心身ともにリフレッシュできる。
妹島和世+西沢立衛 / SANAA
SANAAとして、2004年ヴェネチアビエンナーレ国際建築展 金獅子賞、2010年プリツカー賞など数多くの賞を受賞。 金沢21世紀美術館をはじめ、熊野古道なかへち美術館、飯田市小笠原資料館、ルーヴルランス(ランス、フランス)、ニューミュージアム(ニューヨーク、アメリカ)など、近年の主要な美術館建築を手がけている。また、展覧会や家具デザイン、空間構成なども幅広く手がける。http://www.sanaa.co.jp/
北エリア
緑豊かな自然を感じられる「うめきたの森」
北エリアの「うめきたの森」は緑と芝生広場、間に池や滝が流れ、自然を感じられる。大阪の桜の新名所をつくるほか、モミジやカツラなどの紅葉の美しい樹木や、ハナショウブやツツジ類といった日本で古来より親しまれている花類を繊細な配色により演出することで、年間を通して日本の四季の美しさを楽しめる。そのほかにも、安藤忠雄建築研究所が設計監修する「ネクストイノベーションミュージアム」を設置。
安藤忠雄(あんどう・ただお)/安藤忠雄建築研究所
1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設立。代表作に「光の教会」「ピューリッツァー美術館」「地中美術館」など。1979年「住吉の長屋」で日本建築学会賞、1993年日本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2003年文化功労者、2005年国際建築家連合(UIA) ゴールドメダル、2010年ジョン・F・ケネディーセンター芸術金賞、後藤新平賞、文化勲章、2013年フランス芸術文化勲章(コマンドゥール)、2015年イタリア共和国功労勲章グランデ・ウフィチャ―レ章、2016年イサム・ノグチ賞など受賞多数。1991年ニューヨーク近代美術館、1993年パリのポンピドー・センターにて個展開催。イェール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授歴任。1997年から東京大学教授、現在、名誉教授。http://www.tadao-ando.com/
南エリアと北エリアをつなぐ、空中デッキ「ひらめきの道」からは、公園の風景を上空から眺めることができる。
地上部は「ステッププラザ」が設けられ、道路と公園が連続したデザインとして南北の一体化を図るなど、特色ある空間が生み出される。
自然豊かな空間で散歩や運動、ショッピング、コミュニケーションが生まれるきっかけ場となる、大阪の新たなランドスケープ「うめきた公園」の完成が楽しみだ。
うめきた公園(仮称)
住所|大阪市北区大深町地内
https://umekita2.jp/
※2022年5月時点のイメージパースであり、今後変更となる可能性があります。(提供:うめきた2期開発事業者)