TRADITION

知っているようで実は知らない伊勢神宮の基本
伊勢神宮入門 – 2

2020.10.16
知っているようで実は知らない伊勢神宮の基本<br><small>伊勢神宮入門 – 2</small>

年末年始はもちろん、年を通して伊勢神宮へ参拝に出掛ける人は多いでしょう。しかし、伊勢神宮のことを知っている人はどれくらいいるのでしょうか? 参拝に行く前に、まずは神社の本宗である伊勢神宮のルーツから基礎知識、参拝の際に役立つ情報を紹介する本連載。第2回目は、参拝するにあたり知っておきたい、伊勢神宮の基本やちょっとしたトリビア、正しい参拝方法を学びましょう。

Q.伊勢神宮の正式名称は「神宮」ってホント?

A.
一般的には「伊勢神宮」と呼ばれているが、正式名称は「神宮」。神宮とは天皇、皇室の祖先神や大和平定に功績のある神を祭神とする神社の一部に使われている社号で、明治以降に改められた。

『日本書紀』では、伊勢神宮と石上神宮(いそのかみじんぐう)のみが「神宮」と記載され、江戸時代には石上神宮の代わりに、鹿島神宮と香取神宮の3社のみが「神宮」を使っていたという。

なぜ神宮の前に「伊勢」とつかないのか。それは、神宮がすべての神社の中心であり、唯一無二の神社であるから。特定の地域を示すのではなく、日本全体を護っていただいている神社であるためだと考えられている。

Q.宮社の数は全部で何社あるの?

A.
神宮には外宮と内宮のほかに、別宮が14宮、『延喜神名式』に所載されている摂社が43社、神宮の儀式のことをまとめて神祇官へ提出した文献である『延暦儀式帳』に所載されている末社が24社ある。さらに正宮及び別宮の所管の社である所管社と別宮所管社が42社あり、全部で125社ある。これらの宮社を含めた場合も、神宮という。

Q.ニワトリがいるのはなぜ?

A.
神嘗祭(かんなめさい)などで神々が食される神饌(しんせん)には、神宮の神田(しんでん)でつくられた米をはじめ、酒、野菜、そして海で捕れた鰒(あわび)や魚などとともに山鳥と水鳥もお供えされる。遷宮の祭典では、生きたニワトリもお供えされているという。

そのニワトリはというと、お供え後に放たれるのだ。つまり、神宮内のあちらこちらで見かけるニワトリは、神さまのお供えものであり、そして神聖な生きものなのである。

Q.大麻って何?

A.
大麻(たいま)とは、神宮のお神札(ふだ)のこと。神宮の神楽殿で直接受け取れるものと、全国の神社を通して毎年末に神宮から各家庭に頒布される天照大御神の大麻がある。神宮にお参りしてご神前を拝むと同じように、自宅でもお参りができるようにと、神宮から近くの氏神さまを通して頒布されている。厳選した素材を使い、一体一体手作業で何日もかけて奉製されているお神礼をぜひ受け取っておきたい。

Q.神宮のご神体は?

A.
皇大御神のご神体は、八咫鏡(やたのかがみ)で、八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)と草薙剣(くさなぎのつるぎ)の三種の神器のひとつ。崇神天皇の代に大和笠縫邑(かさぬいむら)に移され、天皇に代わって豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に祀らせた。そして垂仁天皇の御代に倭姫命(やまとひめのみこと)が、新たに皇大御神をお祀りするのにふさわしい地を探して、八咫鏡とともに現在の地を御鎮座の場所とした。

Q.外宮と内宮に分かれているってホント?

A.
神宮には皇大神宮と呼ばれる内宮と、豊受大神宮と呼ばれる外宮がある。内宮のご祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)で、皇室の祖神であり日本民族の総氏神とされている。一方、外宮のご祭神は豊受大御神(とようけのおおみかみ)。食物や穀物を司る神さまで、天照大御神の食事を奉るために、丹波の国から迎えられたといわれている。両宮は並列されるものではなく、あくまで内宮が神宮の中心となっている。

Q.社殿が倉庫のかたちをしているのはなぜ?

A.
神宮の内宮、外宮の御正殿の様式は唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)という建築様式。神明造は弥生時代の高床式穀倉から発展したといわれている。大切な穀物を納める倉庫に、ご神宝を納めるようになり現在のかたちになった。神宮では正宮だけでなく、別宮や摂社なども神明造になっており、見どころのひとつといえるだろう。ちなみに、一般家庭にある神棚も神明造のものが多い。

Q.なぜ賽銭箱やおみくじがないの?

A.
神宮では私幣(しへい)禁断とされており、個人的なお供えものは禁じられていた。私幣とは天皇以外の人々が神社に献げるお供えもののこと。お賽銭は私幣にあたるため、賽銭箱がない。同じくおみくじも、重要な決定事や祭り、政治において神さまのご意志を占うためにくじ引きされていたことが起源。日本を護ってくださっている神宮では、個人的な吉凶を占うことははばかれるためといわれる。

〈神宮の正しい参拝方法〉

①外宮→内宮の順番に
神宮の参拝の順路は、外宮をお参りしてから内宮へ、というのが習わし。両宮は5㎞離れているのでバスを使うのが便利。見どころも豊富なので、一日かけてゆっくりとめぐりたい。

外宮は左側通行、内宮は右側通行
御正宮へ向かう際、両宮で通行方法が異なるのも覚えておきたい。外宮は左側通行、内宮は右側通行となる。また鳥居の前では出入りの際、一礼をするのがよい。

③二拝二拍手一拝
神宮でのお参りの作法はスタンダードな二拝二拍手一拝。まず深い礼を2回して、両手を合わせて右手を少し引き、拍手を2回。最後に深い礼を1回する。後に掲載している出雲大社は、二拝四拍手一拝と異なる。

④ご祈祷には2種類ある
ご祈祷は御饌(みけ)と大々神楽(だいだいかぐら)の2種類に分かれる。御饌は一般的なご祈祷で約15分ほど。お神札と神饌(おさがり)を受けられる。大々神楽はお祓いの後、舞楽が捧げられる。時間は25~40分ほど。

伊勢神宮
住所|三重県伊勢市宇治館町1
Tel|0596-24-1111(神宮司庁)

伊勢神宮入門
1|古事記からひも解く伊勢神宮のルーツ
2|知っているようで実は知らない神宮の基本
3|外宮と内宮の全体像を俯瞰してみよう
4|伊勢神宮の見どころを厳選して案内!

text=Ichiko Minatoya,Takehiro Nambu photo=Harumi Obama,Ko Miyaji,Haruo Nakano,Tsutomu Watanabe illustration=matya、A2WORKS
2017年 別冊「伊勢神宮と出雲大社」


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≫江戸時代、歌舞伎役者はスーパースターでした。

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