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《那須塩原市図書館みるる》
森の中を散歩しているような図書空間

2022.6.30
《那須塩原市図書館みるる》<br><small>森の中を散歩しているような図書空間</small>

栃木県那須塩原市にある「那須塩原市図書館 みるる」は、JR黒磯駅に隣接し、図書館機能だけでなく、カフェや展示スペース、テラスなども備えた、まちの交流拠点。設計デザインは建築スタジオ「UAo」の伊藤麻理氏が手がけた。那須塩原市の地域アイデンティティでもある「森」を取り入れ、「本棚」が印象的な空間を作り出した。駅とまちをつなぐ駅前広場と一体化した「那須塩原市図書館 みるる」の魅力を紹介。

交流センターのような図書館

「那須塩原市図書館 みるる」は2020年9月にオープン

那須塩原市JR黒磯駅前に建つ「那須塩原市図書館みるる」は、黒磯の地域活性化を目指した、都市再生整備計画事業の一環として建設された。

図書館を中心にホール・ギャラリー・カフェなどの機能をもつ、市民のための交流拠点となっている。

”森”のような空間

2021年度グッドデザイン賞受賞

設計デザインは建築スタジオ「UAo」の伊藤麻理氏が手がけた。那須塩原の地域アイデンティティでもある「森」を表現し、館内に点在する言葉の彫刻(アフォリズム)や展示物、活動を通して、学びのきっかけとなる空間づくりを目指した。

館内は、1階を市民の日常に近い沢山の機微が交わる賑わいの空間、2階を心地良い没入の書架空間とした。1階の「森のポケット」は、木立の中にパッと空が抜けて、光が注ぐポケットのような吹き抜けの空間である。


木立の下で本や人と触れ合う森のような空間をつくり上げた

 
図書館全体は、放射状の本棚によって構成されている。1階は、空間を緩やかに分ける格子状の間仕切りが木立の間から見通すように視線が抜けているため、一体感のある空間をつくり出している。2階では、放射状本棚を図書分類の円グラフに置き換え、直線的な検索性を確保しながら、分類された書架を横断する散策空間となっている。

図書館全体を覆う、木立の樹冠の下端を模したルーバーの天井が、その高低差で緩やかに区切られた大小の空間をつくり出している。ルーバーを通して1階まで降り注ぐ木漏れ日は多様な光の環境を生み出す。

駅と街をつなぐ駅前広場と一体化したデザインがされている

また、伊藤氏は駅前広場を含む駅周辺の一体もデザイン。新しいまちの顔となる駅前には自然を織り交ぜた、小さな公園のような空間が広がっている。駅周辺の雨除けも、図書館の天井と同じようなジオメトリーなデザインが施されているため、図書館とその前の自然の空間に一体感が生まれている。

建築家
伊藤麻理(いとう・まり)
1974年栃木県生まれ、1997年東洋大学工学科建築学科、1999年東洋大学大学院工学科建築学専攻修士課程修了、1999年株式会社スタジオ建築計画(日本)(〜2000年)、2001年Atelier Kempe Thill architects and planners(オランダ)、2006年アトリエインク設立、2009年一級建築士事務所Urban Architecture Office./合同会社に改名、2013年UAo株式会社に変更、2006年~東洋大学非常勤講師
https://www.u-a-o.jp/

施設内の紹介

ギャラリー
カフェスペース

<1階>
森のポケット①
アート関連の書籍を配置するとともに、アート関連イベントなどを開催。まだ、アート369プロジェクトに関連したアート作品の展示なども行っている。

森のポケット②
料理や手芸、子育てに関する本が集められたエリア。子育てコーナーは見出しを細かく入れて目的の本が探しやすくなっている。飲食もでき、ゆっくり<つろぐことのできるスペース。

森のポケット③
常設展示の芥川賞、直木賞、本屋大賞は貸出も多く人気のコーナー。そのほかにも、定期的に入れ替わる企画展示などを行っている。

えほんのもり(児童図書館)
周辺が本棚で囲まれた、子どもがワクワクできるスペース。11びきのねこやしろくまちゃんなどかわいいぬいぐるみたちと一緒に読書を楽しめる。中央では靴を脱いでゴロゴロしたり、毎週土曜日には読み聞かせも開催。授乳室や調乳用温水器、こどもトイレも設置されている。

カフェスペース
那須町の「森林ノ牧場」が運営。読書の合間に、おいしいコーヒーや軽食で、心も満たされる。本棚には人気の『ミセス』や『天然生活』、『日経PC』など、さまざまな分野の雑誌100誌以上が並ぶ。最新号は館内で読むことができ、バックナンバーは借りることもできる。

<2階>
アクティブラーニングスペース
階段状になってあり、通常の読書はもとより、グループでのディスカッションなど、幅広い読書や学習活動が可能なスペース。

サイレントラーニングスペース(学習室)
おしゃべりをしない場所として、個人学習や読書を行える部屋。

そのほかにも、2〜4人のグループ用学習ブース「学習室A」や、個人用学習ブース「学習室B」もある。学習室は予約端末で予約することで利用可能。

オーダーメイドの椅子は、防汚・撥水コーティングを施している。シンプルなデザインは空間になじみ、落ち着いて座れる

駅前空間と図書館が一体化したデザインは、地域の暮らしの質を向上させると同時に、本に接する機会を増やし、図書館本来の役割をより一層強化する仕掛けとなっている。そんな「那須塩原市図書館 みるる」で読書を楽しんでみてはいかがだろうか。

那須塩原市図書館 みるる
住所|栃木県那須塩原市本町1-1 JR黒磯駅西口前
開館時間|火〜金曜日(10:00〜21:00)、土・日曜日・祝日(10:00〜18:00)
休館日|毎週月曜(月曜日が祝日の場合は開館、翌平日を休館)
Tel|0287-63-9031
https://www.nasushiobara-library.jp/

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