FOOD

向付(むこうづけ)とは?
歴史や成り立ち、黄金比を学ぶ。
|うつわと料理談議③

2024.1.9
向付(むこうづけ)とは?<br>歴史や成り立ち、黄金比を学ぶ。<br><small>|うつわと料理談議③</small>

「最近、食卓に上がるうつわがマンネリになってきた……」そんなお悩みがあるなら、自宅で向付、いかがでしょう? 向付は忙しない日常に潤いを与えてくれる救世主。その歴史や成り立ち、かたちや組み合わせなどを学んで、毎日の食卓をより楽しく彩りましょう。

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<column 1>
そもそも「向付」とは?

茶懐石で最初に出されるお膳の上で、飯碗と汁椀の“向こう側”に置かれるうつわ、もしくはそのうつわに盛られた料理を指す。もともとはなます、近年では刺身が多い。茶懐石では料理を食べた後に向付を取り皿として使うため、茶事の趣向や季節感を表す重要な役割を担った

<column 2>
「向付」のかたちに決まりはある?

33〜36㎝四方のお膳で供されていた向付は、飯碗、汁椀とともにお膳にのるサイズであればかたちに決まりはない。料亭では季節などに合わせて作家に発注するケースも一般的で、魚や葉っぱなど自然のモチーフを模した向付も多い

<column 3>
向付は、どのように歩んできたの?


◎1336〜1573年頃
茶人・千利休以前の室町時代、本膳料理の一品として使われていた
 
◎1522〜1591年頃
茶人・千利休が確立した「一汁三菜」の「菜」を担う
 
◎1615〜1624年頃
存在感のある織部焼の向付が現れる(わび茶としての一汁一菜)
 
◎1579〜1647年頃
茶人・小堀遠州により「綺麗さび」というスタイルが流行
 
◎1603〜1869年頃(18世紀前後)
「向付」の名称が現れ、三菜を刺身(向付)、煮物椀、焼物とする形式が確立する
 
◎1801〜1900年頃(19世紀初期)
今日の懐石料理における献立の8割方が標準化する
 
◎1801〜1900年頃(19世紀前半)
寛政期から天保期にかけて、懐石料理がほぼ完成

<column 4>
向付の組み合わせに黄金比はある?

和食では、かたちや材質の異なるうつわを取り合わせるのが基本。汁椀が漆器、めし碗が陶器なら向付は磁器にするなど、統一感とは真逆の美意識をもつ。向付は“あえてバラバラ”を楽しんで

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向付で料理を美味しく盛りつけるコツ 7選
 
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text: Akiko Yamamoto photo: Norihito Suzuki
Discover Japan 2023年12月号「うつわと料理」

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