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食のプロが愛する
豊洲市場の朝ごはん【前編】

2023.6.24
食のプロが愛する<br>豊洲市場の朝ごはん【前編】

豊洲で働く人々にとっての“おうちごはん”でもある市場メシ。舌の肥えたプロ御用達の店には、いつ訪れても変わらない味と暖簾を守る心意気があった。

教えてくれた人
小川貢一さん

1956年、東京都・築地生まれ。祖父が興した築地市場の仲卸「堺静」にて従事。漫画『築地魚河岸三代目』のモデルとしても知られる魚の達人で、現在は漁業関係者への取材や料理の総合監修などを手掛けている

うすいはなこさん
料理人、食文化講師。主宰する料理教室やイベントなどに使用する魚を仕入れるため、市場に通い続けたことで、あらためて魚や干物のも素晴らしさを再認識。著書に干物愛にあふれた『干物料理帖』(日東書院本社)がある

野本やすゆきさん
料料理家、「谷中松寿司」3代目店主。家業の寿司店で修業する傍ら、フードコーディネータースクールに入校。卒業後、同校講師を経て独立。料理家、寿司職人の二刀流でレシピ提供など食にかかわるジャンルで幅広く活躍中

茂助だんごの
玉ぞう(750円)

鰹・昆布・アゴで取った出汁が香る玉子雑煮は、東京の甘味処の定番。「焼き餅が、とにかく旨い。どんなに疲れているときでも食べられる味で、絶妙なサイズ感もいいです」(うすい)

『下町の人たちが絶対的に好きな懐かしい味わい』
——うすいさん

『飲み過ぎ・食べ過ぎの翌日の胃にもやさしい! 』
——小川さん

『朝の寒い時間帯に軽く食べたいときはこれ』
——野本さん

<小川さん・うすいさん・野本さんおすすめ>
茂助だんご
日本橋魚市にて、初代・福田茂助が屋台で売りはじめた団子が起源。福島県産のうるち米を使用した団子や、鬼ザラ糖によるキレのいい甘さのあんこも毎日製造。市場で働く人々の粋な手土産として人気を誇る。

エリア|7街区/管理施設棟3F
Tel|03-6633-0873
営業時間|販売 6:00〜15:00
喫茶 8:00〜14:00(喫茶は不定期のため電話で要確認)

お汁粉 (750円)、わらび餅(2個428円)
つぶ・こし餡が選べるお汁粉は、茂助だんごの要とも呼べるあんこが堪能できる一杯。「口溶けのいい茂助のわらび餅は、あんこ玉っぽくて大好き」(野本)
おさかな最中 261円(1個)/1042円(4個入りギフト)
粒あんと求肥入りの最中は、名物の団子の地位を脅かす人気商品で手土産にもぴったり。皮にはもち米の王さま、こがねもちを使う

鶏料理鳥めし 鳥藤の
濃厚!水炊き定食(980円)

ブツ切りの大山どり・特製つくね・キャベツというシンプルな具材で白湯スープを味わう一品。「定食スタイルで水炊きが食べられるのは市場ならでは。ポン酢や薬味で味変も」(うすい)

『築地時代から足繁く通ったお店。硬めに炊かれたご飯がいい』
——野本さん

『仕入れの後は絶対に水炊き。市場で最も身体が温まる!』
——うすいさん

<うすいさん・野本さんおすすめ>
鶏料理鳥めし鳥藤 豊洲市場店
1907(明治40)年創業。鶏肉専門卸の直営店とあって、メニューは親子丼をはじめとした鶏料理のみ。肉を欲する魚河岸の胃袋を支えており、強火で2日間かけて煮込んだ白湯スープが、すべての料理のベースとなっている。

エリア|6街区/水産仲卸売場棟3F
Tel|03-6633-0928
営業時間|6:30〜13:00

親子カレー 1050円
スパイスの利いたカレーと甘辛い親子丼のタレが合わさり、中毒性の高いひと皿に。4階の「鳥藤 豊洲営業所」では、店の味が楽しめる冷凍白湯スープも販売。「辛いカレーと白湯スープはご飯と味噌汁のように相性抜群」(野本)

印度カレー 中栄の
合がけ(800円)

市場内の裏メニューから誕生。スパイシーな印度カレー・甘口のビーフカレー・ハヤシライスから2種が選べる。「豊洲に誰かを連れていくときに利用するお店です」(うすい)

『2種類のカレーが一緒に食べられる貴重な店!』
——うすいさん

<うすいさんおすすめ>
印度カレー 中栄
市場で働く人々のための食堂として1912(大正元)年に創業。60年以上変わらぬカレーのレシピは、ホッとするおうちカレーの味わい。「辛くてインドっぽい」という声から印度カレーと名づけられた。

エリア|6街区/水産仲卸売場棟3F
Tel|03-6633-0200
営業時間|5:00〜14:00

とんかつ 八千代の
チャーシューエッグ定食(1600円 )

「ラーメン用のチャーシューに目玉焼きをのせてほしい」とのオーダーから生まれた限定メニュー。「和風ポークシチューのようで、とろける味わいです」(小川)
※火・木・土曜限定

『仕事終わりのペコペコなお腹を満たすボリューム!』
——小川さん

<小川さんおすすめ>
とんかつ 八千代
定食店からスタートしたフライの名店で、戦時中の配給や常連客の要望から生まれたメニューは数知れず。新鮮で上質な魚介が手に入る市場内という地の利を生かした贅沢な揚げ物は、市場関係者の支持も厚い。

エリア|7街区/管理施設棟3F
Tel|03-6633-0333
営業時間|7:00〜14:00(L.O.13:30)、土曜〜14:30(L.O.14:00)

※各店舗の定休日は、豊洲市場の休市日に準ずるほか、店ごとに異なる場合もありますのでご注意ください

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text: Natsu Arai photo: Yamato Nonaka
Discover Japan 2023年5月号「ニッポンの朝食」

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