TRADITION

石川県・能登町《あばれ祭》
火の粉の中をキリコが乱舞!能登復興のシンボルへ
|一生に一度は行きたいニッポンの祭り

2024.7.2
石川県・能登町《あばれ祭》<br><small>火の粉の中をキリコが乱舞!能登復興のシンボルへ<br>|一生に一度は行きたいニッポンの祭り</small>

間もなく夏本番! 全国各地から祭り囃子や威勢のいい掛け声が聞こえてくる季節です。そんなニッポンの夏の風物詩「祭り」。なかでも一生に一度はこの目で見たい祭りをご紹介。地域の風習が刻まれた祭りを通して郷土文化に触れる旅をしませんか?

今回は、火の粉の中をキリコが乱舞する石川県・能登町「あばれ祭」をひも解きます。

※2024年7月5日(金)〜7月6日(土)にかけて開催予定。詳しくは記事下部をご覧ください。

能登のキリコ祭りの開幕を告げる

祭り初日、高さ7mの「柱松明」5本に火がつけられる。神聖な供え物とされてきた火の粉を浴びようと、キリコが乱舞する

例年、能登半島各地では煌びやかな灯籠が街を練り歩くキリコ祭が行われる。その数は能登一円で約200を数える。その先陣を切るのが「あばれ祭」だ。約40基のキリコと燃え盛る大松明が闇夜に浮かび上がる初日に続き、2日目にはキリコに加えて神輿が登場。街中を激しく練り歩く。約350年前、宇出津で悪病が流行した際に京都の祇園社から牛頭天王(ごずてんのう)を勧請し、祭礼を行ったところ、神霊と化した青蜂(せいぼう)が悪病を祓った。そのことを喜んだ人々がキリコを担いだのが祭りのはじまりとされる。

大石 始の見どころ!
祭りを復興のシンボルに願いを込めた特別な年

あばれ祭の見どころは大松明の火の粉を全身に浴び、神輿を海や川に放り込んで破壊するクライマックスだ。壊せば壊すほど神さまは喜ぶとされていて、その荒々しさから「あばれ祭」と名づけられたといわれている。

祭りを復興のシンボルに願いを込めた特別な年

燃え盛る柱松明の周りをキリコが勇壮に乱舞する、「あばれ祭」の「大松明」。祭りを盛り上げるのは「デデンコデンデン」という太鼓の音と、「イヤサカサッサ、サカサト」の囃子だ

能登半島一帯のキリコ祭りは観光客からも人気を集めてきたが、先の能登半島地震で大きなダメージを受けた。宇出津でもキリコの材料をつくる製材所や神輿を製作する工務店が被害に遭ったが、クラウドファンディングで費用を集めるなどして2024年も開催。「あばれ祭を復興のシンボルに」という地元の人々の動きもあり、特別な祭りとなるはずだ。

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開催期間|2024年7月5日(金)〜7月6日(土)
開催場所|石川県鳳珠郡能登町 宇出津地区
交通|車/能越自動車道のと里山空港ICから約25分

監修・文=文筆家 大石 始さん
地域と風土をテーマにする文筆家。日本の祭りや伝統芸能などを中心に執筆している。旅と祭りの編集プロダクション「B.O.N」主宰。著書に『異界にふれる ニッポンの祭り紀行』(産業編集センター)など多数

text: Discover Japan
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」

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