《富山市ガラス美術館/TOYAMAキラリ》
巨匠のグラスアートと建築美に触れられる
富山市ガラス美術館は、「ガラスの街とやま」を目指したまちづくりの一環として開館。ガラス表現の魅力とさらなる可能性、さまざまなガラスの魅力を発信。建物は建築家の隅研吾氏が設計を手がけている。地元富山の木材やガラスをふんだんに使ったアートと建物の魅力を紹介。
ガラスの街とやま
富山市が「ガラスの街とやま」と呼ばれるようになった発端は、300年以上の伝統を受け継ぐ「富山の売薬」に由来。明治・大正期には、薬の周辺産業としてガラスの薬びんの製造が盛んに行われ、全国のトップシェアを誇り、戦前は、富山駅を中心に溶解炉をもつガラス工場が10社以上あり、富山県の経済を支えてきた産業の一つだった。
こうした歴史から、富山市では1985年からガラスの街づくりの取り組みを始め、約30年にわたり取り組んできたガラスの街づくりの集大成として、2015年に「富山市ガラス美術館」が開館した。
美術館がある複合施設「TOYAMAキラリ」の建物の設計を手がけたのは建築家・隈研吾氏。
外観はアルミやガラス、白御影石など異素材パネル1000枚を組み合わせ、立山連峰の山肌を表現し、天候や見る角度によって異なる輝きを見せ、まるで一つのアート作品のようだ。
館内は、2階から6階にかけて斜めに吹き抜け、自然光を最大限に活かしたつくりが特徴。また、建物内部の壁やしきりには富山県産の杉を使ったルーバー(羽板)が使われ、斬新なデザインでありながら、どこかぬくもりを感じさせる。
見た目の素晴らしさだけでなく、富山らしさを表現するため県の主産業であるアルミとガラスを使用したという点にも注目。
《施設案内》
「グラス・アート・パサージュ」
4階はコレクション展としてガラス美術館所蔵作品を展示。3階は表現豊かな現代ガラス作品の展示を中心に、さまざまな美術表現を紹介。また2〜4階の展示室の壁面や図書館内には富山ゆかりのガラス作家による約50点のガラス作品がTOYAMAキラリ館内に展示されている。
6階の常設展「グラス・アート・ガーデン」には、現代ガラスアートの巨匠デイル・チフーリ氏によるインスタレーション(空間芸術)作品5点が展示されている。天井一面にカラフルなガラスパーツを敷き詰めた「トヤマ・ペルシャン・シーリング」は、まるで海の底から見上げているかのような幻想的な空間。そのほかにも植物を思わせるような「トヤマ・リーズ」やイタリア語で千の花を意味する“ミルフィオリ”の名がついた「トヤマ・ミルフィオリ」など、個性的な作品が並ぶ。
和風カフェ
「FUMUROYA CAFÉ」
2階の「FUMUROYA CAFÉ」は、加賀麩の老舗・不室屋がプロデュースする和風カフェ。コーヒーなどの定番メニューから、「麩」を取り入れた甘味や食事など、多彩なメニューが用意され、美術館鑑賞の余韻を楽しみ図書館で借りた本を楽しむことができる、街なかで落ち着いてくつろげる空間。
くるま麩のフレンチトースト/1210円
フランスパンにも似ている車麩をフレンチトーストに。ドーナツのような見た目も楽しく、ふわりつるりとした新食感。サクッと軽いおやつ麩やさっぱりとした甘さの豆乳アイス、ホイップクリームと一緒に。
不室屋パフェ/1100円
“しら玉生麩”・おやつ麩・おてまり麩菓子・生花麩・ふやきもなか、色とりどりの加賀麩を使った贅沢な和のパフェ。焼麩や生麩の美味しさを一度に味わえる。さっぱりとした甘さの豆乳アイスや小豆の風味を生かした小倉あん、黒蜜ゼリーがそれぞれの食感や味わいを引き立てる。
麩あんみつ/880円
もちもちつるんとした“しら玉生麩”を味わう特製あんみつ。天然の天草からつくる昔ながらの寒天と不室屋の生麩まんじゅうに使われているさらりと口どけの良いこしあんで品よく仕上げている。
2階のミュージアムショップでは、ガラスのうつわやアクセサリーなど「ガラスの街とやま」ならではの多彩なアイテムを販売。また、富山在住のガラス作家の作品も並ぶ
ガラスが持つ豊かな色彩と繊細さを感じながら、ゆっくりとアート空間を楽しめる「富山市ガラス美術館」へ、ぜひ訪れてみてはいかが。
富山市ガラス美術館
住所|富山県富山市西町5番1号
Tel|076-461-3100
開館時間|9:30~18:00(金・土曜日は20:00まで)
※入場時間は閉館時間の30分前まで
休館日|第1・3水曜日、年末年始※異なる場合あり。
https://toyama-glass-art-museum.jp/