TRADITION

《沖縄全島エイサーまつり》
沖縄最大!各地から自慢の歌と踊りが集結する
改めて知っておきたい日本の祭り

2022.6.2
《沖縄全島エイサーまつり》<br>沖縄最大!各地から自慢の歌と踊りが集結する<br><small>改めて知っておきたい日本の祭り</small>

古くから日本人の暮らしに密着し、土地の風土や文化を表す「祭り」。祭りの中には旅行客が参加できるものも多く、地域の人々と同じ体験を共有できる。また参加することで日本の文化や歴史も学べる。祭りを目的とした旅は、普通の旅行では味わえない特別な体験をもたらしてくれる。

今回紹介するのは、県内各地から自慢の歌と踊りを持ち寄る、沖縄県最大の祭り「沖縄全島エイサーまつり」。エイサーの基礎知識から、祭りの魅力についてひも解いていこう。

※2024年は8月23日(金)~25日(日)にて開催予定。詳しくは記事下部をご覧ください

「エイサー」とは?

沖縄全島エイサーまつりは、沖縄各地で行われるエイサーの踊り手、歌い手が集まり、地域差のあるそれぞれのエイサーを披露する、沖縄県最大の祭りだ。

エイサーは本土で言うところの念仏踊りとされ、1479年の「李朝実録」の那覇の記録に念仏踊りが登場しており、エイサーもそのころ始まったと考えらえる。エイサーという名前は琉球の歌謡集「おもろさうし」がもとになっているという説や、「エイサーエイサー」という囃子が名前になったという説など、諸説ありはっきりしない。

お盆に戻ってくるのは、供養してくれる子孫がいる祖霊だけでなく、無縁仏もいる。縁のない彼らにも餅や酒をふるまう施餓鬼の風習が、やがて地域の青年たちが踊りながら集落の家々を門付けしてまわるという形になり、霊を慰める踊りや歌などの芸能を行う祭りに変化していったものだろう。

エイサーの基本的な形は旗頭、太鼓踊、手踊、チョンダラー、地謡で構成される。使用される太鼓には大太鼓、締太鼓、バーランク―(手持ちの小太鼓)があり、打ち鳴らす姿も踊りの一つになっている。沖縄でも北部は手踊り、中部では太鼓踊といった風に地域差があり、それぞれの地域がオリジナリティーを残そうと、後継者たる若手の育成にいそしんでいる。

思わず観客も踊り出す!
全国各地のエイサーを堪能

エイサーは、旧盆に精霊送りであるウークイを済ませたあと、若者が中心になり奉納のために各地で歌い踊る。旧盆明けの週末の金・土・日曜に胡屋十字路周辺及び沖縄市コザ運動公園を中心に行われるのが、「沖縄全島エイサーまつり」だ。まつりには各地から選抜された青年会など、沖縄の団体だけでなく、全国の姉妹都市や協賛団体からのゲストも参加する。

もともとは沖縄各地で行われていたエイサーだが、1956年に「コザ市・エイサーコンクール」として開催されたのが始まりで、当初はコンクールの名の通り、隊形や技、衣装などを競う審査形式で行われたが、地域によって個性があるものをに優劣をつける難しさもあり、1977年からは審査をやめ、それぞれの魅力を披露しあう「沖縄全島エイサーまつり」となった。

各地それぞれの謡と踊りを披露するこのまつりは、沖縄県人はもちろん、他県、さらには海外からも多くの観客が集まる。中には見よう見真似で踊り出す観客もおり、出番を終えた祭りの参加者がそうした人々を引き入れて、踊り方を教えたり、一緒に踊る姿があちこちで見られる。3日間にわたるまつりの参加者が延べ30万人といわれ、演者も観客も昼夜を問わず熱気あふれる謡と踊りに酔いしれる。

伝統衣装を身に着けて凛々しく舞う
必ずしも道具を持って踊るとは限らない
旗頭を先頭に大太鼓、締太鼓たちが軽快なリズムで太鼓やパーランクーを叩く。太鼓の種類もさまざまだ
沖縄中のエイサーたちが一堂に集い共演
地謡が歌い上げる勇壮なエイサー節に合わせ団結して踊る
美しさと力強さに多くの観客が魅了される
池原区青年会

沖縄全島エイサーまつり
開催時期|旧盆明けの週末(金~日曜)、8月下旬または9月上旬 ※2024年は8月23日(金)~25日(日)にて開催予定
開催場所|金曜は胡屋十字路周辺、土・日曜は沖縄市コザ運動公園陸上競技場(エイサー演舞場内)
住所|沖縄県沖縄市諸見里2-1-1コザ運動公園内
Tel|098-937-3986
https://www.zentoeisa.com
※台風などの場合は翌週へ順延
※開催内容は今後変更になる可能性があります。最新情報は公式ウェブサイトを確認ください

ライタープロフィール
湊屋一子(みなとや・いちこ)

大概カイケツ Bricoleur。あえて専門を持たず、ジャンルをまたいで仕事をする執筆者。趣味が高じた落語戯作者であり、江戸庶民文化には特に詳しい。「知らない」とめったに言わない、横町のご隠居的キャラクター。

参考文献=日本の祭り(実業之日本社)、祭りの辞典(東京堂出版)、日本の祭り 旅と観光(新日本法規出版)

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