HOTEL

MEMU EARTH HOTEL/メムアースホテル
先進的な建築と十勝の無垢なる自然を原体験できる一棟貸しホテル

2021.11.14
MEMU EARTH HOTEL/メムアースホテル<br><small>先進的な建築と十勝の無垢なる自然を原体験できる一棟貸しホテル</small>

広尾郡大樹町・芽武にある、寒冷地実験住宅施設をリノベーション建築した一棟貸しホテル「MEMU EARTH HOTEL(メム アースホテル)」。古来の住宅をモチーフに作られた「Même(メーム)」や、屋内にいながら360°の大自然パノラマを楽しめる「HORIZON HOUSE」など、日本を代表する建築家や、世界中の建築を学ぶ学生が設計した”寒冷地適応住宅”にの5つの実験住宅に滞在することができ、それぞれ異なるテーマを体験することができる。

また、北海道出身のシェフが創りだす料理も魅力の一つ。地産地消と、その土地にある自然資源を活用した料理は、ここでしか味わえない。建築家の視点や考え方によって設計されたホテルと北海道の食材を使った食体験ができる、MEMU EARTH HOTEL(メム アースホテル)の魅力を紹介しよう。

北海道広尾郡大樹町・芽武。アイヌ語で「泉の湧き出るところ」という意味を持つこの場所に、かつて中央競馬界に数々の名馬を送り出したサラブレッドの生産牧場「大樹ファーム」のトレーニングセンターがあった。やがて、牧場の移転に伴い残された約5万6,000坪の面積を誇る広大な大地は、2011年に寒冷地実験住宅施設「メムメドウズ」へとその姿を変え、いつしか隈研吾氏や伊東豊雄氏など日本を代表する建築家の実験住宅や「国際大学建築コンペ」の最優秀作品が点在する、世界的にも稀有な「建築の聖地」となった。

2018年11月、施設内の実験住宅や牧場の記憶を継承するリノベーション建築をホテルへとコンバージョンするかたちで、「MEMU EARTH HOTEL(メム アースホテル)」が誕生。このホテルは、宿泊者に先進的な建築と十勝の無垢なる自然を原体験と楽しんでもらうホテルとしての「サービス」の提供と、“資源再読”をテーマにSDGsに向けた研究を展開している研究者と協働し、その社会実装のプロセスを国内外に向けて情報発信している。

世界的にも類を見ないホテルと研究者との新しい共創によって、MEMU EARTH HOTELは地域社会に貢献するとともに、宿泊者に自然と人の共生について考えるきっかけや本質的な豊かさを考えるヒントを提供しながら、これからの社会と日常に求められる、持続可能なアイデアを発信しているのだ。

体験の入り口「スタジオメム」

ホテルのレセプションであり、レストランでもある「スタジオメム」。建築家の伊東豊雄氏が築40年以上経過した牧草保管用倉庫をリノベーションした貴重な建物。薪の暖炉が印象的な空間には「インスピレーションスペース」があり、北海道にゆかりのあるクリエイターのアートや家具をディスプレイしている。

また大きなカヌーや釣り竿、望遠鏡に自転車などのさまざまなアクティビティツールに加え、アイヌ民族に関する文献や環境建築などに関する書籍も用意されている。

隈研吾による実験住宅
「Même」(2011年)

北海道古来の住宅をモチーフに、壁と屋根を同じ膜材で仕上げた台地に浮かび上がるように建つこれまでにない実験住宅。

光を透過する白い膜材は二重構造(ダブルスキン)になっており、閉鎖的な暮らしになりがちな寒冷地にあって、室内に明るく柔らかな光をもたらす。冬場は地熱を利用した蓄熱式床暖房や膜の間に熱を循環させる仕組みによる断熱性能の向上、炉と煙突からの輻射熱で室内を効果的に暖めるといった先進の機能も備えている。

室内には、CO2排出に伴う熱負荷などの温熱環境の変化や地震発生時のデータを自動計測するセンサーを数箇所設置。このように、長期的なデータ収集と蓄積が可能な研究棟としての役割も持っているのも研究機関との共創によって産まれたホテルだからこそ。

風景と空間が溶け合う
「HORIZON HOUSE」(2013年)

ハーバード大学デザイン大学院による「HORIZON HOUSE」は、“RETREAT IN NATURE(日常生活から離れるための隠れ家)”をテーマに、居住空間と牧草風景が生み出す対話を象徴した住まい。

基礎部と屋根部によって定義されたひと繋がりの屋内の起伏が、周囲360°の大自然パノラマとそこに映る季節ごとの変化を居住者にもたらしてくれる。建設資材のエネルギー消費量を抑える仕組みや、積雪を考慮した高床といったサステナブルなデザインだけでなく、建設にあたっては、生成・運搬・建設に伴う炭素排出量を抑え、地域経済にも貢献できるよう、コンクリートの使用を極力控え、主に地域から産出される木材を使用。将来的な再利用も考慮し、容易に解体できるよう設計されている。

厳しい環境にあえて向き合う
「INVERTED HOUSE」(2015)

オスロ建築デザイン大学によって2015年に設計された「INVERTED HOUSE」は、高さの異なる床、傾きの異なる屋根を持ち、それらによって環境が調整されることで、寒さと季節の移ろいを感じることができる家。

主要な構造である互いに交差するふたつの壁が、4つの性質の異なる空間をつくり出し、料理、食事、入浴、就寝等すべての生活は屋外で行われ、屋内の居室は予期せぬ悪天候から避難するために作られている。

4つの空間は、冬には雪を集める庭となる“Garden Room”、主室である “Outside Living Room”、急勾配の屋根によって、強い風から守られた“Room for Cooking”、そして最も外部環境から守られた部屋“Inside Room”と名付けられ、それぞれが季節によって異なる性質を持っている。

命の熱を感じて暮らす
「BARN HOUSE」(2012)

慶應義塾大学による「BARN HOUSE」のコンセプトは「納屋の家」。

牧場としての記憶と文化を受け継ぎ、馬と人間の新しい共生を表現。建物は居住スペースと馬の暮らす納屋にセグメントされ、人と馬にとって快適な温熱環境を最大化するように設計。馬の排泄物を堆肥としてだけでなく、その過程で発生する熱を室温上昇に利用する実証実験を行う仕組みをもっている。壁面の炭棚は、馬から発生するアンモニアを吸収し、アンモニアを吸着しなくなった炭は熱源として使われた後、肥料として使われる。

また太陽熱の吸収率と断熱性能は、壁面の炭の分量に応じて自然と変化。人間と動物、そして建築との新しい関係性を示唆するユニークな試みにあふれた実験住宅だ。

※現在は馬の群れで生活する性質を考慮して建物内に馬はいないが、敷地内の放牧地エリアで生活している。

“足るを知る”を体現する
「町まとう家」(2011)

早稲田大学が設計した「町まとう家」。2011年、“震災後の新しい時代にふさわしい新しい家”をテーマに行われた第1回「学生のための住宅デザインコンペ」で最優秀賞を受賞した。

今あるもの以上の豊かさが得られないか?そんな問題提起から大樹町を象徴する「牧草」に着目。外壁材として牧草を利用するだけでなく、刈り入れ時期にケースに密封された乾燥させた牧草は、家内部の棚に収納することで壁としての役割を持っている。

さらに、乾燥した牧草を遮熱スクリーンの代わりにし、発酵熱により室内を暖める実証実験も行われた。地域社会に溶け込むような平屋の住まいに、意欲的な試みが隠された作品。

MEMU EARTH HOTELには、紹介した5つの実験住宅以外にも、九州大学設計のアイヌの伝承に着想を得たスパ「コロボックルネスト」や、カリフォルニア大学絶景の畑の家をテーマにしたエディブルハウス「NEST WE GROW」、デンマーク王立芸術アカデミー設計による季節で建築の役割が変化する「INFINITE FIELD」などもある。

2021年には築30年の厩舎を宿泊室付きの研究施設に改築。競走馬が走っていた巨大な屋内走路を果樹園やカフェとしてオープンするなど、まだまだ実験は続く。

“いただきます”と“ご馳走様”

「いただきます」には、その食事に携わってくれた方々へ感謝の心と、さらに紐解くと肉や魚はもちろんのこと、野菜や果物、水や土にも命があると捉え、「自分の命にさせていただきます」とそれぞれの食材に感謝している言葉とも捉えている。

また「ご馳走様」の“馳走”は走りまわるという意味で、食を通しておもてなしするために奔走する様子、命を食材という形で育てる・獲る・届けるために奔走する様子を表している。

MEMU EARTH HOTELは「当たり前のように私たちが使っている言葉にはこのような物語が詰まっており、私たち自身誰よりもよく食べることが好きなチームとして、そして誰よりもその物語に近い場所にいる存在としてその過程と向き合い、最高の状態を表現して伝え届ける事を使命と考えています。」と語る。

食の物語を紡ぐ「いただきます」と「ご馳走様」。そこからこの場所の風土を読み解き、資源と捉え、改めて向き合う、表現する(=資源再読)。シンプルで壮大な風土を食を通して肩肘張らず楽しんでほしい。

※ホームページ「FOOD」ページより抜粋

石川大地(いしかわ・だいち)
1988年生まれ、旭川出身。和食を中心に、自然食を軸としたレストランで修業を重ね、「MEMU EARTH HOTEL」のシェフへ就任。十勝における「場所の固有性」を深堀。自然環境を活かし、土地に根付いた自然や文化を食を通じて発信する活動をしている。

北海道十勝の雄大な自然の中に佇む「MEMU EARTH HOTEL/メムアースホテル」の建築を愉しみながら、北海道を堪能してみてはいかが。

MEMU EARTH HOTEL/メムアースホテル
住所|北海道広尾郡大樹町芽武158-1
宿泊料金|1名 5万4000円(税込)〜
※朝夕食付き
チェックイン|14:00〜18:00
チェックアウト|11:00
 
 

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