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「国立工芸館」が東京から金沢へ
工芸の聖地が日本きっての文化都市に誕生

2020.10.16
「国立工芸館」が東京から金沢へ<br>工芸の聖地が日本きっての文化都市に誕生
今回の移築改修に伴い判明した、建築当時の色を再現している外観 photo by 太田拓実

日本で唯一の国立で工芸を専門とする美術館、東京国立近代美術館工芸館が、国の地方創生施策の一環として、石川県金沢市へ移転し、通称・国立工芸館として10月25日(日)に開館する。

移転後は、工芸振興のナショナルセンターとして、重要無形文化財保持者(人間国宝)や日本芸術院会員の作品約1400点をはじめ、現工芸館が所蔵する日本の工芸の歴史を語る上で欠かせない美術工芸作品約1900点が移転され、大きく3つの展示スペースにて、鑑賞できる。金沢市の歴史的建造物や文化施設が集まる「兼六園周辺文化の森」に位置するので、周辺の施設と合わせて町歩きを楽しむのもおすすめ。

2階の多目的室は、移築された国登録有形文化財建造物「旧陸軍金沢偕行社」photo by 太田拓実

国立工芸館が建つ「兼六園周辺文化の森」は、日本三大名園のひとつである兼六園を中心に、石川県立美術館、いしかわ赤レンガミュージアム(石川県立歴史博物館、加賀本多博物館)、金沢城公園、金沢21世紀美術館、鈴木大拙館など、藩政期以降現代までの歴史的建造物・文化施設が集まるエリア。

あわせて巡れば、石川の歴史・文化とともに、日本の工芸の「過去・現在・未来」を存分にみることができる。また、香林坊の繁華街や近江町市場、武家屋敷などにもほど近く、歴史と工芸のまち・金沢の魅力を存分に楽しめる新たなスポット。

クラシックな洋風建築の外観とモダンな
展示スペース

2F階段ホール「旧陸軍第九師団司令部庁舎」 photo by 太田拓実

明治期に建てられた二つの旧陸軍の施設、旧陸軍第九師団司令部庁舎と旧陸軍金沢偕行社を移築するとともに、過去に撤去された部分や外観の色などを復元して活用している。

観る・知る・体験する

エントランスから見える中庭にある作品は金子 潤《Untitled(13-09-04)》2013年 photo by 太田拓実

展示室1・2・3
1Fから2Fにわたる全3室の展示スペースでは、季節ごとに展示替えを行い、テーマに沿った多様な展覧会を開催。

1F
・工芸とであう:工芸にはじめてふれる方のために、工芸の見どころをわかりやすく紹介。3D画像でインタラクティブに楽しめる、最新デジタル技術を用いたコーナーも。
・ミュージアムショップ:展覧会図録やグッズ、工芸関連書籍などを販売。
・アートライブラリ:快適な空間で、国内外の工芸・デザインに関する本や雑誌がある。

2F
・松田権六の仕事場:金沢出身の重要無形文化財保持者(人間国宝)、漆芸家・松田権六(1896-1986)の工房を移築・復元し、作家ゆかりの制作道具や関連資料、記録映像を展示。
・芽の部屋:「作品」になる前のアイデアスケッチや図案などの資料を展示。

屋外(建物と調和した屋外作品)
・金子潤《Untitled (13-09-04)》2013年
・橋下真之《果樹園−果実の中の木もれ陽、木もれ陽の中の果実》

国立工芸館
住所|石川県金沢市出羽町3-2
Tel|050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間|9:30 17:30(入館は 17:00 まで)
休館日|月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替え期間、年末年始
料金|展覧会によって異なる
アクセス|電車:JR金沢駅東口(兼六園口)から北鉄バス、車の場合:北陸自動車道金沢西ICまたは森本IC から20〜30分。
駐車場|文化施設共用駐車場(約250台)(無料)
※兼六園周辺の文化施設(石川県立美術館、いしかわ赤レンガミュージアム、石川県立能楽堂、いしかわ生活工芸ミュージアム)の共用駐車場となります。
https://www.momat.go.jp/cg/

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