今夏しかできない旅がある! いま全国の“芸術祭”に人が押し寄せる理由
今年もやってきた、芸術祭の夏。
昨今、日本の地方の各地でアーティストと地域を巻き込んだ“芸術祭”が盛んだ。芸術祭とは、街中や自然の中などに突如アート作品が出現する、いわば期間限定のアートのお祭り。数年に一度などの周期で行われ、開催エリア外からアーティストを招き、その土地で作品を仕上げていくという長期のイベントだ。
国内でも最大クラスの瀬戸内国際芸術祭は、前回の開催で100万人を突破する動員数を記録。このように、決してアクセスがいいといえない地方に国内外から多くの観光客が訪れている。いったい彼らを惹きつける芸術祭の魅力は、どこにあるのだろう?
“芸術祭”は、その土地の魅力を知るための期間限定・最大の仕掛け
芸術祭の楽しみは、単純にアートを鑑賞するという面からではない。もちろん期間限定で人気アーティストの作品を見ることができるのは、大きな魅力だ。しかし芸術祭の面白さは、なによりその土地の魅力をわかりやすく、アート作品を通して知ることができるところにある。
アートが教えてくれる、土地の魅力
芸術祭にて、アーティストは必ずその土地の特色や歴史を考慮する。どうしたらその土地の風景になじみながら、新たな風景を生みだすか。そして地域の人に新鮮な驚きを与えられるか……を考えながら作品をつくり上げる。
たとえば……
新潟県の大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006で設置された作品。
窓から見える風景を通して外に広がる妻有の風景をもう一度発見するための窓。自然を邪魔することのない作品を目指している。
(内海昭子『たくさんの失われた窓のために』・撮影:倉谷拓朴)
大分県の国東半島芸術祭 2014で設置されたチームラボのインスタレーション。国東半島に咲く花々が、生まれては散る映像は鑑賞者の影響を受けながら変容し続ける。
(チームラボ『花と人、コントロールできないけれども、共に生きる -Kunisaki Peninsula-』)
芸術祭のアートは、必然的にその土地の特徴をよくとらえたものになる。芸術祭における作品群は、土地の魅力をダイレクトに、わかりやすく教えてくれるものなのだ。
祭りの間しかできない、とっておきの旅体験を
祭りの間、その地域は秘めた魅力を再発掘され、新しく生まれ変わる。7月18日~9月4日「瀬戸内国際芸術祭2016」のほか、8月11日~10月23日「あいちトリエンナーレ2016」、9月17日~11月20日「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」など、芸術祭は全国で目白押しだ。いましか出会えないニッポン再発見の旅を、ぜひこの夏、体験してほしい。