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《金沢21世紀美術館》
SANAAによる、アートとまちづくりが共存する美術館

2022.4.28
《金沢21世紀美術館》<br><small>SANAAによる、アートとまちづくりが共存する美術館</small>
撮影:渡邉修

石川県金沢市広坂に位置する、現代美術を収蔵する美術館「金沢21世紀美術館」。1980年以降に制作された作品を中心に、金沢ゆかりの作家作品など、独自の視点から収蔵した作品は新しい価値観と創造性に富んでいる。ガラスで覆われたユニークなサークルデザインを手がけたのは、世界的な建築家ユニットSANAA(サナァ)。美術とまちづくりの共生を目指し、新しい金沢の魅力を発信する「金沢21世紀美術館」とは・・・・・・。

地域の伝統を未来につなげ、世界に開く

もともと学校だったこともあって、敷地内には記念樹がたくさんある
撮影:渡邉修

金沢21世紀美術館は、「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に開設。21世紀という大きな歴史の転換点にあたり、ミュージアムと街との共生により、新しい金沢の魅力と活力を創出している。

また、教育、創造、エンターテインメント、コミュニケーションの場など、新たな「まちの広場」としての役割や、藩政期から伝わる、工芸をはじめとする地域の固有文化が、多様化する21世紀にどのような可能性を持つのか、インターカルチュアルな視点に立って問いかける実験の場でもある。

街に開かれた“公園“のような美術館

多方向性、水平性、透明性の3つをコンセプトに設計
撮影:石川幸史

この美術館は、金沢市の中心部に位置し、もともと学校と幼椎園が建っていた場所で、隣には市役所、向かいには県庁、斜め前には兼六園があることから、誰でも行き来がしやすく、さまざまな出会いや体験ができる公園のような存在を目指している。

内部と外部など互いに異なる空間にいる者同士が互いの様子や気配を感じ取ることができる、出会いの感覚を演出
撮影:渡邉修
Shop1では美術館や金沢ならではのグッズやアート関連の書籍、Shop2では貴重なものも含まれる洋書や展覧会関連の限定商品などを展開
撮影:渡邉修

妹島和世+西沢立衛/SANAAは、三方が道路に囲まれている美術館敷地内のどこからでも入館できるように、表と裏のないガラスのアートサークルを採用し、建物が街と一体になるようにデザインした。トップライトや光庭など明るさや開放感にも十分に配慮し、夜間開館やショップ、レストランなど利用者のニーズに対応し、気軽さ、楽しさ、使いやすさを意識。

交流ゾーンにはさまざまな形の椅子が置かれいるのでインテリアにも注目
撮影:渡邉修
撮影:渡邉修

有料の展覧会ゾーンを円形の真ん中に、無料の交流ゾーンを外周部分に配置。展示室は立方体のホワイトキューブや円形で、それぞれ独立させている。そうすることで、ひとつの空間で、ひとつの作品の世界観を楽しむことができ、好きな順番で作品を鑑賞することができる。

内部と街との境目をなくし、光を利用した開放的な明るい空間
撮影:渡邉修
アートライブラリー

また、展示室やカフェレストラン、アートライブラリーなどの境目なくし、フラットにすることで、建物の端から端まで貫通するような透過性を持たせ、開放的な廊下は建物の奥にいても自分のいる場所が分かるような空間づくりがされている。

建築家
妹島和世+西沢立衛 / SANAA
SANAAとして、2004年ヴェネチアビエンナーレ国際建築展 金獅子賞、2010年プリツカー賞など数多くの賞を受賞。 金沢21世紀美術館をはじめ、熊野古道なかへち美術館、飯田市小笠原資料館、ルーヴルランス(ランス、フランス)、ニューミュージアム(ニューヨーク、アメリカ)など、近年の主要な美術館建築を手がけている。また、展覧会や家具デザイン、空間構成なども幅広く手がける。http://www.sanaa.co.jp/

2016年に誕生したパビリオン《まる》
撮影:渡邉修

毎回異なるテーマで構成される企画展の特別展やコレクション展のほか、館内外に常設の恒久展示作品を展示している。

撮影:池田ひらく

カフェレストラン「Fusion21」
「美術館で第2の感動」をコンセプトに、加賀野菜をはじめ地元食材を取り入れたメニューを用意。ビュッフェ式のランチや、スイーツも充実。ガラス張りの開放的な空間で食事を楽しめるのも、金沢21世紀美術館ならではの魅力。

営業時間|10:00〜20:00
休業日|月曜日(月曜日が休日の場合はその直後の平日)、年末年始
※感染状況によりビュッフェランチは中止になる場合があるため、詳しくはお問い合わせください。

撮影:石川幸史

「茶室」
美術館の敷地内には茶室があり、松涛庵、山宇亭・腰掛待合の加賀藩ゆかりの茶室で、通常一般公開している。レンタルスペースでもあるので、茶会、句会、歌会、聞香会、読書会及び茶道に関連した展覧会など幅広く展開している。

公開時間|9:00~17:00
※茶会開催時間は見学できません
休場日|月曜日(月曜日が休日の場合はその直後の平日)、年末年始
入場料|無料

撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ

公園のようにまったり金沢の街を満喫しながら、建築とアート、どちらも楽しめる「金沢21世紀美術館」に行ってみてはいかが。

金沢21世紀美術館
住所|石川県金沢市広坂1-2-1
Tel|076-220-2800
開館時間|展覧会ゾーン:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)、交流ゾーン:9:00~22:00
※各施設の開室時間はそれぞれ異なる
休館日|展覧会ゾーン:月曜日(休日の場合は直後の平日)、年末年始、交流ゾーン:年末年始
※各施設の休室日は展覧会ゾーンに準ずる
料金|美術館の建物への入館(交流ゾーン)は無料
※展覧会ゾーンへの入場は展覧会観覧券(有料)が必要
https://www.kanazawa21.jp/

提供:金沢21世紀美術館

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