ART

新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」
松代エリアの作品・作家マップ|前編

2022.7.10
新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」<br>松代エリアの作品・作家マップ|前編
photo: Kioku Keizo

世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭」。22年目となる今年は、38の国・地域から263組の作家が参加。300点以上の作品の中から、目玉となる新作と必見の常設作品をエリアごとに取り上げる。

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大地の芸術祭とは・・・
「人間は自然に内包される」をコンセプトに、国内外の著名なアーティストと地域住民が協働し、210の常設・既存作品に加えて、新作・新展開作品が123点追加。約760㎢にわたる広大な6つのエリアで11月13日(日)まで開催される。

松代エリア

信濃川の支流・渋海川(しぶみがわ)沿いの地域で、周囲を山々に囲まれた丘陵地帯に集落が点在し、かつては陸の孤島ともいわれた。棚田が多く残り、厳しい自然と共存してきた人々がつくり出した里山の風景が広がる。人の営みに触れる約100点の里山アートを堪能したい。

[新作]
①『消えた集落 閉村の碑からよみとるもうひとつの理由』(2022)
磯辺行久/日本

消えたふたつの集落の長い歴史を物語る
旧松代町小貫(こつなぎ)と旧十日町小貫という、ふたつの小貫集落の閉村の碑を中心に、家号を記した四寸柱と、地域特有の過酷な自然現象である、冬の季節風を表す吹き流しを設置。地形や風景とともに、在りし日の集落の様子を表現する

住所|新潟県十日町市小池
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|7月30日(土)~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
②『脱皮する家』(2006)
鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志/日本

photo: Kawase Kazue

廃墟となった建物全体を彫り込み、
アートとして再生

彫刻家・鞍掛(くらかけ)純一さんと学生たちによる作品。廃墟となった築約150年の家の壁や床、柱、梁、天井など、いたるところを彫刻刀で彫り、空き家をアートとして脱皮・再生させた。農家民宿として、宿泊することもできる

住所|新潟県十日町市峠776
開館時間|11:00~16:00
料金|個別鑑賞券300円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
③『ドクターズ・ハウス』(2015、2018)
イ・ブル/韓国

photo: Kioku Keizo

現代アーティストによる時空を超える空間
雪深い地域で貴重な存在であり、住民から慕われていた診療所の建物が舞台。2015年には、時空を超える井戸をイメージした作品を、’18年には壁を埋め尽くす鏡によって、無限の空間を表すインスタレーションを発表した

住所|新潟県十日町市蒲生2061(山平郵便局近く)
開館時間|10:00~17:00
料金|個別鑑賞券300円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
④『奴奈川キャンパス』(2015)

一人ひとりの得意を掘り起こすための学校
山岸綾さんによる改修で旧奴奈川(ぬながわ)小学校が再生。食や農業を通して、地域や世代、ジャンルを超え、地域の価値を実践的に学ぶ場となった。校舎内外に作品が設置されているほか、一般参加できる授業もある

住所|新潟県十日町市室野576
開館時間|10:00~17:00(10・11月は~16:00)
料金|個別鑑賞券500円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|〜11月13日(日)
休業日|火・水曜

[新作]
⑤『憧れの眺望』(2021)
エステル・ストッカー/イタリア

photo: Kioku Keizo

松代城の佇まいとのコントラストも必見
黒、グレー、白の3色のみを用い、幾何学的なパターンを不規則なかたちや模様に変容する立体作品やインスタレーションで知られるイタリアの作家。シンプルかつ規則的なパターンが織りなすゆらぎに目を奪われる

住所|新潟県十日町市松代 松代城
開館時間|10:00~17:00(10・11月は~16:00)
料金|まつだい「農舞台」フィールドミュージアム券1200円(農舞台個別鑑賞券は600円)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
⑥『カフェ・ルフレ』(2003)
ジャン=リュック・ヴィルムート/フランス

photo: ANZAÏ

住民が撮影した里山の四季が広がる
作家が住民に100台ほどのインスタントカメラを配り、自宅の窓から見える風景の撮影を依頼。その写真を季節ごとに配した円形照明を天井に、鏡の天板をもつテーブルを床に並べている

住所|新潟県十日町市松代3743-1 まつだい「農舞台」内
開館時間|10:00~18:00
料金|まつだい「農舞台」フィールドミュージアム券1200円(農舞台個別鑑賞券は600円)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|通年公開
休業日|火・水曜(祝日は除く)

[常設]
⑦『まつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」』(2003)
MVRDV/オランダ

photo: Nakamura Osamu

雪国農耕文化とアートの
フィールドミュージアム

“都市と農村の交換”がテーマの総合文化施設。地域の資源を発掘・発信するほか、屋内外に約40のアート作品が点在する。オランダの建築家グループが設計した建物自体がアート作品でもある

住所|新潟県十日町市松代3743-1
開館時間|10:00~18:00
料金|まつだい「農舞台」フィールドミュージアム券1200円(農舞台個別鑑賞券は600円)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|通年公開
休業日|火・水曜(祝日は除く)

 

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《新潟・越後妻有 大地の芸術祭 2022》
1|越後妻有里山現代美術館 MonET 前編後編
2|越後まつだい里山食堂 前編後編
3|旅の最後は“祈り”のアート『手をたずさえる塔』へ
4|アート里山をめぐる 前編後編
5|ジェームズ・タレルの泊まれるアート『光の館』
6|総合ディレクター・北川フラム氏に聞いた、アートの力で地域の魅力を掘り起こす秘訣とは?
7|十日町エリアの作品・作家マップ 前編後編
8|川西エリアの作品・作家マップ 前編後編
9|中里エリアの作品・作家マップ 前編後編
10|松代エリアの作品・作家マップ 前編後編
11|松之山エリアの作品・作家マップ 前編後編
12|津南エリアの作品・作家マップ 前編後編
13|6エリア別 作品・作家見どころガイド
14|出展アーティスト4名に聞く作品に込めた思い

text: Miyu Narita map: Alto Dcraft
Discover Japan 2022年6月号「アートでめぐる里山。/新潟・越後妻有”大地の芸術祭”をまるごと楽しむ!」

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