新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」
6エリア別 作品・作家見どころガイド
世界有数の豪雪地帯として知られる新潟県の越後妻有(えちごつまり)。過疎高齢化の課題を抱えていたこの地は、2000年より開催されている世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭」によって世界中から注目を集める場所となった。2022年4月29日(金祝)~11月13日(日)にかけて開催中の第8回を取材。十日町、川西、中里、松代、松之山、津南の6つのエリアに分けて、アートとともに土地の風土・文化を体感できる里山めぐりの旅を提案する。
大地の芸術祭とは・・・
「人間は自然に内包される」をコンセプトに、国内外の著名なアーティストと地域住民が協働し、210の常設・既存作品に加えて、新作・新展開作品が123点追加。約760㎢にわたる広大な6つのエリアで11月13日(日)まで開催される。
【十日町エリア】
信濃川の東側に広がり、河岸段丘の平らな地形を利用した農業に加え、厳寒期の副業にはじまる織物が盛んな十日町エリア。交通の要所として栄えた。国宝の火焔型土器が発掘された笹山遺跡でも知られる。見どころは「越後妻有里山現代美術館 MonET」や、廃校の小学校を作品として再生した「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」など。今年の注目作が見たいなら芸術祭の中核地・十日町へ!
≫十日町エリア作品・作家マップ
【中里エリア】
中里エリアは、信濃川をはじめとする美しい川や、日本三大峡谷に数えられる清津峡、国の名勝・天然記念物に指定されている七ツ釜などを有し、豊かな水が生み出した美しい自然景観が特長。150年以上前から伝わる田代神楽でも知られている。水に恵まれた環境を生かしす雄大なアートの数々を楽しもう。
【川西エリア】
信濃川西岸の河岸段丘上に広がる川西エリア。平坦な地形を利用した稲作が盛んに行われる地域だ。妻有郷随一の豪農商・星名家の屋敷であり、ジェームズ・タレル氏作『光の館』のモデルとなった星名邸(国重要文化財)があることでも知られる。子どもから大人まで楽しめる屋外作品を満喫しよう。
≫川西エリア作品・作家マップ
【松代エリア】
信濃川の支流・渋海川(しぶみがわ)沿いに位置する松代エリアは、周囲を山々に囲まれた丘陵地帯に集落が点在し、かつては陸の孤島ともいわれた。棚田が多く残り、厳しい自然と共存してきた人々がつくり出した里山の風景が広がる。人の営みに触れる約100点の里山アートと食を堪能したい。
≫アートを道しるべに里山をめぐる
≫“祈り”のアート『手をたずさえる塔』
≫松代エリア作品・作家マップ
【松之山エリア】
長野との県境に位置し、山々に囲まれた丘陵地帯である松之山エリア。約700年の歴史をもつ松之山温泉郷があることでも知られる。里山ならではの多様な生態系の恵みを見直し、活用しながらの地域づくりに取り組むなど、伝統的な暮らしに重きを置く人の本質を作品から学べるはずだ。
【津南エリア】
新潟県の最南端にあたり、長野との県境に位置する津南エリア。雄大な河岸段丘が広がり、日本有数の豪雪地帯である一方、夏は高原性の爽やかな気候が続く。縄文時代中期の沖ノ原遺跡は、国の史跡に指定。縄文文化や音楽とともにアートに親しもう。
【大地の芸術祭で泊まりたい宿】
雪国を感じる古民家ホテル
「南魚沼 ryugon」
日本有数の豪雪地帯・南魚沼には、雪国ならではの歴史や文化が息づいている。それらを暮らすように体験できる宿が「ryugon」だ。建築や温泉など、幅広い実体験を通して、その豊かさに触れられる。
里山×フレンチで海・山の幸を味わう
「松之山温泉 酒の宿 玉城屋」
名湯・松之山温泉街で、全国の美食家から注目を集める「酒の宿 玉城屋」。若き4代目によって美酒と美食の宿に刷新され、ミシュランガイドで一つ星も獲得。芸術祭とともに旅の目的にしたい。
里山の温泉宿で湯治文化に触れ
「松之山温泉 ひなの宿 ちとせ」
長期滞在者が集う社交場として花開いた湯治文化は、いつしかマスツーリズムの温泉旅行へと変化。だがワーケーションが注目される昨今、松之山温泉の老舗宿は原点回帰とも呼べる滞在を提案する。
「大地の芸術祭」を通して、アートを軸に里山文化を感じ、郷土料理、名宿、大自然を体感してみてはいかがでしょうか。