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新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」
十日町エリアの作品・作家マップ|前編

2022.7.3
新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」<br>十日町エリアの作品・作家マップ|前編
photo:T.Kuratani

世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭」。22年目となる今年は、38の国・地域から263組の作家が参加。300点以上の作品の中から、目玉となる新作と必見の常設作品をエリアごとに取り上げる。

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大地の芸術祭とは・・・
「人間は自然に内包される」をコンセプトに、国内外の著名なアーティストと地域住民が協働し、210の常設・既存作品に加えて、新作・新展開作品が123点追加。約760㎢にわたる広大な6つのエリアで11月13日(日)まで開催される。

十日町エリア

信濃川の東側に広がり、河岸段丘の平らな地形を利用した農業に加え、厳寒期の副業にはじまる織物が盛ん。交通の要所として栄えた。国宝の火焔型土器が発掘された笹山遺跡でも知られる。今年の注目作が見たいなら芸術祭の中核地・十日町へ。

[新作]
①『JIKU #013 HOKUHOKU-LINE』(2021)
パノラマティクス/齋藤精一/日本

photo: Nakamura Osamu

特別列車の乗客だけが鑑賞できる
トンネル内に広がる幻想的な世界

「JIKU」は、その場所に隠された“軸”を探るプロジェクトシリーズ。本作の舞台は、北越急行ほくほく線の美佐島駅。音のプログラムとともに、特別列車の前後に設置された照明がトンネル内を照らす

住所|新潟県十日町市午(北越急行ほくほく線美佐島駅)
※鑑賞には電車への乗車が必須
開館時間|1日4便の北越急行ほくほく線の運行時間に準ずる
料金|一般700円、中学生以下400円(作品鑑賞パスポートで一般のみ500円)+乗車賃
公開期間|7月30日(土)~11月13日(日)の特定日
※特定日のみ公開のため要予約。
詳細はHPをご確認ください。
www.echigo-tsumari.jp/art/artwork/jiku

[常設]
②『喫茶TURN』(2018)
日比野克彦/日本

photo: Nakamura Osamu

その時の気温によって
温度が変わるお茶でのおもてなし

地域特有のかまぼこ型倉庫を舞台に、その日、その時間の太陽で温めた水と同じ温度の茶とともに、人と人とが交流できる場所を提案する。今回は飲食サービスの代わりに、物販を行う予定

住所|新潟県十日町市泉町30-1 十日町駅東口広場
開館時間|10:00~17:00
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
③『下条茅葺きの塔』(2012)
みかんぐみ+神奈川大学曽我部研究室/日本

駅前にそびえる高さ11mの茅葺きの塔
JR飯山線下条駅前にある茅葺きの塔は、かつて多くの茅葺き職人が暮らしていた下条地区のランドマークとなっている。内部には、地元住民が持ち寄った、田植え枠や藁靴など、懐かしさを感じさせる民具が吊り下げられている

住所|新潟県十日町市下条4(JR飯山線下条駅)
開館時間|10:00~17:00(10・11月は~16:00)
公開期間|~11月13日(日)
休業日|【春】月~金曜(祝日は除く)/【夏】火・水曜/【秋】月~金曜(祝日は除く)

[常設]
④『うぶすなの家』(2006)
入澤美時、安藤邦廣/日本

photo: Ebie Shigemitsu

陶芸家たちが土の力で再生した古民家
1924年築の茅葺き民家を焼き物で再生。食器はもちろん囲炉裏やかまど、洗面台、浴槽、床など、すべて陶芸家たちが手掛けた焼き物作品。2階には、展示空間である3つの茶室がある。“うぶすな”は土地の守り神のこと

住所|新潟県十日町市東下組3110
開館時間|11:00~16:00(飲食利用の場合はL.O.14:00)
料金|個別鑑賞券500円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|~11月13日(日)
休業日|【春】月~金曜(祝日は除く)/【夏】火・水曜/【秋】月~金曜(祝日は除く)

[新作]
⑤『うぶすなの白』(2022)
布施知子/日本

ユニット折りの第一人者である
折り紙作家による作品

『うぶすなの家』に宿る精霊のようなものに対する尊敬の想いを、幾何学的な造形を生み出す無限折りをはじめ、白い紙を折ることで表現する。「うぶすなの家」2階の3つの茶室に展示

住所|新潟県十日町市東下組3110 うぶすなの家内
開館時間|11:00~16:00
料金|個別鑑賞券500円(うぶすなの家入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|~11月13日(日)
休業日|【春】月~金曜(5月6日、祝日は除く)/【夏】火・水曜/【秋】月~金曜(祝日は除く)

[常設]
⑥『バタフライパビリオン』(2006)
ドミニク・ペロー/フランス

photo:T.Kuratani

蝶の羽や万華鏡をイメージした屋根が特徴
フランスの建築家・都市計画家が手掛けた、能や狂言の舞台にもなる東屋。周囲に広がる里山の風景と、舞台上の演者の姿が視覚的に重なり合うよう、屋根には反射する素材を用いた。屋根は積雪に備えて、垂直にたたむことができる

住所|新潟県十日町市下条4-1276 神明水辺公園
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[新作]
⑦『誤山を眺める』(2022)
Mapped to the Closest Address/日本・コロンビア

© Yamaguchi Jun

国境を超えて生み出す自然環境との対話
アレックス・ヴィテリさん、カタリーナ・フェルナンデスさん、吉田駿太朗さん、前野真榛さん、山口純さんによるインスタレーション。振動する山脈(スピーカー)に囲まれ、誤動する“山”と地元の人々がゲートボールゲームを行う

住所|新潟県十日町市下条4-281-3(十日町市利雪親雪総合センター)
開館時間|10:00~17:00(10・11月は~16:00)
料金| 個別鑑賞券300円(十日町市利雪親雪総合センター入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~11月13日(日)
休業日|【夏】火・水曜/【秋】月~金曜(祝日は除く)

 

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《新潟・越後妻有 大地の芸術祭 2022》
1|越後妻有里山現代美術館 MonET 前編後編
2|越後まつだい里山食堂 前編後編
3|旅の最後は“祈り”のアート『手をたずさえる塔』へ
4|アート里山をめぐる 前編後編
5|ジェームズ・タレルの泊まれるアート『光の館』
6|総合ディレクター・北川フラム氏に聞いた、アートの力で地域の魅力を掘り起こす秘訣とは?
7|十日町エリアの作品・作家マップ 前編後編
8|川西エリアの作品・作家マップ 前編後編
9|中里エリアの作品・作家マップ 前編後編
10|松代エリアの作品・作家マップ 前編後編
11|松之山エリアの作品・作家マップ 前編後編
12|津南エリアの作品・作家マップ 前編後編
13|6エリア別 作品・作家見どころガイド
14|出展アーティスト4名に聞く作品に込めた思い

text: Miyu Narita map: Alto Dcraft
Discover Japan 2022年6月号「アートでめぐる里山。/新潟・越後妻有”大地の芸術祭”をまるごと楽しむ!」

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