TRADITIONS

まるで大奥!?
天皇の超プライベート空間「御常御殿」

2019.10.2
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<b>まるで大奥!?</b><br>天皇の超プライベート空間「御常御殿」

1589(天正17)年に豊臣秀吉が、紫宸殿の修造工事に着手した際、天皇が日常を過ごす独立した御殿として新しくつくられた御常御殿。後陽成天皇から明治天皇までの16代にわたる天皇がプライベートな時間を過ごしたここは、男子禁制。成人前の稚児と年老いた何人かの男性を除き、女官だけで天皇の世話を行った。

御殿の壁を彩る数々の障壁画には、草花や動物といった自然を描いたものが多い。これは気軽に外に出られない天皇が自然について学べるようにという意図があるそう。

御殿には、年賀の祝いなど内々の儀式に使われる「上段の間」、「中段の間」、「下段の間」をはじめ、寝室の「御寝の間」、人との面談やダイニングとしても使われた「二の間」など15部屋があり、御所内で最も広い。

中でも特徴的なのが「上段の間」。天皇の象徴である桐・竹・が描かれたが設けられ、襖の後ろには、皇位継承のしるしである三種の神器の中から、剣と勾玉を納めるの間が。この間はかつては清涼殿内にあったが、生活の場が御常御殿に移るとともに新たにつくられたといい、天皇が常に神器をそばに置いたことがうかがえる。

徳の高い天子の近くに現れるといわれる伝説の鳥・鳳凰が描かれた御常御殿・上段の間。群青の青が印象的な障壁画は、幕末に京都画壇で活躍した狩野永岳の筆 

18畳の寝室「御寝の間」の襖絵は、明治天皇の代替わりの際に鶏・竹・菊花から虎に変えられた。床は保温用のもみ殻を中に入れた二重床で、その上に厚い畳を敷く。この部屋には明治・大正・昭和天皇が泊まったという記録も残る。

御常御殿の中央にある御寝の間の床下には、盛り土を漆喰で塗り固めた亀腹(かめばら)と鉄格子が設けられ、外敵が侵入できないようになっている。

御殿の東側には遣り水の流れに沿って四季のさまざまな花木が植え込まれ、八つ橋、石橋、木橋といった橋が架けられた池泉回遊式のが広がり、天皇が日常的に目を楽しませたと想像できる。

 

京都御所
住所:京都市上京区京都御苑3
Tel:075-211-1215(受付時間:8:30~17:15)

入場時間:入場時間は季節で変動、ウェブページを確認 ※予約不要の通年公開
休止日:月曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始 ※臨時休止日あり。詳細はウェブページを確認
入場料:無料
https://sankan.kunaicho.go.jp
※無料ガイドツアーは、1日4回実施(9:30~、10:30~、13:30~、14:30~)。予約不要。参観者休所に集合

 

文=白木麻紀子 写真=宮内庁京都事務所、中田昭
2019年10月号 特集「京都 令和の古都を上ル下ル」