新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」
松之山エリアの作品・作家マップ|前編
世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭」。22年目となる今年は、38の国・地域から263組の作家が参加。300点以上の作品の中から、目玉となる新作と必見の常設作品をエリアごとに取り上げる。
大地の芸術祭とは・・・
「人間は自然に内包される」をコンセプトに、国内外の著名なアーティストと地域住民が協働し、210の常設・既存作品に加えて、新作・新展開作品が123点追加。約760㎢にわたる広大な6つのエリアで11月13日(日)まで開催される。
松之山エリア
長野との県境に位置し、山々に囲まれた丘陵地帯。約700年の歴史をもつ松之山温泉郷でも知られる。里山ならではの多様な生態系の恵みを見直し、活用しながらの地域づくりに取り組んでいる。伝統的な暮らしに息づく人の本質を作品から知ることができる、貴重な機会をお見逃しなく。
[新作]
①『森の精』(2022)
クリスチャン・ボルタンスキー/フランス
鑑賞者と作品、そして鑑賞者同士が
森の中で見つめ合う
作家は、1970年代初頭から写真を取り入れた作品を発表してきた。本作では、日本人男女のモノクロ写真約20枚を網状の布にプリントし、森の中に吊り下げる。写真に写る人々の“所属”をなくし、森の中に新たな魂を表す
住所|新潟県十日町市松之山松口
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|7月30日(土)~11月13日(日)
休業日|火・水曜
[常設]
②『十日町市立里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロ』(2003)
手塚貴晴+手塚由比/日本
里山の景色に溶け込む
錆に覆われたミュージアム
自然科学がテーマの教育研修施設。蛇のようなかたちをした建物の長さは約160mで、約2000tの積雪の重さに耐え得る。外壁全面はコールテン鋼で覆われ、温度変化によって伸び縮みを繰り返す
住所|新潟県十日町市松之山松口1712-2
開館時間|9:00~17:00
料金|個別鑑賞券500円(キョロロ入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|通年公開
休業日|火曜(祝日は除く。7月11日~15日は展示入替のため休館)
[新作]
③『ZooMuSee』(2022)
橋本典久+scope/日本
鑑賞者を圧倒する大迫力の昆虫写真
『ZooMuSee(ズームシー)』は、作家による超高解像度画像のデータベース。本作で約280点を公開し、夏の企画展開催に合わせ、『キョロロ』の「志賀夘助チョウコレクション」から3749点を追加予定
住所|新潟県十日町市松之山松口1712-2 「森の学校」キョロロ内
開館時間|9:00~17:00
料金|個別鑑賞券500円(キョロロ入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|通年公開
休業日|火曜(祝日は除く。7月11日~15日は展示入替のため休館)
[常設]
④『足下の水(200㎥)』(2003)
遠藤利克/日本
目には見えない水の存在が想像力を刺激する
本作で地面に広がる鋼鉄板の下には、大量の水が貯留されているといわれるが、その存在を実際に目で確かめることはできない。かつて作家が目にした、地下貯水のための道路工事をコンセプトに生まれた作品
住所|新潟県十日町市松之山松口1712-2 「森の学校」キョロロ内
開館時間|9:00~17:00
料金|個別鑑賞券500円(キョロロ入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|通年公開
休業日|火曜(祝日は除く。7月11日~15日は展示入替のため休館)
[常設]
⑤『超高解像度人間大昆虫写真[life-size]』(2006)
橋本典久+scope/日本
人間大の昆虫と向き合う写真展
作家が一年をかけて地域で採集した昆虫の超高解像度写真を展示する。昆虫を人間と同様の大きさにまで拡大し、肉眼では見えない細部まで鮮明に浮かび上がらせる
住所|新潟県十日町市松之山松口1712-2 「森の学校」キョロロ内
開館時間|9:00~17:00
料金|個別鑑賞券500円(キョロロ入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|通年公開
休業日|火曜(祝日は除く。7月11日~15日は展示入替のため休館)
[常設]
⑥『Lost Winter』(2018)
レアンドロ・エルリッヒ/アルゼンチン
窓外に広がる不思議な景色
宿泊施設『三省ハウス』にある常設作品。雪が残る窓の外の景色をのぞき込むと、のぞき込んだ自分が別の窓のからこちら側をのぞき込む。宿泊者限定のナイトプログラムもある
住所|新潟県十日町市松之山小谷327 三省ハウス内
開館時間|10:00~17:00(10・11月は~16:00)
料金|個別鑑賞券300円(三省ハウス入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜
※公開休止日も宿泊者のみ見学可能
[新作]
⑦『Ongoing Village~進行形の村~』(2022)
Ongoing Collective/日本
鑑賞者をも含めた
“現在進行形”の日常を可視化
作家は、48名からなるアーティスト集団。そのメンバーが小学校を改築した宿泊施設『三省ハウス』に滞在。日常を送りながらインスタレーションやワークショップなどを展開し、日々の出来事や共同体の可視化を試みる
住所|新潟県十日町市松之山小谷327 三省ハウス内
開館時間|10:00~17:00
料金|個別鑑賞券300円(三省ハウス入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~9月25日(日)
休業日|火・水曜
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12|津南エリアの作品・作家マップ 前編・後編
13|6エリア別 作品・作家見どころガイド
14|出展アーティスト4名に聞く作品に込めた思い
text: Miyu Narita map: Alto Dcraft
Discover Japan 2022年6月号「アートでめぐる里山。/新潟・越後妻有”大地の芸術祭”をまるごと楽しむ!」