新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」
川西エリアの作品・作家マップ|後編
世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭」。22年目となる今年は、38の国・地域から263組の作家が参加。300点以上の作品の中から、目玉となる新作と必見の常設作品をエリアごとに取り上げる。
川西エリア
信濃川西岸の河岸段丘上に広がる地域。平坦な地形を利用した稲作が盛ん。妻有郷随一の豪農商・星名家の屋敷であり、ジェームズ・タレルさんが作品『光の館』のモデルとした星名邸(国重要文化財)があることでも知られる。子どもも大人も楽しめる屋外作品を満喫しよう。
[新作]
⑧『大地を縫う』(2022)
岩城和哉+東京電機大学 岩城研究室/日本
水によって削り取られた大地の断面を再現
新町新田(あらまちしんでん)集落の人々と交流を続ける建築家・岩城和哉さんと学生たちによる作品。段丘平坦部の地表面と連続するよう、窪地の上空に糸を水平に張り、かつてそこにあった段丘面を再現。糸からは造形物を吊るす
住所|新潟県十日町市新町新田1062付近
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜
[新作]
⑨『あの山この山』(2022)
長谷川 仁/日本
山の風景と仁田地区の暮らしや歴史を融合
越後三山の雄大な眺めを自慢とする仁田(にた)地区の人々と山へ登り、山肌の型を取って、祭りの際に地区を練り歩く山車(だし)を制作するプロジェクト。そこから地域住民が語れる物語を紡ぎ、来場者とも共有する
住所|新潟県十日町市仁田2422
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|7月30日(土)~11月13日(日)
休業日|火・水曜
[常設]
⑩『境界の神話』(2006)
内田 繁/日本
牧歌的な雰囲気漂う、子どもたちの遊び場
“囲む”ことについて深慮した作家が、地域の人々と相談を重ねながらつくった、子どもたちのための遊び場。道端の空き地に、動物を模したオブジェがいくつも並ぶ牧場のような風景は、道行く人の心も和ませる
住所|新潟県十日町市上野甲842
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜
[常設]
⑪『パッセージ』(2006)
足髙寛美/日本
訪れた人の心にそっと寄り添う言葉が並ぶ
バスの停留所に並ぶ、72脚の長い長いベンチ。その背もたれには、さまざまな相手を想定し、「何と声を掛けるか」という問いに対して、作家と地域の高校生たちが話し合い、紡いだ言葉が刻まれている
住所|新潟県十日町市上野甲
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜
[新作]
⑫『小脇プロジェクト』(2022)
丹治嘉彦+橋本 学/日本
約400人の子どもの想いを作品化
約400人の子どもに、住宅廃材などを材料に“自分が住みたい街”をテーマとした模型をつくってもらい、それらを集積して作品化。表現の楽しさと、“個”が集まることで生まれるダイナミズムを子どもたちに伝える
住所|新潟県十日町市小脇丁682-4
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜
[新作]
⑬『高倉写楽 -還るところ-』(2022)
力五山−加藤 力・渡辺五大・山崎真一−/日本
“還るところ”をテーマに
集落の素晴らしさを伝える
加藤力さん、渡辺五大さん、山崎真一さんによるユニット。結成当初から住民と協働で川西地区高倉集落の素晴らしさを伝えている。本作の舞台は高倉十二社神社。参道にのぼりや鳥居を設置し、本堂内では映像作品を上映する
住所|新潟県十日町市高倉戊519
開館時間|10:00~17:00
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜
[新作]
⑭『あめのうた』(2022)
小松宏誠/日本
水が雨となって降り注ぐまでの“旅”を表現
“浮遊”をテーマにした作品を数多く発表する作家が、雨の日に小さな水たまりを眺めていたことから生まれた作品。空気中に水が浮かび上がり、雨となって地上に降り注ぐまでをオブジェとして表現している
住所|新潟県十日町市中屋敷432-3
開館時間|10:00~17:00 ※1Fは20:00まで点灯
料金|個別鑑賞券300円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜
[常設]
⑮『記憶の痕跡と明日の杜』(2018)
国松希根太/日本
土地の記憶をよみがえらせ、未来へとつなぐ
1997年まで奉納相撲が行われていた、川西地区の千手神社境内を舞台にした作品。信濃川の川石で再現した土俵の円の周囲に、観客に見立てた川石を住民と協働で並べ、かつての賑わいや土地の記憶をよみがえらせた
住所|新潟県十日町市上新井86 千手神社
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜
text: Miyu Narita map: Alto Dcraft
Discover Japan 2022年6月号「アートでめぐる里山。/新潟・越後妻有”大地の芸術祭”をまるごと楽しむ!」