日本仏教三大霊山 高野山、比叡山、身延山へ
祈りのアーティスト・小松美羽がめぐる旅①(前編)
「私は、御犬さまを見た」
今回、小松美羽さんが訪れたのは山深い高野山。平安時代の816(弘仁7)年に、嵯峨天皇からこの地一帯を下賜された弘法大師空海が真言密教の修行の場をつくり、いまなお日本における仏教の聖地として日本のみならず、世界中から多くの人が訪れる特別な場所だ。
2020年7月中旬のとある日、小松美羽さんは小雨の降る中、東京から高野山へと向かった。高野山は、祈りの力が1000年の時を超えて受け継がれ、神聖なるスピリットが存在する聖地。小松さんは長年の間、特別な思いを抱いていた。
まずはじめに向かったのは、高野山のふもとにある「丹生都比売神社」。天照大神(あまてらすおおみかみ)の妹・丹生都比売大神を祀り、日本書紀にも登場する1700年以上の歴史を誇る神社だ。高野山といえば、仏教の聖地だが、なぜ寺ではなく、神社を小松さんは訪れたのか。
弘法大師空海は京都を離れ、新たな修行のために、伽藍建立の土地を探して彷徨っていたとき、見上げるほどの身の丈をした猟師と出会った。その猟師が連れていた白と黒の2匹の犬に導かれるまま弘法大師空海は紀ノ川を渡り、山中へ分け入る。すると、土地の主と名乗る女性が現れ「あなたに協力しましょう」と授けられたのが、現在の高野山の土地だったという。
この逸話に登場する山の主の女性こそが、丹生都比売神社の祭神・丹生都比売大神。つまり、この神社は高野山の誕生に大きく関わっているのだ。幼少期から山犬に守られてきたという記憶をもつ小松さんにとっては、弘法大師空海が2匹の犬に導かれて、高野山を発見したという逸話も心に強く響くという。
鏡池に架かった大きな半円形の輪橋を渡り、鳥居をくぐると、境内の先に楼門。その奥に4つの社殿からなる本殿が見える。ユニークなのは本殿左手に控える若宮に、鎌倉時代の真言宗僧侶で、神社の発展に尽力した行勝上人(ぎょうしょうしょうにん)を祀っていること。高野山は、成り立ちからその後においても、神仏の融合を目指してきたことが明らかであり、この逸話を聞くだけで大らかな心持ちになる。
本殿で玉串(たまぐし)を奉納し、参拝を済ませると小松さんは、いよいよ緑深い高野山へ。
丹生都比売大神
住所|和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
Tel|0736-26-0102
参拝時間|境内自由(授与所は8:45~16:30)
参拝料|自由参拝、正式参拝と由緒説明は1 団体につき1 万円より(20 名以上の場合は1 名あたり500円、記念品付)
https://niutsuhime.or.jp
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text: Hisashi Ikai photo: Masanori Ikeda
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