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新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」
松之山エリアの作品・作家マップ|後編

2022.7.13
新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」<br>松之山エリアの作品・作家マップ|後編

世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭」。22年目となる今年は、38の国・地域から263組の作家が参加。300点以上の作品の中から、目玉となる新作と必見の常設作品をエリアごとに取り上げる。

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松之山エリア

長野との県境に位置し、山々に囲まれた丘陵地帯。約700年の歴史をもつ松之山温泉郷でも知られる。里山ならではの多様な生態系の恵みを見直し、活用しながらの地域づくりに取り組んでいる。伝統的な暮らしに息づく人の本質を作品から知ることができる、貴重な機会をお見逃しなく。

[常設]
⑧『家の記憶』(2009)
塩田千春/日本・ドイツ

photo: Miyamoto Takenori + Seno Hiromi

張りめぐらされた黒い糸に
人々の営みが浮かび上がる

かつて養蚕を営んでいた家の玄関から天井裏まで、縦横無尽に張りめぐらされた黒い糸。そのところどころに、集落の人々から集めた“いらないけれども捨てられないもの”である民具や家具などが編み込まれている

住所|新潟県十日町市松之山下蝦池658
開館時間|10:00~17:00(10・11月は~16:00)
料金|個別鑑賞券300円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~11月13日(日)
休業日|【夏】火・水曜/【秋】月~金曜(祝日は除く)

[常設]
⑨『夢の家』(2000)
マリーナ・アブラモヴィッチ/旧ユーゴスラビア

築100年の古民家が舞台の“泊まれるアート”
夢を見るために身を清め、夢を見るためのスーツに身を包み、夢を見るためのベッドで眠りに就く。翌朝、見た夢を「夢の本」に書きつづり、その本が出版されるのを待つ――という宿泊体験型アート

住所|新潟県十日町市松之山湯本642
開館時間|11:00~16:00
料金|個別鑑賞券500円(「エリクシール/不老不死の薬」含む)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
⑩『エリクシール/不老不死の薬』(2003)
ジャネット・ローレンス/オーストラリア

photo: ANZAÏ

地域に伝わる薬草学の伝統と知識をアート化
田園風景の中にある木造の蔵。古代薬草学のスケッチやテキストを刻んだガラスのパネルが壁を覆う蔵内には、地元の植物を焼酎に漬けた薬草酒「エリクシール」(不老不死の意)が展示されている

住所|新潟県十日町市松之山湯本642
開館時間|11:00~16:00
料金|個別鑑賞券500円(「夢の家」含む)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜

[新作]
⑪『パレス黒倉』(2022)
藤堂/日本

象徴的な光を軸に“場所の固有性”を引き出す
豪雪に耐える強さと静けさを兼ね備える、空き家の薄暗い空間に差し込む、ひと筋の光。その象徴的な光を軸に、家からインスピレーションを受けて制作した作品を展示する。窓越しに緑と光を感じられる、展望室のような空間も制作予定

住所|新潟県十日町市松之山黒倉1204
開館時間|10:00〜17:00(10・11月は~16:00)
料金|個別鑑賞券300円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
⑫『オーストラリア・ハウス』(2009)
アンドリュー・バーンズ・アーキテクト/オーストラリア

©Brett Boardman

震災復興を象徴する日豪交流の拠点
築約150年の古民家を改築した『オーストラリア・ハウス』が2011年3月の長野県北部地震で全壊した経験を踏まえ、防災性や環境に配慮した建築として2012年に誕生。震災からの復興の象徴であり、建築の未来を示す建物でもある

住所|新潟県十日町市浦田7577-1
開館時間|10:00~17:00
料金|個別鑑賞券300円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)/宿泊者限定公開期間:~7月10日(日)、9月7日(水)~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[新作]
⑬『あざらし話』(2022)
エレナ・ノックス/オーストラリア

地球温暖化についてを物語る映像作品
地球温暖化によるアザラシの被害を調査・確認するため、北極圏を訪れたロボットアザラシ「PARO」の長い旅の記録映像。北極圏と越後妻有の年配者のインタビューも収録。彼らが生まれ育った土地の移り変わりを語る

住所|新潟県十日町市浦田7577-1 オーストラリア・ハウス内
開館時間|10:00~17:00
料金|個別鑑賞券300円(オーストラリア・ハウス入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
⑭『Sky Catcher09』(2009)
堀川紀夫/日本

見上げたときとは違う大空が鏡の中に広がる
作家は、巨大な鏡に映して空を切り取る「Sky Catcher」シリーズに2005年から取り組んでいる。本作では、米山と刈羽黒姫山を遠望するキャンプ場広場に鏡を設置

住所|新潟県十日町市松之山天水越 大厳寺高原
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[新作]
⑮『世界をつなぐメールアート・プロジェクト(ギャラリー湯山)』(2021)
前山 忠×湯山メールアート・プロジェクト/日本

photo: Kioku Keizo

400人の想いが詰まった
メールアートに魅せられる

作家は2019年秋、企画展「拡張するメールアート」を開催。国内外の作家37名が参加したが、本作はさらにネットワークを広げ、世界40カ国400名余りのメールアートをの展示を目指す

住所|新潟県十日町市松之山湯山446 ギャラリー湯山
開館時間|10:00~17:00(10・11月は~16:00)
料金|個別鑑賞券300円(ギャラリー湯山入館料)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月23日(土)~11月13日(日)
休業日|【春・夏】火・水曜/【秋】月~金曜(祝日は除く)

期間限定!パフォーマンスも見逃せない!

大地の芸術祭では、一年を通じてさまざまなイベントが開催されている。中でも、アーティストたちによる作品としてのパフォーマンスは必見!

『タイトル未定』
森山未來/日本

photo: Maeda Tomotsugu 森山未來演出・振付『見えない/見えることについての考察』(2020)より

幻想的な舞台で繰り広げられる
パフォーマンス

俳優としてだけでなく、ダンサーとしても活躍する森山未來さん。芸術祭では、故クリスチャン・ボルタンスキーとジャン・カルマンさんによる、幻想的なインスタレーション『最後の教室』を舞台にパフォーマンスを行う

住所|新潟県十日町市松之山東川192 旧東川小学校
料金|一般前売4000円、一般当日5000円(パスポート提示で500円割引)、高中小生2500円
※「最後の教室」入館料含む
日時|9月10日(土)、11日(日)
※詳細は公式ウェブサイトを要確認

 

津南エリアの作品・作家マップ
 
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《新潟・越後妻有 大地の芸術祭 2022》
1|越後妻有里山現代美術館 MonET 前編後編
2|越後まつだい里山食堂 前編後編
3|旅の最後は“祈り”のアート『手をたずさえる塔』へ
4|アート里山をめぐる 前編後編
5|ジェームズ・タレルの泊まれるアート『光の館』
6|総合ディレクター・北川フラム氏に聞いた、アートの力で地域の魅力を掘り起こす秘訣とは?
7|十日町エリアの作品・作家マップ 前編後編
8|川西エリアの作品・作家マップ 前編後編
9|中里エリアの作品・作家マップ 前編後編
10|松代エリアの作品・作家マップ 前編後編
11|松之山エリアの作品・作家マップ 前編後編
12|津南エリアの作品・作家マップ 前編後編
13|6エリア別 作品・作家見どころガイド
14|出展アーティスト4名に聞く作品に込めた思い

text: Miyu Narita map: Alto Dcraft
Discover Japan 2022年6月号「アートでめぐる里山。/新潟・越後妻有”大地の芸術祭”をまるごと楽しむ!」

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