人も地域も笑顔にする、
かおりがつくる未来
|ウェルネス・カンパニー「エステー」が見つけた、北海道トドマツの可能性とは?


消臭力、ムシューダなど、数々のヒット商品を生み出してきたエステーが、日用品メーカーの領域にとどまらないウェルネス・カンパニーへの移行を掲げ、新たな価値を創出している。そのキーワードが「かおり×ウェルネス」だ。同社はかねてより北海道のトドマツの精油・精水・粉体を活用したクリアフォレスト事業を展開。ここで培った技術と経験を生かし、地産地消のかおりを用いた製品開発や地方共創などに取り組んでいる。多様な可能性を有す「かおり」は、暮らしのふとした瞬間に小さな笑顔をもたらしてくれるだろう。
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エステーが北海道トドマツに
着目したワケとは?

エステーとトドマツとの出合いは2007年。「森の空気はなぜきれいなのか?」という研究テーマから全国66カ所の森を調査し、空気浄化作用が圧倒的に高かったのが北海道のトドマツの森だった。トドマツの葉の精油を分析すると、大気汚染低減効果、抗酸化機能効果、消臭効果、森林浴効果などが判明する。そこでクリアフォレスト事業として、トドマツの精油・精水・粉体を用いた製品開発やプロジェクトが進められた。

フェムケア専用の練り香水「ルナマイン アロマスティック」はトドマツの精油を採用した、エステーのかおりプロダクトのひとつ。特別に調香したシトラスバーベナ、ミントゼラニウム、アロマティックラベンダーという3種の香りでゆらぎがちな女性をサポートし、安らぎを与える。手首の内側や首筋など肌に直接塗ることで、手軽に気分転換できる。
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未利用資源を活用する、
サステナブルな製品づくり

トドマツの精油と同時に抽出される精水は、室内用消臭スプレー「Air Forest Refresh Mist」に配合されている。ホテルや旅館の客室で利用される業務用製品として開発されたものだが、宿泊客からの要望を受けてEC限定品として一般販売となった。99%が天然由来成分でありながら消臭能力は抜群で、森を吹き渡る風をイメージした爽やかなフォレストグリーンの香りも心地よい。まさにホテルクオリティの高品質だ。※写真はホテル専用品
日本のトドマツの産地の約95%は北海道であるといい、北海道の人工林の半数以上をトドマツが占めている。主に住宅の構造材や製紙用パルプとして使われ、精油・精水を抽出する枝葉はこれまで残材として自然廃棄されていた。クリアフォレスト事業では枝葉の回収と抽出工程を、北海道釧路市の森林整備事業会社・北都に委託。事業の拡大は森林資源の循環のみならず、雇用促進や地域活性化にも直結しているといえよう。
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エステー×スズキによる
未来の“移動”を見据えたかおりが誕生!

2025年3月にはエステーと自動車メーカー・スズキの共同開発による車用消臭芳香剤「Air Forest YOWAN 車用エアケアキューブ」が発売となった。ビンの中に詰められたトドマツキューブは、トドマツの精油を配合した爽やかなグリーンの香りだ。この香りは車内の不快臭に高い効果を発揮し、快適な車内空間へとアプローチしていく。スズキの社内調査によると、車酔いに悩む方の約64%が「車内のニオイなどの不快感が影響していると思う」と回答しており、この結果が本製品を開発するきっかけになったという。
かおりがもつ力は、どこまでも広がる可能性に満ちている。『Discover Japan』(2025年5月号/発売日2025年4月4日)では、クリアフォレスト事業の背景やかおりを軸に展開するエステーの挑戦についてお届けしているので、ぜひ誌面もご高覧いただきたい。
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text: Nao Ohmori photo: Norihito Suzuki