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新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」
松代エリアの作品・作家マップ|後編

2022.7.10
新潟・越後妻有「大地の芸術祭 2022」<br>松代エリアの作品・作家マップ|後編
photo: ANZAÏ

世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭」。22年目となる今年は、38の国・地域から263組の作家が参加。300点以上の作品の中から、目玉となる新作と必見の常設作品をエリアごとに取り上げる。

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松代エリア

信濃川の支流・渋海川(しぶみがわ)沿いの地域で、周囲を山々に囲まれた丘陵地帯に集落が点在し、かつては陸の孤島ともいわれた。棚田が多く残り、厳しい自然と共存してきた人々がつくり出した里山の風景が広がる。人の営みに触れる約100点の里山アートを堪能したい。

[常設]
⑧『火の周り、砂漠の中』(2003)
ファブリス・イベール/フランス

photo: ANZAÏ

遠く離れた場所の出来事に想いを馳せる
1001個の穴が開いた円形の部屋。壁裏の照明の光が穴から漏れ、満天の星が輝く夜空のようになる。穴の数はイスラムの説話集『千夜一夜物語』にちなんだもの。題名は制作時期に起きたアメリカのイラク攻撃を示唆している

住所|新潟県十日町市松代3743-1 まつだい「農舞台」内
開館時間|10:00~18:00
料金|まつだい「農舞台」フィールドミュージアム券1200円(農舞台個別鑑賞券は600円)または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|通年公開
休業日|火・水曜(祝日は除く)

[常設]
⑨『リバース・シティー』(2009)
パスカル・マルティン・タイユー/カメルーン・ベルギー

photo: Miyamoto Takenori + Seno Hiromi

見上げる鑑賞者を圧倒する
巨大鉛筆の群れ

世界中の国々の名前が書かれた巨大な鉛筆が太い柱に吊るされている。地上約2mの高さから、見上げる人々に先端を向ける鉛筆の街はカラフルで、長短さまざま。各都市の個性とともに、迫力や脅威をも感じさせる

住所|新潟県十日町市松代3743-1 まつだい「農舞台」周辺
開館時間|屋外展示のため日中
料金|まつだい「農舞台」フィールドミュージアム券1200円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
⑩『西洋料理店 山猫軒』(2000)
白井美穂/日本

photo: ANZAÏ

カラフルな扉をくぐり、
名作の世界に迷い込む

宮沢賢治の童話『注文の多い料理店』を具現化した作品。空間を区切るカラフルな8枚の扉にはそれぞれ、童話内に登場する客への注文の言葉がつづられており、扉をくぐりながら、物語の世界を体感できる

住所|新潟県十日町市松代3743-1 まつだい「農舞台」 城山周辺
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
⑪『○△□の塔と赤とんぼ』(2000)
田中信太郎/日本

photo: ANZAÏ

青空に赤とんぼが舞う日本の原風景
2019年に逝去するまで、日本の現代美術を牽引してきた作家。高さ16mの本作は、青空を背景に飛ぶ赤とんぼの彫刻。シンプルな造形ながらインパクトがあり、見る場所によっても印象が変わる

住所|新潟県十日町市松代3743-1 まつだい「農舞台」 城山周辺
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|通年公開
休業日|火・水曜(祝日は除く)

[常設]
⑫『影向(ようごう)の家』(2015)
大巻伸嗣/日本

photo: Ishizuka Gentaro

古民家のもつ気配を視覚化した神秘的な世界
鑑賞者の五感を揺さぶる作品で知られる現代アーティストが“消えゆくもの”、“感じられるもの”をテーマに、煙などを使い、古民家のもつ気配を表現。題名の影向は、神や仏が仮の姿で現れることを意味する

住所|新潟県十日町市蓬平174
開館時間|10:00~17:00
料金|個別鑑賞券300円または作品鑑賞パスポート提示
公開期|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜

[常設]
⑬『視点』(2000)
フランシスコ・インファンテ/ロシア

photo: Ishizuka Gentaro

自然とアートが織りなす情景を写真に収める
無数の正方形が並ぶスクリーンの手前に、カメラを固定する場所が用意されている。そこで撮影すると、スクリーンが景色と同化して溶け込み、自然とアートが一体となってつくり出す情景を体感できる

住所|新潟県十日町市会沢 まつだい芝峠温泉 雲海近く
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|~11月13日(日)
休業日|火・水曜

[新作]
⑭『妻有アーカイブセンター』(2022)
川俣 正/日本・フランス

川俣 正のアトリエギャラリーを初公開
2009年、芸術家・造形作家の川俣 正さんが指揮するインターローカル・アート・ネットワーク・センター(地域芸術研究所)の会場となった、旧清水小学校を舞台にしたアーカイブ/ライブラリー施設

住所|新潟県十日町市清水718
開館時間|10:00~17:00
料金|個別鑑賞券500円または作品鑑賞パスポート提示
公開期間|7月30日(土)~9月4日(日)
休業日|火・水曜

[新作]
⑮『スノーフェンス』(2022)
川俣 正/日本・フランス

実際の雪対策も視野に入れた
インスタレーション

『妻有アーカイブセンター』として再生した旧小学校の建物外の正面部(ファサード)に制作。冬の雪囲いをイメージしたもので、工事用フェンスを横向きにして壁に添わせ、かたちづくる

住所|新潟県十日町市清水718 妻有アーカイブセンター
開館時間|屋外展示のため日中
公開期間|7月30日(土)~11月13日(日)
休業日|火・水曜

期間限定!パフォーマンスも見逃せない!

大地の芸術祭では、一年を通じてさまざまなイベントが開催されている。中でも、アーティストたちによる作品としてのパフォーマンスは必見!

「カバコフの夢」を歌う
巻上公一/日本

カバコフ作品を題材に歌を創作
旧ソ連(現ウクライナ)出身の芸術家、イリヤ&エミリア・カバコフさんの作品のテキストをモチーフに、ボイスパフォーマー・巻上公一さんが歌を創作。巻上さん自身がメンバーであるヒカシューにゲストを加えた編成

住所|新潟県十日町市松代3743-1 まつだい「農舞台」
開演時間|18:00開演
料金|一般前売1500円、一般当日2000円(パスポート提示で200円割引)、高中小生800円
※別途「農舞台」入館料またはパスポートが必要
日時|7月30日(土)

 

松之山エリアの作品・作家マップ
 
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《新潟・越後妻有 大地の芸術祭 2022》
1|越後妻有里山現代美術館 MonET 前編後編
2|越後まつだい里山食堂 前編後編
3|旅の最後は“祈り”のアート『手をたずさえる塔』へ
4|アート里山をめぐる 前編後編
5|ジェームズ・タレルの泊まれるアート『光の館』
6|総合ディレクター・北川フラム氏に聞いた、アートの力で地域の魅力を掘り起こす秘訣とは?
7|十日町エリアの作品・作家マップ 前編後編
8|川西エリアの作品・作家マップ 前編後編
9|中里エリアの作品・作家マップ 前編後編
10|松代エリアの作品・作家マップ 前編後編
11|松之山エリアの作品・作家マップ 前編後編
12|津南エリアの作品・作家マップ 前編後編
13|6エリア別 作品・作家見どころガイド
14|出展アーティスト4名に聞く作品に込めた思い

text: Miyu Narita map: Alto Dcraft
Discover Japan 2022年6月号「アートでめぐる里山。/新潟・越後妻有”大地の芸術祭”をまるごと楽しむ!」

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