2025年、デザインで楽しむお正月
年末年始を彩る飾りつけ|前編
干支飾り/鏡餅/巳の置物/平松飾り
2025年を迎える準備はしましたか? 大掃除を終え、おしゃれなお正月飾りで玄関や家の中を彩れば、歳神様(としがみさま)を迎える準備は万端。
前編では巳年にちなんで龍や干支の置物、木製鏡餅などの正月飾り、またクリスマスに飾って楽しい木工品も紹介します。日本文化をインテリアに取り入れてみたい方も、この機会にいかが?
天然木の風合いを尊重し美しいフォルムに
「osio craft」の木製鏡餅
手のひらサイズで、小さなスペースにも飾りやすい鏡餅。ころんとした形状も愛らしい。飛騨高山の特産であるブナの木を利用し、あえて無塗装で白木を生かしたざらっとしたテクスチャーも餅のよう。上にのった橙には真鍮製のパイプ付きで、一輪挿しとして観葉植物や生花を生けることも。箱には熨斗が付いていて、鏡餅を飾るときの台座としても使える。使い回さないという意味でも、毎年ヤスリで軽く磨いてから飾ることもおすすめ。
osio craft
飛騨高山を拠点に木工作品を制作する岩田翔馬さんの屋号。ブランド名は、素材を生かし味つけする、日常の中にある「塩」から名づけられた。木の特徴を生かしたオリジナリティ豊かな作品を制作。
縁起物をモダンにアップデート
「Studio-GALA」の床飾り
「HALE」シリーズから、檜の板に水引と組ひもをあしらい、新春のめでたさを表した床飾り(とこかざり)。水引や組ひものパーツは、日本各地の職人の手で、伝統技術を用いてつくられている。床の間などがなくても正月を祝う気持ちを表現できるところも魅力。モダンで洗練された正月飾りとともに新年を迎えよう。
Studio-GALA
デザイナーの小林良一さんが主宰するプロダクトブランド。スタートは1982年。日本各地で受け継がれてきた工芸の素材や技術を活用し、新たな価値を見出せるような、現代の暮らしに馴染む作品をつくっている。
思わず飾りたくなる、かわいらしい表情に注目!
「阿部春弥・ 阿部みか」巳の箸置き
お正月の食卓で使いたい磁器製の巳の箸置き。リアリティがありつつ愛らしい表情が食卓のアクセントに。箸置きとしての実用性も高い。蛇は古くから豊穣神・天候神として信仰され、不老長寿や強い生命力につながる縁起のいい動物と考えられているそう。よい一年を送れるように年間飾っておくのもおすすめ。
阿部春弥・阿部みか
長野県上田市で「三窯」として活動する陶芸家夫婦。“暮らしに寄り添う等身大のうつわ”を意識し、うつわの石膏型づくり、ろくろ成形、面取りや削りなどを春弥さんが行い、箸置き制作はみかさんが担当する。
飛騨の風土に根ざす、愛らしい妖怪
「奥井木工舎」の雪入道
地元のホオノキの生木で木杓子の端材を生かした、飛騨の伝説に登場するひとつ目・一本足の妖怪。木を割ったままの木肌や木目を残し、木材のねじれや節も生かしている。素材感が伝わるシンプルな絵付けで、愛嬌たっぷりな表情が人気。子どもを悪い誘惑から遠ざける守り神のような存在になってくれたらとの思いが込められている。
奥井木工舎
木工職人の奥井京介さんが2010年に高山市に設立。“暮らしにそっと寄り添うものづくり”をコンセプトに、伝統の「有道杓子」を基にした木杓子や飛驒の雪入道など、木の風合いや手仕事の跡を感じられる、愛着のわく作品をつくる。
異なる表情のサンタから、お気に入りを見つけたい!
「Tongarisanta Ltd.」のクリスマス飾り
27年前に、商品ではなくその年にお世話になった人たちへのギフトとして制作されはじめた。販売を望む声が多かったことから商品化し、以来毎年楽しみにしているファンも多い。一つひとつ手作業で彫刻され、表情や衣装、ひげの長さなどもそれぞれに異なる。店頭で手に取って、自分だけの一体をじっくりと選びたい。
Tongarisanta Ltd.
富山県・八尾町で活動する下尾和彦・さおり夫妻による木工ユニット。2022年にShimoo Designから独立。250年以上の歴史をもつ「井波彫刻」とともに、一つひとつ丁寧に「とんがりサンタ」を制作している。
伝統の技が光る、 深い色と木目に注目
「一位一刀彫 鷲塚彫刻(沐仁)」巳の置物
銘木イチイの木目の美しさを生かし、彫刻を施した巳の置き物。2025年の干支である巳には金運をもたらすとのいわれもあり、ラッキーアイテムとしてそばに置いておきたい。こちらはサイズ感も愛らしい小サイズで、大きく開けた口とつぶらな瞳もポイント。身近に伝統の技が楽しめる逸品。
樹齢300~500年のイチイの木を材に、飛騨伝統の技「一位一刀彫」でつくった干支・巳の置き物。成長が遅く年輪が密なイチイ。その美しい木目を蛇のなめらかな体の模様に生かした技に魅了される。年月とともに深い色になっていく過程も楽しんで。新年の象徴として、また一年を豊かに過ごせる守り神として飾っておきたい。
一位一刀彫 鷲塚彫刻(沐仁)
国の伝統的工芸品で、江戸時代から続く飛騨高山伝統の「一位一刀彫」。鷲塚沐仁さんは修業を積み一代で一位一刀彫師に。硬く腰の強いイチイの木目を見極め、その魅力を最大限生かした彫りを施す。
美しいフォルムと光沢が存在感を放つ
「大寺幸八郎商店」ヘビの置物
林悠介さんがデザインしたオリジナルミニ干支シリーズのひとつ。くるくると巻いた体から、ちょこんと顔をのぞかせた「福へび」の親子。ロストワックスを使った精密鋳造で表現された美しいフォルムと精巧なつくりで、小さいながらも大きな存在感を放つ。
大寺幸八郎商店
1860(万延元)年創業。富山県高岡市の伝統である高岡銅器や錫製品、地元作家の作品を販売。現在は6代目・大寺康太さんや、いとこの林悠介さんがデザインした作品など、伝統工芸とデザインを掛け合わせたプロダクトを制作している。
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お正月は、厄災を払い幸福をもたらす歳神様を迎える行事。つくり手の想いが込められた美しいデザインの正月飾りを飾れば、自分自身も気持ちよく歳神様をお迎えできるはず。現代の生活に馴染む正月飾りで、晴れやかに新年を祝ってみては?
Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
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※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Miyo Yoshinaga photo: Yuko Okoso
2025年1月号「ニッポンのいいもの美味いもの」