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日本酒界の超新星!
岡住修兵は何者だ?

2021.1.14
日本酒界の超新星!<br>岡住修兵は何者だ?

新政の麹造りを担当していた若者が、なかばタブーとされていた清酒製造免許の新規取得を目指して自身のブランドを立ち上げた。理想の酒の先に、日本酒の未来を見据えて……。

岡住 修兵(おかずみ・しゅうへい)
1988年、福岡県出身。神戸大学経営学部卒業後、秋田の新政酒造にて4年半勤務し米麹を造り続けた後、大潟村の石山農産で自然栽培を学ぶ。「稲とアガベ」の名で新規清酒製造免許を取得し、秋田に酒蔵を立ち上げるプロジェクトを発足。現在その準備に邁進

岡住修兵を知るキーワード8

1.取得困難な免許獲得を目指す
新規清酒製造免許

新規の清酒製造免許が原則認められていない現在。酒蔵をはじめるには免許をもつ企業を移転、買収するなどが一般的だが、次世代につなぐため新規の免許取得を目指す。

2.委託醸造での清酒造り
土田酒造

自然栽培米を用いた「稲とアガベ」プロトタイプをかたちにするため、「土田酒造」の星野杜氏に醸造を委託。星野さんが新政酒造で修業した際に麹を造っていたのが岡住さん。

3.働く人を幸せにする
ディーセント・ワーク

会社を大きくするためには従業員の当事者意識が大切という考えから、起業で雇用を創出し、全員で利益を共有する方針。「例えば従業員が全員年収1000万円という酒蔵になって新しいロールモデルとなるのが夢!」と語る。

4.生産者と消費者の幸せを考える
責任ある消費と生産

「稲とアガベ」に懸ける思いや醸造の様子をSNSで公表し、発売前からファンを獲得。「自分が何者でもない段階から応援してくれた人や酒販店には一生かけて恩返ししたい」。

5.ニッポンのブルゴーニュ?
OGA

酒蔵の候補地に挙げているのが秋田県の旧男鹿駅舎。「フランスのブルゴーニュのように、酒を通して男鹿という場所を世界中の人に知ってもらいたい。オーベルジュも計画中です」。

6.捨てない酒造り
自然栽培×低精白米

 

石山農産で自然栽培の米づくりを教わって経験を積むなど、栽培醸造蔵を計画。「自然栽培米の酒の質があまりにもキレイで」と、低精白の自然栽培米を使用した酒造りにこだわる。

7.野生の造りを目指す
完全無添加

「稲とアガベ」は、磨かない自然栽培米の味わいを大切にする造り。秋田での醸造がかなった際には、自然の菌のみで醸す完全無添加の生酛造りを目指す。

8.期間限定の醸造責任者
どぶろく

2021年の春までは浅草のどぶろく醸造所「木花之醸造所」の醸造長として実働。その後は、解禁予定の輸出向け日本酒の製造免許を取得し、どぶろくと輸出用日本酒を造る蔵を男鹿に建設予定。

ハナグモリ〜THE 酸
搾りの工程のないどぶろくはもろみの状態で美味しくなるよう設計。苦味の出ないぎりぎりのアルコール度数(12度)で酸を楽しむ。
価格|2178円/500㎖
原料米|国産米
精米歩合|90%
アルコール度数|12度

岡住修兵が目指す酒造り

◎秋田と日本酒への感謝
生酛、低精白の自然栽培米は、日本酒が世界に打って出るために必要なコンセプト。その酒で秋田を世界的に知られる日本酒の聖地に。

◎かかわる人すべてを幸せに
経営者と杜氏の顔をもつ岡住さん。造りの先に、「旨い酒の追求が事業拡大や雇用を生み続ける好循環につながる」ことを見据える。

◎雇用のための事業拡大
魅力的な酒造りやプランを発信し、一緒にやりたいと手を挙げる人を増やす。その全員を雇用するために事業を拡大し続けたい。

旨い酒と造りを通して
社会に貢献する

日本酒の国内需要減少などの理由から、新規参入が原則認められていない清酒製造免許。「日本酒を造りたい!」と思っても新規で蔵を造ることはできず、現在免許をもつ企業を買収するか、移転許可を得るしか手段がないのが現状だ。斜陽産業ともいえる日本酒業界を発展させるには、この大きな壁を打破する必要がある。そこに着目して新規参入を目指すのが、「稲とアガベ」プロジェクト代表の岡住修兵さんだ。

岡住さんは神戸大学経営学部卒業後に秋田の新政酒造に入社。飛ぶ鳥を落とす勢いの同社の酒造りに4年半にわたり携わる。

「日本酒に携わる仕事をしたいと考えていた頃、神戸の居酒屋で新政の酒に出合いました。この蔵で働きたいと盛り上がっていたら、店主が新政代表の佐藤さんとFacebookでつながっていて、『働きたいと言っている若者がいる』と投稿してくれたんです。それを見た佐藤さんが『いいっすよ』と返信をくれて(笑)、早速面接へ。卒業後すぐ入社することになりました」

当初は3年の修業の後、日本酒を販売する会社を立ち上げようと考えていた岡住さん。ところが「造りがあまりにおもしろく」、大幅に期間を延長。いつしか販売ではなく醸造で起業を考えるようになったという。

「大学で『起業家は社会貢献の活動であり、起業家が起業することで雇用を創出できる。そのためにも起業家教育は重要』といった経営論を学びました。当時は漠然と起業家になろうと思っていたのですが、酒造りを経験したことで、自分の酒で社会貢献ができるのではないかと考えるようになりました」

現在は自家栽培米の田んぼや酒蔵開設の準備を進めつつ、規制緩和の方向性を探って関係省庁や専門家と話し合いを続ける。新規免許にこだわるのは、今後同じように若者が日本酒業界を志したときに参入しやすくするためだ。

「2021年には、秋田で蔵を新設する計画を進めています。新政の佐藤さんは何もない僕を雇ってくれて、杜氏だった師匠の古関さんは技術のすべてを教えてくれました。秋田でいろいろな人が協力してくれたことで、いま僕がここにいます。今後は、酒がつくってくれた縁に感謝し、つながってくれた秋田の人への恩返しをしていきたい。秋田は人口減少問題を抱えていますが、雇用を創出し、僕にかかわってくれる人から幸せにしたいと願っています」

即完売した01に続き日本酒業界の話題をさらった稲とアガベ02

《こちらの記事も合わせてご覧ください》
≫日本酒業界を変革する超新星「稲とアガベ02」

≫岡住修兵の完璧を求めたリベンジ酒「稲とアガベprototype03」販売

稲とアガベ
秋田は石山農産の自然栽培ササニシキを精米歩合90%で使用、生酛造り。土田酒造による委託醸造で、01は酵母無添加、02は6号酵母使用(ともに完売)。
価格|3300円/720㎖
原料米|秋田県産ササニシキ
精米歩合|90%
日本酒度|−6.6
酸度|1.5
アルコール度数|14度
www.inetoagave.com

text: Akiko Yamoto photo: Kazuma Takigawa
Discover Japan 2021年1月 特集「温泉と酒。」


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