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岡山県〈茶下山〉
食中茶の未来を広げる!進化形ボトリングティー

2024.7.31
岡山県〈茶下山〉<br>食中茶の未来を広げる!進化形ボトリングティー

岡山県の北東部・美作市海田地区。江戸時代に茶の栽培がはじまった地で、高級ボトリングティーのプロジェクトがスタートした。老舗茶舗「茶下山」に、お茶のスペシャリスト集団もコラボレーション。日本の番茶を変える、新たなうねりが起きようとしている。

世界に誇るお茶文化を未来へつなぐ「茶下山」が始動!
新時代の番茶、岡山にあり。

岡山・岡山市にある日本料理店「喰切料理 八方」での「朝凪」とあわせたい料理の一例。程よいスモーキーさや自然な甘みが主張しすぎず、料理の味わいを引き立てる。理想的なテーブルドリンクだ

これまでの番茶のイメージを一新する、二つの高級ボトリングティーが誕生した。その名は「朝凪」、「凪」。
「朝凪」は、緑茶の火入れ香と焙じ茶の風味が調和した乾杯茶。火入れを丁寧に施したやわらかな香りと、日本茶らしいほどよい渋みと甘みが特徴。「凪」は深煎りの秋番茶を贅沢に使用し、低温からじっくり煮出した食中茶。丹念に煮出すことでまろやかな味わいが生まれ、すっきりとした後味が楽しめる。

山間部に広がる「茶下山」茶畑は、すべて無農薬栽培。祖父の代から続く畑もあれば、最近開墾した畑も

焙じることで茶葉に含まれるカフェインが抑えられるため身体に優しく、グローバルなノンアルコールのニーズにも応える、現代にふさわしい食中茶といえる。ワインを思わせる、モダンで洗練されたエチケットデザインも印象的だ。

茶葉は寒暖の差が出始める秋に収穫。やぶきた、おくみどり、みやまかおり、かなやみどりの4品種を中心に使用する

江戸時代からの技術が
香り高いお茶に息づく

茶葉をよりこまず、開いたまま製茶を行う平番茶。焙煎の深さによって風味や後口ががらりと変化する

岡山きってのお茶どころ・海田地区。茶栽培の歴史は1730年、江戸時代にさかのぼる。「茶下山」は1930 年に茶栽培を開始。2005年には現第126代天皇陛下のウエルカムドリンクとして提供された、由緒ある老舗茶舗だ。

茶葉の焙煎は、火入れ香と焙じ香のピークを見極めるのが肝要。長年の経験が求められる大切な工程

「茶下山」では、やぶきた・おくみどりなど、山間地域に適した茶葉4品種を中心に無農薬で栽培。圃場ごとに製茶、管理をしながら、「蒸し」、「揉み」、「火入れ」など代々培ってきた製茶技術を生かしてお茶づくりを行っている。
その代表的な商品が平番茶(ひらばんちゃ)。茶葉をよりこまず開いたまま製茶を行うお茶で、主に⻄日本で製造され古くから親しまれている。使用するのは、寒暖の差が出はじめる秋に収穫された茶葉のみ。緑茶の火入れ香と焙じ香を見極め、丁寧に焙煎を施している。

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世界に誇れるお茶づくりを
中四国・瀬戸内から発信

香ばしい香りが特徴的な「凪」。番茶で油切れもよいため、天ぷらなど油料理との相性もよい。写真は、岡山市内の和食店「はむら」

「岡山が誇るべきお茶文化が失われつつあることに危機感を抱いていました。お茶のブランド化を進めることで茶農家の所得を上げ、次世代への継承につながる魅力的なビジネスに育てていけたら」と「茶下山」社長の石川康晴氏は語る。
「朝凪」、「凪」の販売は、中四国・瀬戸内エリアの高級ホテルと高級レストランに特化し、料理に合わせて提供する。広島県尾道市の「guntû」、「Bella Vista」、「LOG」、「Azumi Setoda」、岡山県岡山市の「鮨縁」、「喰切料理 八方」、「魚正山本淳」、「松寿司」、「昇一楼」、「はむら」など、錚々たるラインアップだ。

スペシャリストたちがタッグ
これからの展開も要注目!

茶下山のボトリングティーは、ミシュラン二つ星をもつ鮨店「鮨縁」(上写真)をはじめとする、高級レストラン、一流ホテルでしか味わえない

本プロジェクトには、日本茶のスペシャリスト「SIMPLICITY」緒方慎一郎氏、「櫻井焙茶研究所」櫻井真也氏、「万yorozu」徳淵卓氏も参画し、いまも進行中。その最新情報は、2024年9月6日発売の本誌で紹介する。

今秋〜冬には、石川康晴氏が代表を務める「石川文化振興財団」が手掛ける、岡山市弓之町のアートギャラリー「福岡醤油ギャラリー」敷地内に日本茶専門店「SABOE OKAYAMA」をオープン予定。この地を訪れなければ味わえない、格別な一杯をぜひ体験したい。

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text: Aya Honjo

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