《道の駅 ましこ》
益子の地場産材×風景に溶け込むデザイン
![《道の駅 ましこ》<br><small>益子の地場産材×風景に溶け込むデザイン</small>](https://discoverjapan-web.com/wp-content/uploads/2022/04/photo_by_mashiko_-campany_main.jpg)
栃木県益子町の南部地域に位置する、道の駅「ましこ」は、益子の土地で育った新鮮な「農産物」、新鮮な野菜、旬の果物を使ったピクルスやジャムなどの「加工品」、手仕事の町ならではの暮らしの「工芸品」が揃う。設計を手がけたのは、マウントフジアーキテクツスタジオ一級建築士事務所の原田真宏さんと原田麻魚さん。周囲の里山の勾配を模した屋根や全面ガラス張りの外観は、ずっと前からそこにあったかのような、まちに溶け込むデザイン。建築を軸に、道の駅「ましこ」の魅力に迫る。
風景でつくり、風景をつくる。
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「道の駅ましこ」は栃木県益子町の県道沿いに2016年10月オープンした栃木県24カ所目の道の駅。益子町は「益子焼」で全国有数の陶芸のまちとして知られ、春秋に行われる益子陶器市では多くの観光客が集まる。建物のある敷地は陶芸展が多く建ち並ぶ益子地区の中心エリアから数キロ離れた田園地帯の県道257号線沿いに位置する。
敷地周囲には延々と田畑が広がり、常にその背後には穏やかな低山が取り巻くように連なっていて、世界をほかから区画しているようだった。地域振興施設でもある道の駅には、外には地域の魅力を明瞭に伝え、内にはそこに住む人々をアイデンティファイするような、ある種の地域の象徴としての役割がある。
設計を担当したマウントフジアーキテクツスタジオは「ここで目に映る風景、それだけで建築をつくれないか、」と考え、「形式(形)」も「材料(質)」も、すべて風景から見出すことで、その地域らしさを確かめるような建築を目指した。
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この建築の最大の特徴でもある屋根(ルーフスケープ)は、周囲に広がる山並み(ランドスケープ)をイメージ。その勾配は周りの山並みの稜線の勾配に揃えられていて、さらに三列ある屋根並みが反復するリズムは山並みと屋根並みが一体化を生み出した。
最大スパン32mにもおよぶ屋根架構を成立させる材料は「八溝杉(やみぞすぎ)」と呼ばれる町有里山の木材を地元の集成材工場で加工したものを用いている。スパンによらず梁断面を一定とし、代わりに梁ピッチで対応することにより構造的合理性絵を確保し、設計上の自由度を得ている。そのため、基本設計途中段階で集成材の発注と制作を行い、工事年度前に伐採・乾燥・集成材化が行われた。床や壁には地場の陶土が使われ、まわりの田園や山並みとシームレスにつながっている。
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内部空間は、大きく小さく移り変わる空間変化や、屋根の位相差によって生まれるハイサイドライトとなり、明るい光が降り注ぐとともに、付近の山襞(やまひだ)を散策するようなシークエンスが生み出され、産物との出会いが演出されている。
こうして作られた建築は、象徴的にも物理的にも、経験的にもまちの風景と調和している。
マウントフジアーキテクツスタジオ
原田真宏氏と原田麻魚氏が共同代表をつとめる設計事務所。真宏氏は隈研吾建築都市設計事務所、磯崎新アトリエを経て独立。現在、出身大学である芝浦工業大学で建築学科教授としてプロフェッサーアーキテクトとしても活動。設計は公募型プロポーザルによって選出。平成29年度に栃木県初となる「日本建築学会大賞」を受賞。2021年春には千葉県流山市の流山おおたかの森・新SC「FLAPS」が誕生。http://fuji-studio.jp/
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道の駅内の「ましこのマルシェ」では、益子の土地で育った新鮮な「農産物」、新鮮な野菜、旬の果物を使ったピクルスやジャムなどの「加工品」、手仕事のまちならではの暮らしの「工芸品」が揃い、お買い物を楽しめる。
そのほかにも、レストラン「ましこのごはん」では、定食をはじめ、その日の美味しい野菜が食べられるメニューや、益子の果樹を活かしたスイーツ・ドリンクを用意。
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栃木県へ訪れた際には、道の駅「ましこ」で益子町の産物に出会い、自然と建築の繋がりを体感してみはいかが。
道の駅 ましこ
住所|栃木県芳賀郡益子町長堤2271
Tel|0285-72-5530
営業時間|9:00〜18:00
定休日|毎月第2火曜日
http://m-mashiko.com/