東京都・墨田区《隅田川花火大会》
100万人もの人々が押し寄せる東京の夏の風物詩
|一生に一度は行きたいニッポンの祭り⑦
間もなく夏本番! 全国各地から祭り囃子や威勢のいい掛け声が聞こえてくる季節です。そんなニッポンの夏の風物詩「祭り」。なかでも一生に一度はこの目で見たい祭りを、日本の祭りや伝統芸能などに詳しい文筆家の大石始さんの解説でご紹介。地域の風習が刻まれた祭りを通して郷土文化に触れる旅をしませんか?
今回は、2万発の花火が夜空を彩る東京の夏の風物詩、東京都・墨田区「隅田川花火大会」をひも解きます。
※2024年7月27日(土)に開催予定。詳しくは記事下部をご覧ください。
2万発の花火が2カ所の会場で打ち上がる
東京を代表する花火大会といえば、やはり「隅田川花火大会」だ。打ち上げられる花火の数は約2万発。100万人を超える観客が押し寄せる、日本でも最大規模の花火大会である。
その起源には諸説あり、はっきりとしたことはわかっていない。明治以前から両国川開きという名称で江戸っ子たちから愛され、その光景は葛飾北斎や歌川広重の錦絵にも描かれてきた。代表的な花火師である鍵屋と玉屋が打ち上げを担当していたため、来場者の間では「鍵屋!」、「玉屋!」と声をあげることが習慣化した。
高度経済成長期には隅田川の水質悪化が原因となって開催が中断していたが、1978年には隅田川花火大会に名称を変えて復活。現在では隅田川沿いの2カ所の会場から打ち上げられており、訪れる人々の目を楽しませている。
大石 始の見どころ!
隅田川に映る花火の明かり
かつての隅田川は物資の運搬ルートであると同時に、舟遊びの場でもあった。江戸の遊びと密接に結び付いていたことから、両国川開きはたびたび錦絵のテーマともなった。歌川広重の『名所江戸百景』などでは舟遊びの光景とともに描かれている。隅田川周辺の風景は当時と大きく変わったものの、隅田川に映り込む花火の明かりは当時も現在も変わらない。
周囲の喧騒から離れて粋に楽しむ屋形船
多くの観客が押し寄せる花火大会だけあって、隅田川沿いのポイントはいずれも大混雑する。ゆったり花火を楽しみたい人には屋形船がおすすめだ。いずれの屋形船も隅田川花火大会に合わせた観賞プランを打ち出しており、江戸の風情を堪能することができるはずだ。近年人気が高まっており、2024年の分はどこも満席のようだが、来年以降にぜひトライを。
開催期間|2024年7月27日(土)
開催場所|第一会場:東京都墨田区桜橋付近 第二会場:東京都台東区厩橋付近
交通|第一会場:浅草駅、押上駅、とうきょうスカイツリー駅、曳舟駅から徒歩 第二会場:浅草駅、浅草橋駅、蔵前駅、両国駅から徒歩
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《尾張津島天王祭》
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監修・文=文筆家 大石 始さん
地域と風土をテーマにする文筆家。日本の祭りや伝統芸能などを中心に執筆している。旅と祭りの編集プロダクション「B.O.N」主宰。著書に『異界にふれる ニッポンの祭り紀行』(産業編集センター)など多数
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