向付で料理を美味しく盛りつけるコツ 7選
|うつわと料理談議④
料理の美味しさを引き立てるには、盛りつけが重要。色やかたち、大きさもバラバラな向付にデパ地下のお総菜を盛りつけて、うつわの勉強会「基-もとい-」の皆さんにそのコツを教えていただきました。紹介するのは、酒盗、冷菜、刺身、酢の物、炊き合わせ、煮物、焼き物・揚げ物の7種類。ポイントを押さえて、早速実践してみましょう。
<酒盗>
◎うつわと食材の色合いの対比を意識する。
◎斜め切りで変化をつける。
竹下さんの八角形の向付には、色が濃く丸みのある「たらこの煮付け」でコントラストを。斜めに切り、ずらして盛りつけることで一品料理に格上げ。木の芽は目にも味にもアクセントに
「青白磁八角皿(5寸)」
作家名|竹下 努さん
価格|3520円
サイズ|φ135×H20㎜
◎“割山椒”のうつわには、山形に盛りつける。
小ぶりで深さがあるので一見難しそうだが「“向付はここに置く”という盛りどころがわかりやすい」とか。料理の高さを出し過ぎると不安定な印象になるので注意が必要
「南蛮割山椒向付」
作家名|井銅心平さん
価格|3850円
サイズ|H55×W125×D110㎜
<冷菜>
◎具材の高さは、うつわの中に収まるように盛りつける。
キャロットラペと大根のつまを和えた一品は、うつわの中にすっぽり収まるように盛りつけ。食べ進めながら、陶器の質感や色あいのグラデーションも楽しみたい。ドレッシングなど汁気のあるものとの相性もいい
「淡緑灰釉坩形向付」
作家名|安達 健さん
価格|4180円
サイズ|φ130×H50㎜
◎異なる前菜で、彩りに変化をつける。
古典から写したという江口さんの向付には、2種のサラダをモダンに。複数の料理をひと皿に盛るときは、メインの具材・顔がひと目でわかるようにするのが、美味しく見せるポイント
「三彩華文稜花形四足向付」
作家名|工房cielo 江口智己さん
価格|6600円
サイズ|H30×W185×D70〜85㎜
<刺身>
◎切り身とカボスを重ねて立体感を出す。
◎切り込みを入れ、醤油だめをつくる。
スーパーの刺身はパックから出してそのまま大皿に盛りがちだが、向付で一人前ずつ盛るだけで特別感がアップ。カンパチなど脂の多い魚は、切り込みを入れるひと手間でより美味しく
「染付魚形向付」
作家名|新道工房 宮本茂利さん
価格|7700円
サイズ|H25×W200×D90㎜
◎つまで高低差をつけて、刺身を立て掛ける。
平皿に刺身を盛るときは、高さのあるものと合わせてバランスを取る。同系色でまとめてもいい。下に大葉を敷いてもいいが、葉っぱのような形状のうつわで「見立て」を楽しむのもあり
「灰釉花形向付」
作家名|額賀円也さん
価格|6600円
サイズ|H30×W170×D110㎜
<酢の物>
◎果物をうつわに見立てる。
◎具材それぞれの顔(正面)を見せる。
額縁のようなデザインの向付は、ミカンの皮に入れた酢の物を絵画と見立てて飾りつける演出に。タコは吸盤、ブロッコリーは茎ではなくつぼみというように、具材の顔を見せることを意識するとより美しくなる
「炭化雲形向付」
作家名|渡辺信史さん
価格|6600円
サイズ|φ130×H30㎜
<炊>
◎黄、赤、緑の配色を意識する。
炊き合わせに緑は必須。互いが引き立つ配色を考えて盛りつけるとバランスがいい。がんもどきなど出汁を含んだ具材は箸を入れたときに出汁が流れる心配があるので鉢物が好相性
「飴釉花鉢」
作家名|鈴木しのぶさん
価格|3630円
サイズ|φ140×H55㎜
<煮物>
◎具材ごとに分けて、色合いをまとめる。
総菜の定番、肉じゃがも銘々に盛りつければ料亭風に。ポイントは向付のサイズに合わせて具材をカットし、具材ごとに分けること。向付の深い藍も効いて、炊き合わせのような上品さに
「瑠璃美濃向付」
作家名|木村 元さん
価格|5500円
サイズ|φ145×H40㎜
◎総菜同士を組み合わせて、差し色をつくる。
単品で美しく盛るのが難しい里芋の煮っ転がしには、千切り野菜を巻いたローストビーフの赤色をプラス。向付のかたちやサイズに合わせて総菜の位置や量を調節していいバランスを見つけよう
「志野芦・梅文向付」
作家名|松永真哉さん
価格|7700円
サイズ|H40×W145×D140㎜
<焼・揚>
◎高さのある鉢型では、中の具材も高さを出す。
千切り野菜のサラダの上に焼き鮭をのせたもの。深さのあるフラットな皿は、具材にも高さを出してポイントをつくるとまとまりやすい。汁気のある「鯵の南蛮漬け」などの盛りつけにも最適
「青瓷水仙盆」
作家名|石黒剛一郎さん
価格|1万1000円
サイズ|H50×W150×D110㎜
◎柑橘で色のアクセントをつける。
◎小さめにカットして余白をつくる。
小さめに切った「唐揚げのネギソース」に柑橘をのせて。和食では女性がひと口で食べられるサイズで提供するのが基本。食べる人への配慮は美しさにもつながるので、家庭でもまねしたい
「透かしチドリ」
作家名|アサ佳さん
価格|7150円
サイズ|H40×W165×D135㎜
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1|うつわの勉強会「基 -もとい-」に教わる毎日の食卓を楽しくするワザ【前編】
2|うつわの勉強会「基 -もとい-」に教わる毎日の食卓を楽しくするワザ【後編】
3|向付(むこうづけ)とは?うつわの歴史と黄金比を学ぶ。
4|向付で料理を美味しく盛りつけるコツ 7選
5|「基-もとい-」メンバーファイル
text: Akiko Yamamoto photo: Norihito Suzuki
Discover Japan 2023年12月号「うつわと料理」