FOOD

緊急企画!長期の非常時に役立つ
日本の食の知恵 第13回
「柚子胡椒」

2020.4.16
緊急企画!長期の非常時に役立つ<br class=“none” /><b>日本の食の知恵 第13回<br class=“none” />「柚子胡椒」</b><br class=“none” />

Discover Japan vol.103の特集『日本人は何を食べてきたの?』にも登場していただいている、薬学博士で管理栄養士でもある食品学者・松本栄文さんに、非常時に知っておきたい「日本の食の知恵」の生かし方を教えていただきます!「緊急事態宣言」が発せられたいまの機会に知っておくと、きっと役立つはずです。

【柚子胡椒(体温上昇編)】

「柚子胡椒」といえば平家の落ち武者です。なぜ「柚子胡椒」と平家? と思われたでしょう。源平合戦に敗れた平家一門は、命からがらに京の都から西へ、東へ逃げ落ちました。その際、京から持ち出したものの一つに「柚子」の種子があります。柚子は貴族の柑橘。平家が身を潜めた山間地には、必ずと言っていいほど柚子の産地がいまもあります。平家は京から淡路島へ、そして四国へ、九州へ。なぜ平家は柚子を持ち出したのでしょう。それは柚子のクエン酸が未病予防に効き、かつ花のような甘い芳香をもち、平家の人々がその作用を知り、こよなく愛していたからではないでしょうか。こうした香酸柑橘類にはスダチ、カボス、レモン、ライムなどがあげられますが、柚子果皮のような強い芳香はほかに少ないのです。

そんな柚子からつくられる柚子胡椒。柚子果皮と青唐辛子、塩で作る伝統調味料のことで、その発祥は大分県日田(旧日田郡天瀬町付近)とされます。古くから家ごとでつくられてきました。まさに平家の落ち武者集落ゆえでしょう。

柚子の芳香成分は「精油」から発生するもので、おもに「リモネン」が大半を占めます。リモネンやα-ピネンなどの芳香成分は脂溶性で、血行促進作用があります。そのため、運動不足の非常時においてはその発汗・利尿作用により、むくみや冷え性の改善に期待ができます。また体温が上昇することで抗菌・抗ウイルス作用や免疫力がアップし、唐辛子の辛み成分(カプサイシン)との相乗作用で風邪やインフルエンザ予防にも期待できます。

こうした薬味は、ごく少量を料理に添えて、味を付けるだけの存在だと思われがちですが、薬味の「薬」は生薬でもあるのです。

松本 栄文(まつもと さかふみ)
一般社団法人日本食文化会議理事長。花冠「陽明庵」主人。「日本文化を愛でる会」を主宰し、日本の伝承・伝統の普及に努める。著書『日本料理と天皇』では、グルマン世界料理本大賞2015で「殿堂」、「創設最高賞」をW受賞。


《緊急企画!長期の非常時に役立つ日本の食の知恵》
01|はじめに
02|お米
03|そうめん
04|片栗粉
05|梅干
06|味噌
07|黒糖
08|豆苗
09|クレソン
10|煮干
11|乾物スルメイカ
12|ドライマンゴー
13|柚子胡椒


 

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