FOOD

南方写真師・タルケンおじぃ厳選!
沖縄スイーツ案内|Part 2

2022.8.5
<small>南方写真師・タルケンおじぃ厳選!</small><br>沖縄スイーツ案内|Part 2

写真師歴44年、沖縄在住33年のタルケンおじぃこと垂見健吾さんが、これまで撮影で訪ね歩いた先で出合ったすてきなスイーツを紹介。スイーツ天国沖縄へめんしぇーびり(いらっしゃい)!

≪前の記事を読む

【呉屋てんぷら屋のサーターアンダギー】
人情と笑いあふれる市場で揚げたてをほお張る!
地域に愛され続ける老舗の味

サーターアンダギーは、180℃の高温で表面をサクっと揚げた後、140℃に移してじっくり中まで火を通す。1日で揚げるサーターアンダギーの数は、なんと300~500個ほど

サーターアンダギーは、沖縄を代表する郷土菓子だ。サーターは砂糖、アンダーは油、アギーは揚げという意味で、「砂糖てんぷら」の呼び名でも親しまれている。琉球王朝時代、中国の揚げ菓子「開口笑(かいこうしょう)」をもとに宮廷料理の一品としてつくられたのがはじまりとされ、その後も砂糖が高級品だった時代は、庶民には手の届かないお菓子だったという。

1970年の創業当時からサーターアンダギーをつくり続けてきた「呉屋(ごや)てんぷら屋」は、まちぐゎーの“顔”ともいえる老舗店。まちぐゎーとは市場のことで、地域の人たちは、沖縄の暮らしを支えるさまざまな市場のことを、親しみを込めてそう呼ぶ。呉屋てんぷら屋があるのは、那覇市の第一牧志公設市場付近。タルケンおじぃが、この地を訪れた当時のことを振り返る。

「はじめてまちぐゎーを撮影したのが1973年。その後、’80年頃にもう一度来て呉屋てんぷら屋を撮影したのを覚えています。その頃は、ここから少し離れたすじぐゎー(細い路地)にお店があってね、まちぐゎーの中のとてもわかりづらい場所にあるのにすごく繁盛していて。皆さんお揃いのピンクのかわいいエプロンをつけていたのが印象的でした」

以来、2012年に現住所に移転してからも「サーターアンダギーならここ!」と呉屋てんぷら屋をおすすめしてきたという。その理由は、まちぐゎーを応援したいという想い、そして揚げたばかりのあちこーこー(アツアツ)が食べられるからとのこと。早速、毎朝8時くらいから揚げはじめるというお店の厨房を訪ねると、熱された油の中にころんと丸いサーターアンダギーが浮き上がり、踊るようにかわいく揺れていた。

「創業当時は卵が高くてあんまり使えなかったからねぇ。いまのほうが美味しいはずよ」と語るのは、創業主である呉屋カヅ子さん。ご主人の親戚だった呉屋フジ子さんと二人で開業して以来、この道50年の現役。3年前にフジ子さんが亡くなってからは、フジ子さんの義理娘の智子さんも店を手伝い、現在は3人ほどで店を切り盛りしている。

テキパキと生地を油に落としていく、呉屋カヅ子さんの職人技は必見だ

呉屋てんぷら屋のサーターアンダギーに使われる材料は、小麦粉、卵、グラニュー糖、ベーキングパウダー、そして隠し味に少しのピーナッツバター。こうしてつくられたサーターアンダギーを「白」、グラニュー糖の代わりに黒糖でつくられたものを「黒」と呼ぶ。カヅ子さんは、よく混ぜ合わせた生地を右手のひらに包み込み、きゅっと親指とひとさし指の間から球形に絞り出す。それを左手の箸ですっと切り取り、手際よく油の中に落としていく。側にいた智子さんは、「私にはまだまだできない」と、ぽつり。50年積み上げた歴史を物語るような美しい手技であった。

温度の違う油で二度揚げすること約40分。「はい、出来上がり! あちこーこーのうちに、あがってらっしゃい」と差し出され、ひと口ほお張ると、表面はサクッ、中はしっとり。油っこさのない軽やかな後味と、ほのかな甘み。揚げたてならではの味を堪能できる。沖縄では、手の脂が染み込むほど愛情のこもった料理を「てぃーあんだー」という。カヅ子さんのつくるサーターアンダギーは、食べるほどに笑顔を生む、まさにてぃーあんだーを体現したお菓子なのだ。

右がタルケンおじぃもお気に入りの黒糖味で、左がプレーン味。店頭には、ゴマ味のサーターアンダギーも並ぶ(各70円)

<タルケンおじぃのおすすめポイント>
他府県から友達が来て沖縄の美味しいお土産を探していたら、まずまちぐゎー(市場)を案内しますが、ここは必ずおすすめするお店。おじぃは黒糖が大好きなので、買うのはいつも黒。まーさんどー(美味しいよ)!

呉屋てんぷら屋
住所|沖縄県那覇市松尾2-11-1
Tel|098-868-8782
営業時間|8:30~18:00
定休日|不定休

 

冬瓜漬&アイスぜんざい
 
≫次の記事を読む

《南方写真師・タルケンおじぃ厳選の沖縄スイーツ》
Part 1|珊瑚黒糖
Part 2|サーターアンダギー
Part 3|冬瓜漬&アイスぜんざい
Part 4|うむくじ天ぷら&田芋シュー
Part 5|タピオカ黒糖豆花&ハチミツ
Part 6|ドーナツ&くるみあんぱん

text: Norie Okabe photo: Kengo Tarumi
Discover Japan 2022年7月号「沖縄にときめく/約450年続いた琉球王国の秘密」

沖縄のオススメ記事

関連するテーマの人気記事