FOOD

「オット・エ・セッテ オオイタ」
別府でしかいただけない“地獄イタリアン”

2017.2.15

別府・鉄輪温泉の名物のひとつ、“地獄蒸し”。江戸時代中期から伝わるという伝統的な調理法に魅せられたイタリアンシェフが、この地にいます。

地産地消の食材にこだわった、ここでしか味わえない料理。それが、“地獄イタリアン”です。

豊かな食材と“地獄蒸し”に魅せられて

大分と言えば温泉で有名ですが、実は海の幸、山の幸に恵まれた食材の宝庫でもあります。別府・鉄輪地域にある「Otto e Sette Oita(オット・エ・セッテ 大分)」は、そんな大地の恵み溢れる大分の食文化を発信している気鋭のイタリアン。シェフの梯哲哉さんは、由布院の名宿「山荘無量塔」などで料理長を務めた実力派です。
 
50軒以上もの農家と取引して仕入れるという野菜をはじめ、使用する食材はほぼ大分県産。

地味溢れる食材そのものの味わいも素晴らしいのですが、それをここでしか味わえない“地獄イタリアン”に仕立てるのがシェフの真骨頂。夜のおまかせコースでは、大分の素材と郷土料理を織り交ぜた季節感溢れる内容を堪能できるのです。

大分の食の恵みを随所に感じるコース

コースの始まりを告げる「Prelude」は、右から、イワシのせんべいでサンドした湯布院産キタアカリ、原木椎茸ペーストのブルスケッタ、猪と鹿のパテ、湯布院産ウナギのパイ。
 
引き出しの中は大分産ムール貝と小イカの燻製など。箱の中にスモークを仕込み、浅く燻製に。客席で引き出しを開けると煙が漂う演出もまた楽しみです。

_DSC5564

「宗麟南瓜のスープ」。地元野菜の宗麟南瓜を炒めて温泉水で伸ばしただけというシンプルさながら、温泉水の成分がダシのような役割を果たし、驚くほどの旨みがあります。

 

_DSC5567

「キラスマメシ」。聞き慣れないこの言葉の由来は、魚におからをまぶした大分の郷土料理「きらすまめし」。カボスで〆たアジに、竹炭とパセリの入った2種のおからとオリーブオイルを含ませ、郷土料理を再構築しています。20種類ほど使う県産の野菜の色どりも鮮やか。

 

_DSC5572

「ずいきと大根葉のフジッリ」。大分で古くから親しまれる、乾燥させた里芋の茎「ずいき」を使ったパスタ。大分でよくとれるヒオウギ貝など魚介ダシを味のベースとしながらも、主役であるずいきの旨みを最大限感じられる、やさしい味わいに仕立てています。

 

_DSC5574

口直しは、干したヨモギをお茶で煮出した「蓬のシャーベット」。カモミールなど季節によって食材を変えるそう。

 

_DSC5577

「塩麴鯛の地獄蒸し」。塩麹に漬けこんだタイを、ふっくらと地獄蒸しに。刻んだ生ピーマンと麹を合わせたソースは、イカスミやトマトを使うこともあります。

 

_DSC5580

「黒毛和牛のロースト」。大分・山下牧場のサーロインを使用。県産バターを使い、肉と同じフライパンで焼いた野菜も、しみじみと美味しさを感じられます。

 

_DSC5583

「梨のタルトタタン」。サクサクした食感が特徴の品種「新高」を使ったデザート。ジェラートは山羊のミルクを使うこともあるとか

 

_DSC5799

歴史ある建物で営む旅館「柳屋」の敷地内にあり、和風情緒溢れるレトロな雰囲気も魅力です。

オリジナリティあふれる絶品を求めて、別府へ

いずれも素材の持ち味をシンプルに引き出しつつ、後味はしっかりとイタリアン。郷土料理を再構築した「キラスマメシ」ではアイデアフルな発想に感動し、イタリアンの定番であるパスタは、シェフの手にかかれば和のテイストを感じさせるやさしい味わいへと昇華します。
 
名物の地獄蒸しはもちろん、どの皿もオリジナリティと大分の食の恵みを存分に感じさせる内容です。絶品イタリアンを食べに別府へ……という旅も、有力な選択肢のひとつになるのではないでしょうか。

data
Otto e Sette Oita
住所:大分県別府市鉄輪井田2組
Tel:0977-66-4411
時間:11:30~14:00(L.O.)、18:00~21:00(L.O.)
定休日:火曜
 
(text: Discover Japan, photo: Hiroshi Mizusaki)


≫大分県に関する記事をもっと読む

≫レストランジャーナリスト 犬養裕美子さんの『新・レストラン名鑑』はこちら

大分のオススメ記事

関連するテーマの人気記事