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大阪・関西万博で出合う、
和歌山の美味しいアート

2025.3.25 PR
大阪・関西万博で出合う、<br>和歌山の美味しいアート

2025年4月13日より開催される「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」。関西パビリオン内の和歌山ゾーンで、世界的なクリエイターたちが手掛ける空間の中で楽しめる、プリミティブな森を忍ばせた、和菓子やドリンクで構成するペアリングセットの魅力に迫る。

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伝統技法を映した
アーティスティックな会場デザイン

映像タワー「トーテム」は、和歌山の伝統工芸「紀州塗り」で仕上げられた芸術品だ

今春より開幕する「大阪・関西万博」の関西パビリオン内で和歌山ゾーンが展開される。そのテーマは「和歌山百景」。総合ディレクターを務める和歌山出身のデザイナー・吉本英樹さんが、コンセプトについて熱く語る。

吉本英樹さん
和歌山県生まれ。東京大学修士課程(航空宇宙工学)、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート博士課程(デザイン工学)修了。東京大学先端科学技術センター特任准教授。ロンドンと東京をベースに活動の幅を広げる

「和歌山は熊野の山岳信仰、高野山の仏教、修験道といった異なる宗教が共存してきた稀有な場所。その豊かな精神性が育んだ歴史をベースに、美しい自然景観、伝統文化や産業、そして和歌山に暮らす人々の姿を、トップクリエイターの方々とともに表現します」

映像を手掛けるのは、ロンドンを拠点にするビジュアルアーティストYusuke Murakamiさん。紀伊山地の巨木を彷彿とさせる4mの映像タワー「トーテム」は、和歌山の過去・現在・未来をめぐる旅を映し出す。

ゾーン内のソファは「高野口パイル」を使用

さらに、紀州高野組子細工の什器、高野口パイルなどの工芸品が空間を構成し、この地を象徴する伝統芸能や祭りなどの多様なパフォーマンスや展示が週替わり、日替わりで行われる。

什器には江戸時代より高野山に伝わる伝統工芸「紀州高野組子細工」があしらわれている

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最注目は、土地の景色を表現した
ペアリングセット

和歌山ゾーンで提供される、斬新な和菓子やドリンクで構成するペアリングセットは、世界的パティシエと和歌山の自然が育む稀少な食材、職人の技術が共創する“食べるアート”だ

その中で注目したいのが、フードコンテンツだ。全体を監修するのは、世界の美食家が注目する「Asia’s 50 Best Restaurants」の2024年Asia’s Best Pastry Chefを受賞したパティシエ・加藤峰子さん。手掛けたのは和菓子やドリンクで構成する「Wakayamaの森と恵みのペアリングセット」だ。

加藤峰子さん
「オステリア フランチェスカーナ」などイタリアの名店で研鑽を積み、2018年より「FARO」のシェフ・パティシエに就任。プラントベースの菓子づくりを通して、美しい地球を未来へつなぐ環境活動にも取り組む

「和歌山は雄大な土地だけでなく、自然のままにフルーツを育てている生産者の多い素晴らしい場所。ミカンの原種である橘が生まれ、菓子文化がはじまったと伝わる地でもあります。今回、北から南までたくさんの生産者、和菓子職人の方々と対話し、日本が誇る和菓子文化を未来につなげたい、という想いも込めて和歌山の森を感じる和菓子を共創しました」

「伝統を守りつつ誰もできないものづくりを極めたい」と東さん

提供されてまず、桐の切り株そのもので仕立てられたプリミティブなうつわに驚かされる。これは紀州桐箪笥の伝統工芸士であり、アーティストとして現代生活に寄り添った作品を生み出す「家具のあづま」東福太郎さんの手仕事によるもの。1/100㎜レベルで緻密に計算された高度な技術と、ありのままの自然素材が共存した作品は、心躍る期待感を喚起する。

130年の時をかける普遍の味は一つひとつ手で握ってつくる

そして、紀南が誇る銘菓「うすかわ饅頭 儀平」と共創した求肥餅「秘境の果実」は、ひと口食べると野生の山桃とスモモの甘酸っぱさが広がり、噛むごとに黒文字やライムが香りながら表情を変えていく。

400年続く伝統の川添茶ベースと桃ベースのドリンクは、和歌山ゾーンでだけで楽しめる

明治より続く果樹園「観音山フルーツガーデン」が仕立てる桃と檜、伝統の川添茶と柑橘を使用した2種のモクテルと合わせていただけば、和歌山の森が脳裏に浮かび上がる――。

上質な空間で新たな感性の扉を開く“美味しいアート”を体感した後は、現地を訪れ、知られざる和歌山の魅力を発見してほしい。

「食」エリアでは、和歌山が誇る「紀州材」を焼き杉の技法で重厚に仕立てたカウンターテーブルと独創的なデザインのチェアが存在感を放つ
県内在住の芸術家・番留京子氏による高さ4mの巨大な版画アートにも注目したい

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土地の景色を守り、つないでいる人が
和歌山にはたくさんいます!

〈家具のあづま〉

ショールームではオリジナルブランド「ME MAMORU」の製品を手に取って選べる

伝統と革新で100年続く文化を未来へ紡ぐ
明治の材木商をルーツに 100 年余続く紀州桐箪笥を木材の目利きから特殊加工まで一貫して行う。5 代目・東福太郎さんは、卓越した技術で美しい紀州桐箪笥を生み出しながら、現代に合わせたプロダクトやアートもつくる“手の匠”として国内外から注目されている。

「桐の風合いと匠の技を見てください」と東福太郎さん(右)

住所|和歌山県紀の川市名手市場1169-1
Tel|0736-75-3600
営業時間|9:00~18:00
定休日|日曜、祝日
https://azuma-kiri.jp

 

〈和歌山串本 うすかわ饅頭 儀平〉

「味わいながら和歌山を旅する和菓子を万博で楽しんでください」と専務・丸山正雄さん(中央)

紀南を代表する銘菓を守り続ける老舗
1893年に創業。当時画期的だった、甘さを抑えた餡を薄皮で包んだ「うすかわ饅頭」は、国産の小豆と白いんげん豆の自家製餡を使用し、豆本来の味わいを引き出した銘菓。保存料不使用の手仕込みで、その日つくったものしか販売しないこだわりをいまも貫く。

店のある串本町は本州最南端の地。国の名勝・橋杭岩など景勝地や絶景も満喫したい

住所|和歌山県東牟婁郡串本町串本1851
Tel|0735-62-0075
営業時間|7:00~18:00
定休日|なし
https://gihei.com

 

〈観音山フルーツガーデン(観音山フルーツパーラー総本店)〉

東京ドーム約4個分の広大な自然で栽培

高品質なフルーツにこだわり抜く老舗果樹園
1911年創業。和歌山名産のミカンなど柑橘類を中心に、有機配合肥料など環境に配慮しながら栽培。年間約300種類出荷するフルーツはすべて手選別で上質なもののみ厳選。旬の味をその場で味わうフルーツ狩りや併設のパーラーでは見目麗しいパフェも楽しめる。

「『和歌山と和歌山のフルーツを元気に』がモットーです!」

住所|和歌山県紀の川市粉河3186-126
Tel|0736-74-3331
営業時間|フルーツガーデン8:00~17:00、
フルーツパーラー10:00~17:00(L.O.16:00)
定休日|年末年始
www.kannonyama.com

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古より神々が鎮まり、日本の精神文化の源流となる多様性が育まれてきた和歌山の魅力が「空間」、「映像」、「食」、多彩な展示を通してアーティスティックに表現される

和歌山百景
会期|4月13日~10月13日
会場|大阪・関西万博 関西パビリオン「和歌山ゾーン」
問|和歌山県 万博推進課
Tel|073-441-2703

 

和歌山ゾーン「和歌山百景」の詳細はこちら!
 
≫公式サイト

 

text: Ryosuke Fujitani photo: Kenji Okazaki
2025年4月号「ローカルの最先端へ。」

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