FOOD

豆苗で万事、新鮮な青菜を!
非常時に役立つ日本の食の知恵 第8回

2020.4.12
豆苗で万事、新鮮な青菜を!<br>非常時に役立つ日本の食の知恵 第8回

Discover Japan vol.103の特集『日本人は何を食べてきたの?』にも登場していただいている、薬学博士で管理栄養士でもある食品学者・松本栄文さんに、非常時に知っておきたい「日本の食の知恵」の生かし方を教えていただきます!「緊急事態宣言」が発せられたいまの機会に知っておくと、きっと役立つはずです。

【豆苗(生理機能編)】

「豆苗」とは赤エンドウ豆を発芽させた約20㎝の若葉のことです。日本では水耕栽培の技術が発達したことで通年販売されていますが、古く中国では春の高級野菜として珍重され、春節を祝う料理には欠かせないものでした。中国では日本と異なり土耕栽培が一般的で、田畑から芽吹く若葉を手摘みしたものが出荷されています。豆苗は、β-カロテンが100g当たり4700μgと豊富に含んでおり、ホウレンソウより高い含有量となります。その他、ビタミンE、ビタミンK、葉酸も多いことから体内の生理機能に大きな役割を果たすものといえよう。

豆苗をおすすめする最大の理由は、何といっても「再生栽培」が出来るという点である。再生栽培とは、根付で販売されることの多い豆苗は、可食部となる若葉を切取った後、根部分を水に浸して日当たりのよい室内に置くと、主茎の「脇芽」が伸び、再び収穫が出来るのです。脇芽は根から約3~5㎝のところに小さく2カ所つきます。再生栽培をする場合は、この一番上にある脇芽を残すように切ること。2週間前後で摘めるぐらいに成長します。しかし、豆から水へ養分が流出するため雑菌繁殖が起こるので、水替えは毎日しましょう。非常時だからこそ新鮮な青菜が欲しくなるもの。簡単に栽培できる野菜はありがたいものです。

松本 栄文(まつもと さかふみ)
一般社団法人日本食文化会議理事長。花冠「陽明庵」主人。「日本文化を愛でる会」を主宰し、日本の伝承・伝統の普及に努める。著書『日本料理と天皇』では、グルマン世界料理本大賞2015で「殿堂」、「創設最高賞」をW受賞。

 

第9回は、
クレソンでマルチビタミンを!編です。

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《緊急企画!長期の非常時に役立つ日本の食の知恵》
01|はじめに
02|お米
03|そうめん
04|片栗粉
05|梅干
06|味噌
07|黒糖
08|豆苗
09|クレソン
10|煮干
11|乾物スルメイカ
12|ドライマンゴー
13|柚子胡椒


 

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