FOOD

そうめんで瞬発的に動けるエネルギーを!
非常時に役立つ日本の食の知恵 第3回

2020.4.9
そうめんで瞬発的に動けるエネルギーを!<br>非常時に役立つ日本の食の知恵 第3回

Discover Japan vol.103の特集『日本人は何を食べてきたの?』にも登場していただいている、薬学博士で管理栄養士でもある食品学者・松本栄文さんに、非常時に知っておきたい「日本の食の知恵」の生かし方を教えていただきます!「緊急事態宣言」が発せられたいまの機会に知っておくと、きっと役立つはずです。

【そうめん(体温上昇編)】

奈良時代に古代中国から伝わった麦縄という菓子に由来し、奈良の三輪地区にて手延べそうめんとして発展した「そうめん」。小麦粉に塩と水を加え、よくこねることでつくられます。よくこねることで小麦タンパク質であるグルテンが形成され、弾力の強い生地になります。小麦はお米と異なり、粒の中心にある胚乳(デンプン質)と表皮との間に糊(ペクチン質)が存在しているため脱穀が出来ません。そのため、粒食に不向きとされ「粉末」にして、こねるという加工が考案されたのです。

小麦粉にはグルテンの他に豊富なアミノ酸が含んでいて油分との相性がいい。そうめんを食べるときに「おかずいらず」と言われるのも、小麦生地を極細に手延べするとき、生地表面の乾燥を防ぐ目的で「胡麻油」が使われているからです。いずれにせよ、ご飯同様にデンプン質であることから体温維持に大きな役割をもっていますが、粒食でなく、粉食となるため消化吸収時間が短くなるという違いがあります。そのため、すぐに体温を上昇させたい場合は、ご飯でなく温かい素麺(にゅう麺)にして食べるのがおすすめです。アスリートが運動直前にご飯を避け、麺類を選ぶのは瞬発的なエネルギー源を必要としているからなのです。

松本 栄文(まつもと さかふみ)
一般社団法人日本食文化会議理事長。花冠「陽明庵」主人。「日本文化を愛でる会」を主宰し、日本の伝承・伝統の普及に努める。著書『日本料理と天皇』では、グルマン世界料理本大賞2015で「殿堂」、「創設最高賞」をW受賞。

 

第4回は、片栗粉で瞬発エナジー補給編です!

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《緊急企画!長期の非常時に役立つ日本の食の知恵》
01|はじめに
02|お米
03|そうめん
04|片栗粉
05|梅干
06|味噌
07|黒糖
08|豆苗
09|クレソン
10|煮干
11|乾物スルメイカ
12|ドライマンゴー
13|柚子胡椒


 

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