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江戸時代に途絶えた幻の臼杵焼を復活。
大分・臼杵の手仕事と祈りの里を訪ねて【前編】

2021.3.14
江戸時代に途絶えた幻の臼杵焼を復活。<br>大分・臼杵の手仕事と祈りの里を訪ねて【前編】

古くより仏教を受け入れ、戦国〜江戸時代にかけては商業都市として賑わった大分・臼杵。現代にも受け継がれるその歴史を、「臼杵焼」からひも解きます。

古典的なモチーフを宿す
唯一無二の白磁

型打ちに用いる石膏型

臼杵の町を歩くと、高台にあるお城の櫓が目に入る。戦国時代にキリシタン大名・大友宗麟が建てた臼杵城だ。後に稲葉氏がこの城に入り、明治の廃藩置県まで臼杵藩の支配にあたるのだが、江戸時代後期に藩の御用窯として開かれたのが臼杵焼。末広地区の山奥に窯場があったことから末広焼とも呼ばれる。島原(長崎)、小石原(福岡)、小峰(宮崎)から職人を迎えて磁器と陶器を焼いた。ところが、もともとご隠居さまの趣味ではじまった窯は10数年ほど栄えた後に衰退し、途絶えてしまう。

 

型に生乾きの素地をのせて指で模様に沿わせていく。パイ生地を逆さまにつくっているよう!

200年ほどの時を経た2015年、地元の陶芸家たちによって臼杵焼が復活した。臼杵焼には島原の陶工がつくる白磁に輪花をあしらったものが多く、これを手掛かりとして、まずは型打ちの白磁輪花シリーズをつくった。型打ちとは、薄く伸ばした素地を石膏の型に被せて手で押し付け、輪花や花弁などに型取ったり、型に彫り込んだ模様をうつわに写し取る成形技法。型に液状の陶土を流し込む鋳込み成形などに比べて、手びねりのような温かみが残る。「臼杵は蓮の名所なので、蓮をイメージしたうつわもつくってみました。白に落ちる影がいいでしょう」とはUSUKIYAKI研究所の宇佐美裕之さん。菊や蓮といった古典的なモチーフを用いながらも西洋の雰囲気をまとうせいか、最近はフランスやベルギーなどヨーロッパでも人気だという。宇佐美さんの妻が料理を手掛ける「郷膳うさ味」では、地元の有機野菜「ほんまもん農産物」をふんだんに使ったランチを提供。臼杵焼の白いうつわが野菜の表情を引き立てる。

臼杵焼は磁器と陶器が共存するのも特徴。陶器は薬師寺和夫さんの工房「吉四六村工芸館」で体験教室を開催。日常のうつわである臼杵焼を肌で感じることができる。

宇佐美さんが中心となり臼杵焼を復活
木造の郵便局を改装したUSUKIYAKI 研究所。自然光の入るのびやかな空間で、若手たちが制作を楽しんでいる
「郷膳うさ味」にて、臼杵焼でいただける「ほんまもん農産物のランチプレート」1650円。蓮の季節は蓮料理尽くしを味わえる
上から輪花十二弁コンポート5500円、稜花宝瓶9900円、稜花茶盃各2530円

USUKIYAKI研究所
住所|大分県臼杵市掻懐9-3
Tel|0972-65-3113 ※工房見学は要予約

郷膳うさ味
住所|大分県臼杵市深田833-5石仏観光センター内
Tel|0972-65-3333
営業時間|11:00〜14:30
定休日|月・火曜 ※臼杵焼販売(10:00〜16:30)あり

臼杵焼 陶芸教室(吉四六村工芸館)
住所|大分県臼杵市野津町大字野津市238-1
Tel|090-7535-2562
営業時間|10:00〜11:30、14:00〜15:30
定休日|火〜土曜 ※2名以上、5日前までに要予約

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text: Yukie Masumoto photo: Maiko Fukui
2021年4月号「テーマでめぐるニッポン」


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