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芳賀龍一のうつわ
「未知の世界へと突き進む力」

2021.4.30
芳賀龍一のうつわ<br>「未知の世界へと突き進む力」

各地に赴いてはその場で採取した土で、多様なうつわの表現を模索する芳賀龍一さん。自らの手で道を切り開き、新しい創作を導き出す前向きな姿に迫る。

芳賀龍一(はが・りゅういち)
1984年、福島県生まれ。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科に入学し、陶芸をはじめる。同大学大学院造形研究科美術専攻彫刻コース修了後、独立。2013 年、創作の場を益子に移し、現在に至る。各地で自ら採取した土をベースに、独創的な表情のうつわをつくる。

益子の中心部から車で15分ほどの、のどかな田園地帯の中に、芳賀さんの工房はある
芳賀さん、方々に出掛けては、この軽トラックいっぱいに土を採取してくるという
工房にある大小2つの薪窯は、ほぼ一人で製作したものだとか
まるで古代の神殿のような薪窯の中には、神秘的な光が差し込んでいる

ありとあらゆるものを自らの手でつくり出す

武蔵野美術大学彫刻科に在学中、サークル活動ではじめた焼物は、脳裏で描くイメージが次々に目の前に現れる様子に次第に心惹かれていったという、芳賀龍一さん。

「大学を卒業するあたりには、自分でも彫刻の道に進むのか、焼物を続けたいのかがわからなくなり、気持ちをリセットするつもりで、1年間あまり海外で放浪の旅をしていました。ぼんやりとした気持ちのまま中国からイギリスまで各地をめぐりながらも、不思議と足が向くのは焼物の産地ばかり。帰国を決める頃には、早く日本に帰って自分で薪窯をつくりたいという強い思いが生まれていました」

薪窯がつくれる余地のある土地を益子に見つけ、引越しを決めたものの、当初は作家として活動するかどうかまでは決めておらず、ひたすら家の改修と窯の製作に追われる日々が続いた。

ありとあらゆるものを自らの手でつくり出すという芳賀さんのアプローチは、彫刻家時代に遡る。

「僕の彫刻作品は、捨てられているものやリサイクルショップで見つけたものなど、一般には“ごみ”として扱われているものの中に心惹かれる要素を見出し、それらを連結して一つのオブジェを完成させていくもの。焼物とは直結していないのですが、道端で見つけた普通の土をさまざまにブレンドし、原料としている点では、関係性があるのかもしれません」

工房に置かれている作品が周辺の自然と重なり合う様子にも、芳賀さんの創作の態度が映し出されている
ろくろを挽いたものを保管する場所を確保するために、芳賀さんは壁を抜き、隣の部屋の一部を工房に取り入れた
うつわサイズの記録も、壁に直接ペンで描いていくというのは職人気質の表れだろうか

「よいものと悪いもの、どちらも存在する事実を知ることが大切」

軽トラックで1日に50〜100kmほど移動しては、各地の土を採取し、うつわづくりに生かしているという芳賀さん。通常は、焼物のために調整された陶土を使用するのが一般的だが、このように普通の土をうまく焼成するには、芳賀さんはどのような工夫をしているのだろうか。

「最初は失敗の連続でした。でも、何十回、何百回と経験を積んでいくと、感覚が豊かになってくる。それと同時に、よいものも悪いものどちらも存在する事実を知ることや自分の感覚を過信しないというのも、大切なことだと思うんです。僕は気持ちよく失敗することこそに、その先に進むべき道が現れると信じています」

常識や経験値に縛られず、自由でいること。さらに、自由とはなんであるかと自問自答すること。自らの身体と感覚をフルに活用し、常にその先にあるものを模索し続けている芳賀さんの作品には、人間を含めた自然が持つ無限の力と可能性が備わっているように感られる。

オーガニックな美しさを纏った、貫入の上に斑状の刷毛目が走る小鉢
土の鉄分が大きく反応する様子は、小宇宙を眺めている気分にさせてくれる
水彩画のように、淡く黄と緑のグラデーションが広がる小鉢

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渋谷PARCOのDiscover japan Lab.店頭及びDiscover Japan公式オンラインショップにて、芳賀龍一さんの作品を販売中! 芳賀さんが生み出す多彩なうつわを実際に見て触って愉しもう。

 

 

芳賀龍一の作品一覧

Text: Hisashi Ikai photo: Yuko Okoso special thanks: Utsuwa-Shoken
2021年6月号「うまいビールとアウトドア。」


≫うつわ作家の食卓。岩崎龍二さん

≫陶芸家・青木良太さんのうつわと料理

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