客室ごとに違うこだわりの露天風呂で心身をほぐす。
戸村亜紀「那須別邸 回」でリセット中
忙しい日常を離れて、自然の懐に身をゆだねる。栃木県、那須連山のふもとに位置する客室わずか9室の日本旅館、「那須別邸 回」。クリエイティブディレクターの戸村亜紀さんが、ひとときの静かな時間を求めて小さな旅に出た全2回の連載後編。
FOLKFOOD代表。墨絵作家として活動後、デザイナーに転向。現在はクリエイティブディレクターとして施設やブランドのトータルブランディングや商品開発などを手掛ける。環境問題や地域産業復興にも取り組む
そうして寛いでいる間の、宿のスタッフからの声掛けは最小限。付かず離れずの接客は、ゲストが気を遣うことなく、ゆるりと自分の時間を過ごせるようにとの宿の配慮のひとつ。一人でも、気の置けない友人との滞在でも緊張を強いる場面が那須別邸 回にはない。
室内のみならず、露天風呂も客室ごとに趣向を凝らす。戸村さんいわく、〝古墳のよう〟にも見える鍵穴のかたちをした風呂にはじまり、石風呂、檜風呂とかたちが異なる風呂は、景色の切り取り方もそれぞれに違う。
湯は那須連山の主峰、茶臼岳中腹に湧く大丸温泉から引く無色透明の源泉掛け流し。「気持ちがよくて客室のお風呂には朝晩2回入りました。早朝、湯船を照らす光がハッとするほどに美しかった」。
食事には那須黒毛和牛や那須三元豚、そして地元農家の野菜などを中心に、全国から選りすぐりの食材を集める。春の走りを感じさせるこの日の夕食の献立は、先付のカブにはじまり、前菜のこごみや明日葉、若ごぼう、うるい、焼物のタケノコと肉厚の原木シイタケ、そして鍋に入る山椒の葉や那須特産の長ネギである白美人ねぎまで野菜や山菜が豊富なヘルシー仕立て。
「牛肉の味噌煮込みやしゃぶしゃぶなどでお肉もいただけるのだけど、野菜だけでもボリュームがあって。素材の味を引き出す調理でしっかりと野菜や山菜が味わえて、とても満足です」と戸村さん。
夕食の後はキャンドルの炎が揺らめく「ラウンジ206」へ。とちおとめを贅沢に使ったカクテルのグラスを傾けながら、スタッフとの会話を夜が更けるまで楽しんだ。
「付かず離れずの接客とはいうものの、スタッフの皆さんはとてもフレンドリー。同世代の方も多いので会話も弾みます。空間の心地よさもありますが、私はまたスタッフの皆さんに会いに、この場所へ戻って来たいですね」。
住所:栃木県那須郡那須町湯本206
Tel:0287-76-3180
Fax:0287-76-3080
E-mail:info@sansuikaku.com
客室数:9室
料金:1泊2食付3万5000円〜 4万5000円(税別)
カード:AMEX、DINERS、JCB、MASTER、VISA
IN:15:00 OUT:11:00
夕食:会席料理(部屋) 朝食:和食(部屋)
温泉:大丸温泉(アルカリ性単純温泉/源泉掛け流しではない/加温あり/加水あり/美肌効果、神経痛、関節痛、慢性消化器病、冷え性、筋肉痛など ※妊娠中でも利用可)
風呂:部屋風呂全室(温泉) ※「山水閣」の大浴場、貸切風呂利用可
アクセス:車/東北自動車道那須ICから約15分 電車/東北新幹線那須塩原駅からタクシーで約30分(※那須塩原駅から無料シャトルバスあり/要予約)
館内施設:ラウンジ206、アロマルーム(別棟)
www.bettei-kai.jp
文=森 聖加 写真=山平敦史
Discover Japan_TRAVEL「味わいの名宿」
1|那須連山のふもと「那須別邸 回」で多忙な日々に一息を
2|客室ごとに違うこだわりの露天風呂で心身をほぐす