小野象平のうつわ
「自由な感覚、多様な広がり」
自ら高知の土を掘り、その中に眠る鉄分や灰の反応から独自の表現を導き出す小野象平さん。真剣なまなざしの先に見る、うつわづくりの意識をうかがいました。
小野さんのうつわは渋谷パルコ「Discover Japan Lab.」および公式オンラインショップでも購入いただけます。詳しくは記事末尾をご覧ください。
小野象平(おの しょうへい)
1985年、愛知県生まれ。父は陶芸家の小野哲平氏。幼少期より両親に伴い、タイ、ベトナムなど、東南アジア諸国をめぐりながら育つ。高校卒業後、25歳までは会社員を経験する。鯉江良二氏、小野哲平氏に師事後、2015年に独立。現在、高知県香美市で作陶を行っている。
吸い込まれそうな深い青のうつわで知られる小野象平さん。その独特の色彩が話題となる一方で、当の本人は色表現を軸にうつわづくりをしているわけではないと語る。
「極端な言い方になるかもしれませんが、僕自身はうつわの良し悪しを決めるとき、色をほとんど見ていない気がします。この青は、自然の土と木を燃やした灰の結合から偶発的に発生するもので、僕はその間に流れる釉薬の細い筋が描くかたちを見ているのです。これは最近多く手掛けている黒いうつわでも同じこと。窯をどのように焚くかによって、テクスチャーが複雑に重なり、うつわに深みが生まれていくのです」
小野さんのうつわは、控えめながらも大胆で強さと優しさが共存すると称される。両義的な趣を持つことで、シンプルな和食からダイナミックなエスニック料理まで、多様な食材を楽しむことができるのだろう。
父は陶芸家の小野哲平さん。家族ながら、強力な表現者でもあると同時に、師事をした作家でもあり、少なからず影響は受けていることを認めながらも、それを直結させたくないと語る。
「僕はまだ経験も浅いので、前を向いて挑戦を重ねていくためにも、プライベートなこととは切り離して、自分の作品づくりに没頭したい。これはある種の意地のようなものなのかもしれませんが、既成概念に囚われず、さまざまな人と出会い、影響を受けながら、焼物を続けていくことで世界は広がる。そういった意味では、アパレルショップなど、これまでうつわを紹介していないような場所でも積極的に作品を見ていただけるようにしたいと思っています」
知名度や作家の背景だけでなく、純粋にものづくりの態度を大切にしたい。素直な気持ちの表れは、うつわ以外の表現にも広がりを見せている。
うつわのほかにつくるのは、工業部材を再現したものやマッス(masse)を感じさせる不思議なオブジェ。実用性という意味では大きく異なるが、小野さんの感覚ではどちらも同じ役割を持つという。
「うつわもオブジェも、基本的に、精神を受け止めるものとしての存在は同じ。私たちが暮らす環境には、有機的なものも無機的なものもどちらも存在しています。異質なものが共存し、不思議な調和を見せながら世界は存在していますからね」
ときに作品の中に攻撃的な感情や、グロテスクな感覚を土の中に見出すことも小野さん自身はあるというが、一方で鑑賞者からは、それが美しく優しさに満ちていると意見されることも。小野さんのうつわに映る色や質感は、いうなれば抽象画に近い。見る者、使う者の経験や知識によって、どこまでも自由に、多様に広がり続け、暮らしの中に溶け込んでいくのだ。
小野象平さんのうつわを
オンラインショップで購入できます!
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Discover Japan公式オンラインショップにて、小野象平さんの作品を販売中! 作家の想いが詰まった作品を暮らしに取り入れてみませんか?
Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~20:00
定休日|なし
Instagram|@discoverjapan_lab
※うつわはすべて数量・期間限定販売
※営業時間の変更の場合がありますので、最新情報は渋谷PARCOの営業時間(https://shibuya.parco.jp)をご確認ください
「うつわ祥見」が選ぶ注目作家
1|小野象平 – 1
2|境 道一
3|荒川真吾
4|岩崎龍二
5|小野哲平
6|八田亨
7|尾形アツシ
8|山田隆太郎
9|芳賀龍一
10|田宮亜紀
11|鶴見宗次
12|小野象平 – 2
13|吉田直嗣
Text: Hisashi Ikai photo: Yuko Okoso special thanks: Utsuwa-Shoken