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さぬきうどんの店《わら家》
暮らしをつなぐ、四国村ミウゼアムのルーツ
|アート県かがわの源流へ②

2025.4.9
さぬきうどんの店《わら家》<br>暮らしをつなぐ、四国村ミウゼアムのルーツ<br><small>|アート県かがわの源流へ②</small>

美しい茅葺きに抱かれる、さぬきうどんの店「わら家」。1975(昭和50)年に徳島県西祖谷山村から移された古民家で、屋島のふもとの約5万㎡に古建築が集う「四国村」開村の端緒となった一軒だ。

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トラック運転手たちの
第二の職場が開村の発端

大釜で約10人前のうどんを一気にゆで上げる

四国村のルーツ「わら家」は、1975(昭和50)年に誕生。そのきっかけは、四国村の創立者、故・加藤達雄のひらめきにあった。当時、運送業を営んでいた加藤は、負傷したり体力が衰えた社員でも働ける場をつくろうと考え、「香川は讃岐うどんの本場。うどん店ならできるだろう!」と思いついた。

はじめは屋島のふもとにもっていた土地に民芸調の店を建てようと考えていたが、折悪しく椎間板ヘルニアを患って入院。その入院生活中に「いっそ本物の茅葺きの民家を移築すればいいのでは」とひらめいた。そこで退院後、香川や徳島の山村をあちこち回って空き家を探し、やっと徳島県西祖谷山村で見つけたのが江戸末期築の民家。移築し、屋根の茅は岡山から職人を呼び、新たに葺き替えた。

自慢の釜揚げうどんが大きなタライで供される「特大うどん」(2人前)1300円

わら家と名づけた店では、瀬戸内のいりこと昆布で丁寧に取った出汁に、強いこしのあるうどんをゆでたてで供する。いまや、毎朝9時半の開店直後からお客が絶えない人気店だ。

えび天ぶっかけ」(並)980円。プリップリの海老とこしの強いうどんに大満足

香川県綾歌あやうた郡の明治初期築の古民家と合わせ、現在は2棟をつなげて営む。2022年のリニューアルで新たに瓦の庇を加えたが、茅葺きと瓦のコンビは四国の民家にポピュラーな様式だそうだ。

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うどん出汁の利いた炊き込みご飯の「五目おにぎり」330円
軽い衣とジューシーな身が絶妙な「とり天」700円

わら家
住所|香川県高松市屋島中町91
Tel|087-843-3115
営業時間|9:30〜17:30(L.O.17:00)
定休日|なし
https://www.wara-ya.co.jp/

 

四国村ミウゼアム《おやねさん》
 
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text: Kaori Nagano photo: Hiromasa Otsuka
2024年7月号増刊「香川」

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