瀬戸内のアートディレクターはあの猪熊弦一郎だった!
「「アート天国」瀬戸内の秘密は香川県庁にありました!」でも少し紹介したキーパーソン猪熊弦一郎。彼なくしてアート県かがわは語れないのです。
香川の「アートディレクター」いのくまさんとは?
丹下健三と金子正則香川県知事を結び付け、その後も知事のよきアドバイザーであり続けた画家、猪熊弦一郎。彫刻家のイサム・ノグチのほか多彩な芸術家や建築家を県に招聘し、現在の「アート県かがわ」の礎を築いた県のアートディレクター的存在です。彼が少年期を過ごした丸亀市や坂出市などの中讃エリアの人々は親しみを込めて、「いのくまさん」と呼びます。猪熊の創作の根底には、「新しい美をつくっていきたい」という思いが常にあり、生涯を通じて構成を重視しますが、作風は具象から抽象へと変化しました。パリでマティスに出会ったのちはマティス風になり、ハワイでは明るい色を積極的に用いるなど、場所やその時々に出会った人々の影響も受けました。
誰もが気軽に立ち寄れる「教会」のような場所 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は丸亀市の市政90周年を記念して建てられました。「市は記念館を提案したものの、それでは一度見たら終わりになると、本人が現代美術館を希望しました」と猪熊弦一郎現代美術館の古野さんは言います。
猪熊は「美術館は心の病院」といい、「現代美術は同時代を生きる作家が時代の一番新しい考え方を提示しました。現代美術に触れる開かれた場所をつくりたい」と考えたのです。教会のように毎日の生活の中に美術館があるように、駅前という立地も気軽に立ち寄れるよう選びました。
建物にも美を求めて設計は谷口吉生を指名。その父、吉郎は新制作派協会の仲間です。吉生のことは幼少期から知り、同時期にNYにいました。
「一緒に出掛けたMoMAのようにしたいと二人は考えました」
パブリックアートが多いのも、生活の身近に美しいものを置いてほしいから。三越の包装紙をはじめ多くの人の眼に触れる仕事を率先して手掛けたのも同じ思いからです。日常にある美が心を豊かにすることを実感しての提案だったのです。
ミュージアムグッズも見逃せない!
ポストカードや便箋、ハンカチ、バッグやTシャツ、マグカップまでオリジナルグッズが約200種類もそろいます。
手ぬぐい
便箋・封筒
ファブリック
ポストカード
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丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
住所:香川県丸亀市浜町80-1
Tel:0877-24-7755
開館時間:10:00 ~ 18:00(入館は17:30まで)
休館日:要問合せ
観覧料:一般300円、
大学生200円(常設展)
※企画展は要問合せ
(text: Seika Mori photo:Yuichi Noguchi)